国内の現状 オープンイノベーションとは(その2)

 
  
 

 

【オープンイノベーションとは 連載目次】

 オープンイノベーション白書 第二版の中から興味深い内容をピックアップして、解説しています。今回は、その2です。
 
 「第二章 データに見る国内のオープンイノベーションの現状」から、3つの興味深い内容を取り上げようと思います。
 

1、大学の産学連携データ

 
 調査した大学のうち、産学官連携本部等や産学官連携担当部署を設置する大学が過半数を超えているという結果が出ています。以前は研究室ごとに展示会に出展する傾向が強かった印象ですが、近年は大学全体として出展したり、イベントを行うなど積極的な活動を目にします。
 
 また大学発ベンチャーが2,000件前後を維持しているものの、黒字化へ移行する割合が上がっていない傾向であることが伺えます。そして大学ベンチャーが成長するための、重要な施策があげられていますが資金の確保は当然ながら、製品としての差別化やコア技術の搭載候補を複数探索するなど、一般企業の課題とほとんど同じ課題であることに気付かされます。
 

2、大企業に関するデータ

 
 イノベーションのための協力相手の調査結果がありますが、2012年から2014年のデータとは言え、企業内のグループ会社やサプライヤーが多い結果となっています。
 
 協力相手を探索するにも依頼しやすい相手を選んだ結果なのかもしれません。新規事業につなげるイノベーションを起こすためには、クライアント・顧客をはじめ、大学などを多様な協力相手を獲得する戦略的な取り組みが必要だと感じます。
 
 また、イノベーションを阻害した要因への結果に下記の内容がありました。いくつかの調査機関の結果が記載されていますが、大きな違いはなさそうでしたので、最初の一件に注目しました。
 
 気になった回答のみをピックアップしたのですが、取り組み方次第で全て改善ができる要因だと強く感じます。
 

3、中小・ベンチャー企業に関するデータ

 
 大企業とベンチャー企業の連携が年度別にグラフ化されていますが、2016年は2015年の1.5倍である700件弱にまで推移しています。M&Aは減少しているようですが、協業案件が増加していることは、オープンイノベーション推進の観点から評価されることだと思います。
 
 また、日本の大企業が国内ベンチャー企業を買わない理由を表で示した結果が記載されていますが、これは両者の本音を上手く表現したものではないでしょうか?
 
 具体的には、大企業は将来的な価値を感じていない、ベンチャーは説...
得できる説明をしない等です。
 
 今回は3つを視点からピックアップしましたが、最後に共通する気づきをご紹介します。
 
 大企業であっても大学であっても、上手くいかない理由はコミュニケーション不足です。自身の組織だけではなく、相手の立場を尊重し、本当の意味でのWin-Winを提案できるかが成功への近道なのではないでしょうか?
 
 次回は、オープンイノベーションを創出するエコシステムの国際比較を解説します。
 
◆関連解説『技術マネジメントとは』

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