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QUESTION 質問No.45

多種少量生産での納期順守

生産 生産マネジメント | 投稿日時:
金属部品の切削加工を主に15人ほどでやっております。
ほとんどの注文が1個~20個、月間注文数は平均300件という典型的な多種少量生産で、納期も長いものは1か月、急ぎの場合はFAXで図面が届き当日中に発送を頼まれることもあります。
もちろん現場にたくさん仕掛かっている時は、特急品を断るのですが、常時数十件が仕掛かっている状態で、ちょっと判断を間違えると大量の納期遅れが発生し、何度か発注元に迷惑をかけてしまいました。
何とか納期の順守率を上げる方法はないでしょうか?

【これは事務局による仮想の、しかし有りがちな、質問です】


ANSWER
回答No4 | 投稿日時:

切削加工専門工場の、納期遵守するための管理をどうするか?という問題ですね。
まず現状および、問題点を整理してみましょう。

1.現状および問題点について
(1)注文の状況
ほとんどの注文が1個~20個、月間注文件数は平均300件とういことですから、平均注文数を10個とすると、300件×10個=3000個/月の生産量となり、それを15人で賄っています。
300件のうち、繰り返し生産品と、個別受注生産品の比率は定かではありません。

稼働日を24日/月とすると、300件÷24日=12.5件/日の平均仕掛りとなりますが、常時数十件が仕掛っているということは、毎月の注文件数に対して、加工処理が追い付かず、納期遅延が常態化しているのではないでしょうか?

納期も、1か月のものから、当日中に発送が必要な特急品もあり、生産の流れを乱す要因となっているようです。

(2)製造工程の状況
15人の作業者は、それぞれ何台かの加工機械を受け持っており、前工程の加工が終了したものを受け取って自分の担当の加工を行い、次の工程へ送っているものと思われます。

金属部品の切削加工は、CNC加工、旋盤、フライス盤、ボール盤等の加工設備が必要で、通常は部品図面から、加工方法を決め、機械加工の工程順序を決め、使用する機械設備、加工時間の決定、人員の割り当て、加工日程計画を立てます。

ただ、この工場では、受注し受け取った部品を、そのまま図面とともに、現場に投入しているものと思われます。そして、熟練技能者が図面を見て、加工順序を決め、現場に投入されたものから順番に現場に流し、特急品が投入されると、それを優先して加工を行うというように、日々の生産が行われていると思われます。

(3)進捗管理、納期管理
受注した部品の完成予定は、熟練技能者のKKDによって大体これくらいと予想はつきますが、正確な日程はつかめておらず、納期の直前にならないと遅れ/進みが分からない状態にあると考えられます。

現場には、各所設備の横に仕掛品が積まれており、それがいつの納期なのか、またいつ加工に取り掛かるのかもわからない状態にあると考えられます。

2.対策案
 受注型生産で、見込み生産はできない状況であるため、受注した案件を、いかに納期通りに生産するか、その管理手法を確立する必要があります。

(1)生産日程計画の作成
 まず、向こう1か月間の生産計画を立てます。
現在、仕掛っているもの、これから仕掛るもの、受注が予想されるものすべてを洗い出し、複数の加工設備への割り振り、加工日、加工数量、加工時間および、作業者の割り当てを考慮して加工開始日から完成日を決めます。

この時工夫しなければいけないことは、ネックとなる工程(加工設備)が生じないように調整することです。一つの加工設備に、同じ日の、同じ時間帯に加工が集中しないようにうまく調整することです。一つの加工設備に集中してしまうと、その設備の周りには、大量の加工待ち品が滞留してしまうことになり、流れが止まり納期遅延の原因となってしまいます。

つまり、それぞれの加工設備ごとに、何月何日のこの時間帯は、この部品を加工すると、あらかじめ決めておくことになります。この計画は、毎日見直しを掛けて、進捗状況によって修正を掛けて行きます。特急品が入ったときは、その時点で計画を練り直します。

(2)段取り時間の短縮
できるだけ加工設備の段取り替えが生じないように類似品を続けて投入するように配慮し、設備の稼働率を高めます。
そうは言っても、段取り替えを一日に何回か行わなければならない場合も多く発生するので、段取り作業をできるだけ簡略化、無調整化を図って行きます。そのための専用工具、運搬車、交換品の配置、周囲の5S活動は日常改善活動の中で実施していきます。

(3)製造指図の作成
 一つの注文ごとに製造指図を作成します。この製造指図によって目的の作業の準備、開始、完了までを管理します。指図の内容は、以下の通りとなります。
 ・生産数量
 ・加工するものの品質基準(形状、寸法リミット、外観など)・・・図面で代用可
 ・作業手順・・・作業標準書(繰り返し受注品)、図面、データなど(個別受注品)
 ・使用加工機械
 ・作業時間、作業者名、加工機械使用時間
 ・加工日、完成日・・・工程ごとの加工日(加工機械の使用日)、完成日

指図に記入する日程等の内容は、生産日程計画から落とし込みます。
指図には、実績記入欄が設けてあり、一つの工程の作業が終了し、次の工程に送るときにその日付を記入し、製品に添付して送ります。

(4)作業標準書
 繰り返し受注品の場合は、加工方法(加工手順、設備の諸条件)、作業時間(設備の準備、稼働時間、手作業時間)、品質基準、かかる人数などを記入した、作業標準書を準備します。
そして、作業者に対しては、作業標準書に基づく作業訓練を実施します。

 1回だけ生産するような、個別受注品は、作業標準書は作成せず、加工方法、作業時間、品質基準などは、その都度指示する必要がありますが、部品図面、加工データなどを添付することで、指示します。

(5)進捗会議
 毎朝、作業開始前に、全員が集まって当日の作業を確認します。
前日の問題点、遅れ等の対策を話し合い、対策を講じます。設備の故障、欠勤などの状況を考慮し、計画を見直しします。

慢性的に遅れが出る工程については、その原因を徹底的に追及し対策します。設備の能力が足りず、計画時に加工時間を少なめに設定しているのか、それともチョコ停を起こすために加工が遅れてしまうのか、などその原因に応じた対策を取ります。

3.人材育成について
 多品種少量、個別受注生産の工場で納期遵守率を上げる事は、自社にとって一つの強みとなります。
生産計画の立案、仕掛在庫の削減、段取り時間短縮によって生産性がアップし、リードタイムの短縮が図れます。その結果、製造原価の低減、利益幅の拡大、企業の体質強化にもつながります。

そのためには、加工工程や設備を熟知した、生産計画担当要員の育成が必須です。
熟練工のKKDに頼ることなく、理論的なアプローチで、日程計画を立案し、リードタイム短縮、生産性向上を図り、将来は受注を増やしていくことが可能になります。

更に、作業者の多能工化を推進することによって、複数の加工工程、設備の操作が可能になり少人化が図られます。計画的な多能工化教育計画立案が望まれます。




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