「社会環境変化に対応する事業開発」を支える戦略的な知財活動の考え方・すすめ方

非競争領域/協調領域や非市場戦略、
オープンイノベーション等、
これからの事業開発には従来とは異なる考え方も必要に!

特許出願の考え方・事業参入への視点・特許情報のビジネス活用法あれこれ・・急激な社会環境変革の潮流に乗り、他社と差別化できる知財戦略・知財活動のすすめ方を、様々な具体事例を交え解説します!

セミナー趣旨

  これまでのビジネスでは市場戦略が、そのビジネスを支える知的財産では競争戦略が、それぞれ注目を集めていた。しかしながら、2010年頃から、新たな取り組み方と、その成果が明らかになっている。
 ・ドイツ提唱の「Industrie4.0」」では、競争領域(⇒差別化する領域)と非競争領域/協調領域(⇒差別化を必要としない領域)との区別が徹底されている。
 ・米国では、公共政策大学院とビジネススクールが連携した、非市場戦略(⇒社会課題の解決手段としてのルール形成/標準化)に関するテーマが取り上げられている。
 ・The Procter & Gamble Company(P&G)が、2000年頃から取り組み始めた、「Conect+Develop」の成果として、イタリア企業と連携して開発した「ファブリーズアロマ」により、オープンイノベーションの有用性が広く知られるようになった。
 ・ダイキン工業は、知的財産に関するオープンクローズ戦略と、中国・EUでのルール形成(⇒非市場戦略)により、中国市場における家庭用インバータエアコンの事業開発で成功を収めた。

 気候・環境関連課題への取り組みを通じ、EUは主導権をもちながら、社会・経済を持続可能な軌道にのせるべく、2018年3月に、「Action Plan:Financing Sustainable Growth」を公表している。Action Planでは、グリーンや環境的サステナブルとは、どのようなものであるかを、Taxonomy(分類)として確立することが明らかにされている。
 2019年末に、EUは「欧州グリーンディール」構想を掲げ、この構想を推進する具体策として、2020年に「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」を提唱し、その取り組みを進めている。さらに、2021年には「CABM(Carbon Border Adjustment Mechanism:炭素国境調整メカニズム)」を提唱し、その実現をめざしている。
 サーキュラーエコノミーでは、目標達成時期を2050年としている。したがって、下記のことを考慮するならば、日本企業としても、多様な技術開発に向けた取り組みが進められていなければならない時期になっている。
 日本企業が考慮すべきこと:
 ・目標達成に必要な、多様な技術の開発期間:10年間以上を要す(予測)
 ・技術成果として得られる特許の権利期間:特許出願日から20年間(原則)

 このような社会環境変革の潮流を踏まえ、事業開発を支える知的財産戦略に関し、下記の視座を踏まえた、さまざまな取り組みが顕在化している。
 ・事業開発
  競争領域(⇒差別化をめざす)vs. 非競争/協調/共創/協創領域(⇒差別化には拘らない、むしろ標準化を
      めざす)
 ・市場形成
  市場戦略(⇒差別化をめざす)vs. 非市場戦略(⇒社会課題の解決手段としての、ルール形成/標準化)
 ・事業開発効率化
  オープンイノベーション(⇒社外の技術/人材を積極的に活用)
 ・知的財産
  オープン領域(⇒知的財産を多くの企業と共有:ライセンス/条件付き解放/無償開放など)vs. クローズ領域
     (⇒知的財産を自社で独占:参入障壁形成)

 本セミナーでは、「社会環境の変革」と「知的財産に関わるさまざまな攻防事例」を俯瞰し、これからの時代に通用する、企業が競争社会で生き抜くための知的財産戦略の本質と技術・事業戦略との関わりについて、皆様のお役に立つ情報と考え方を提供します。

セミナープログラム

1.社会環境の変化が企業活動及び知財活動に促す変革
   1.1 技術開発流儀の比較:日本 vs. 欧州
    ~欧州:非競争/協調領域を設ける
 1.2 非市場戦略への取り組み
    ~「非市場の主体」への働きかけ
 1.3 コロナの先の経済予測
    ~2008年金融危機を踏まえて
 1.4 コロナ危機を企業成長の機会へ
    ~DX/Digital Transformationが重要に
 1.5 「本質的に存在していた問題」の早期解決
    ~CSR、ESG、CSV、SDGs、CE、CABM、・・・
 1.6 COVID-19と戦う知財宣言
    ~どう理解すべきか?
 1.7 特許のもつ「情報二面性」を忘れてはならない!
2. Innovationを見誤ってはならない!
 2.1 Innovation=Invention × Implementation
 2.2 Innovationの源泉=既存の再結合
    ~基本発明 vs. 基本的発明
3. コロナの先において、「企業に求められる事業・知財戦略」とは?
   3.1 「持続可能な企業価値」の創造
 3.2 「問題発見力×参入障壁構築力×社会問題対応力」が重要に!
 3.3 「従来からの技術」や「育ちつつある技術」に注目
    ~非対面/非接触技術
  参考)VR・AR・MR・XRとは?
 3.4 「自社保有知的資産の見直し」から始めよう!
    ~特許価値評価:評価基準とその方法
4. 戦略的な企業活動とは?
   4.1 企業活動の根幹
    ~「企業に課せられた課題」は何か?
  参考)貴社:どちらで事業参入?
  視点)両利きの経営:既存企業のInnovation
  事例)オープンイノベーション:CVCの活用も!
    ~事例:旭化成・ソニー
 4.2 企業経営:意思決定のプロセス
    ~未来予測する洞察
 4.3 事業開発戦略の基本指針
    ~先行 vs. 後発
  事例)先行/後発企業の事業開発
 4.4 事業開発戦略の指針
    ~まとめ
5. 企業活動における知的財産の位置付け
   5.1 企業活動における知的財産
    ~経営における時間軸に注目
 5.2 企業における特許の役割
    ~「20年後の将来」からのバックキャスティング
 5.3 知的財産権:「技術進化の方向性」まで支配可能!
  事例)トヨタ自動車:燃料電池車特許の条件付無償公開(2015年)
  視点)特許出願:知的財産への投資
    ~日本特許への投資額:100万円/件
6. 社会環境変化に対応する戦略的な知財活動とは?
   6.1 技術だけでは企業間競争に勝てない!
    ~機能向上競争ではダメ!
  視点)企業:提供すべき品質とは?
    ~心地良さ・社会的意義
 6.2 「特許の価値と強み」を維持する工夫
 6.3 「改良発明」が事業を支える!
    ~参入障壁の維持
  事例)特許を他社参入障壁に活用!
 6.4 特許で自社技術を守る仕組み
 6.5 特許出願戦略:先行 vs. 後発
    ~立場が変われば戦略も変わる!
  事例)自社技術:どう守る?
  参考)特許出願の要否
    ~「判断基準書」を手に審議
  視点)ノウハウ:判断基準とその方法は?
    ~評価項目・評点付与
  参考)ノウハウをどう扱うべきか?
  参考)先使用権の主張:リスクが伴う!
  参考)先使用権制度:活用すべきか否か?
    ~国によってルールが異なる
  参考)特許? Vs. ノウハウ?
    ~ノウハウの文書化
  視点)特許出願:どう進めたら良いか?
   6.6 「企業が保有すべき特許件数」の目安
    ~事例に学ぶ
  事例)知財交渉:「訴訟に耐える回避困難特許」の質と量で決まる
  参考)強い特許とは?
    ~訴訟に耐える特許
 6.7 知的財産の役割に変化が起こっている!
  事例)「知財権ミックス戦略」の登場
    ~Apple vs. Samsungが示唆
  事例)「特許と意匠の組み合わせ」で守る
  視点)意匠と商標を組み合わせ
    ~日本:2020年4月意匠法改正に基づく
  視点)オープンクローズ戦略:ビジネス戦略に基づく特許の無償公開
    ~弱者の戦略 vs. 先行強者の戦略
    ・Tesla:2014年 EV特許
    ・トヨタ自動車:2015年 FCV特許・水素ステーション特許
    ・トヨタ自動車:2019年 HV特許
    ・ダイキン:2019年 冷媒HFC-32(R32)(権利不行使誓約書を公開)
          +「ルール形成*共創」で、ビジネスを拡大
7. 事業参入機会はどこに?
   7.1 先行企業の弱みはどこに潜むか?
 7.2 特許の価値と強み
    ~時間の経過と共に低下
 7.3 医薬品業界:後発にも勝機あり!
  事例)バイオ医薬品業界:ICT業界に学ぶべき!
  事例)食品・飲料業界:異業種は異なる発想で参入 vs. 既存企業の対抗特許出願
  事例)ICT分野:特許権の価値が希釈化
    ~特許はさらなる藪状態に!
  事例)PAN系炭素繊維:迂回技術開発とみなせるのかも?
 7.4 非対面/非接触技術
    ~DXで社会変革をめざす
 7.5 製造業のIoT化
    ~ローカル5GでOT領域を改革
8. 特許情報を活用したビジネスモデルデザイン
 8.1 ビジネスモデルとは?
 8.2 ビジネスモデルデザイン
    ~特許情報を活用
 8.3 特許情報をビジネス情報源にする読み方
 8.4 特許情報分析:「3×3シート」を活用
  参考)「3×3シート」で競合との競争力を比較
 8.5 特許明細書:効率的な読み解き方
  参考)コンセプト提示:意思決定者に投資を促す
 8.6 「ビジネスモデルキャンバス」を活用
 8.7 ビジネスモデルデザイン vs. 特許情報
 8.8 「求められているもの」を「形にする」
9. 特許情報ベースの戦略的発想
 9.1 発明視点からみた、特許明細書の4要素
 9.2 発明創出法:特許明細書から学ぶ
 9.3 課題解決手段:新たな技術課題を内在
 9.4 新たな技術課題に相当するか否か?
    ~判定法
  参考)当たり前の技術:技術者見解 vs. 特許庁見解
  参考)AI関連技術:日本特許出願の現状は・・・
 9.5 新規性と進歩性:主張方法は?
    ~新たな技術課題の発掘
  事例)炭素繊維(CFRP、CFRTP):金属との接着
  視点)国際標準を評価で実現!
  視点)国際標準化:メディアにおいて気づかなかったこと
  事例)セルロースナノファイバー:ゴムとの配合
  視点)進歩性:「非容易想到性」と理解すべき!
  視点)進歩性の主張方法:従来技術との距離
  事例)セルロースナノファイバー:みなし取下特許を乗り越え
  事例)固体電池:新たな特性クレームで、先願特許を乗り越え
10. 既存技術ベースの戦略的発想
 10.1 既存技術の特許情報を再発明に活用
    ~先行:ニーズ発掘 vs. 後発:ニーズ対応
  事例)ソニー「ウオークマン」:使用料支払い特許を乗り超え
  事例)トヨタ「ハイブリッド車」:使用料支払い特許を乗り超え
  事例)太陽HD「セルロースナノファイバー」:みなし取下特許を乗り超え
 10.2 発明の多くは「再発明」
    ~先人の肩を借り、実用化をめざせ!
 10.3 再発明で、時代への適合をめざす
 10.4 「素材企業」のもつべき知的財産戦略
  事例)高付加価値品に展開
    ~用途発明の機会に!
  事例)JSR 5G対応:材料特許から、材料活用製品特許へ展開
  事例)東レ5G対応:材料/製法特許から、電子部品特許へ展開
 10.5 「部品企業」のもつべき知的財産戦略
  事例)「ビジネス発想特許」で、事業を守る
  事例)SONYコンセプトカー「Vision-S」
    ~車両&車載関連への事業展開
  参考)温故知新:携帯電話の進化 vs. 自動車の進化
    ~自動車=IoT
 10.6 「製品/システム企業」のもつべき知的財産戦略
  事例)製品/システム企業の嫌がる材料特許
  事例)DX/Digital Transformationで、印刷業界にも変革が!
  事例)「リアル」を超える「リアリティ」を追求
    ~AR・VRそしてXR
 10.7 サービス提供企業のビジネスモデルデザイン
  事例)車:電動化+ICT⇒モビリティサービス
  事例)コマツ:ICT機能搭載建機で、データ利活用に展開
  事例)ローカル5Gがもたらす変革
11. 後発で勝てる特許出願戦略
   11.1 後発で勝てる特許出願戦略とは?
 11.2 先行特許への戦略的対抗策
  事例)事業戦略と出願戦略の連携
 11.3 「先行特許網の傘下」に食い込め!
  事例)固体電池:特性クレーム追加で乗り超え
  事例)ガラス基板:ベストモードを数値限定クレーム化
  視点)数値限定特許の活用:リスクも伴う!
  視点)数値限定特許の要諦
  参考)数値限定特許:特許係争事例
 11.4 「先行企業とは無縁の代替技術」を手にする!
 11.5 「先行特許網傘下の特許」を多数出願!
12. 特許情報を活用した発明創出法
   12.1 「後発企業の強み」は何か?
 12.2 「後発企業の強み」をどう活かす?
 12.3 発明創出法:特許情報を活用
  参考)「特許のネタ」の探し方
 12.4 「発明の種」は特許情報にある!
 12.5 特許出願の要諦
 12.6 特許明細書の要諦
 12.7 特許権獲得につながる発明創出方法
 12.8 「発明メモ」を描いてみよう!
 12.9 「発明メモ」を描く意義は?
 12.10 「発明メモ」のできあがり!
13. 「社会環境の変革」を見据えた対応をめざそう!
   13.1 「特許力強化」をめざそう!
 13.2 「強い特許」の取得をめざそう!
    ~特許への取り組み指針
 13.3 特許制度を活用した、「強い特許」を生み出す工夫を!
    ~活用:国内優先出願・分割出願
  事例)ライセンス事業の収益向上をめざす
  事例)競合製品への対抗手段
    ~①情報入手解析:審査段階で修正 ②有効特許:異なるポイントで権利化
 13.4 2020年:米国NPEの動きが活発化
    ~背景:特許資産売却機会の増加
  参考)NPE:特許訴訟費用に占める弁護士費用比率
 13.5 業界の特性に適した知的財産戦略
    ~業界別の対応策
14. まとめ
◇質疑応答


講師より
 
前もって「ご質問事項」「リクエスト」などをお送りいただければ、可能な範囲で「配布資料」に反映させていただ
  きます。ご参加者の方々とのディスカッションを通じて、セミナーをより実践的なものにしたいと考えております。
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セミナー講師

 菅田 正夫 先生   知財コンサルタント&アナリスト

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*1社2名以上同時申込の場合、1名につき37,400円

【オンライン(ライブ配信)(見逃し視聴あり)】:1名53,900円(税込(消費税10%)、資料付)
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知的財産マネジメント   事業戦略   技術マネジメント総合

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