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QUESTION 質問No.423

パラメータ設計における推定式の導出

設計・開発品質工学(タグチメソッド) |投稿日時:
現在金属の材料特性向上を図るための研究をしております。造形時のパラメータを3因子選び直交表L25を用いて各々5条件で造形を行いました。造形した金属の硬度や密度を測定し、SN比をだして最適条件を大まかに見つけることができたのですが次に得られた目的変数をもとに各因子の変数を導き出すような推定式を導出したいと考えております。(例えば硬度○○ぐらいにしたいときは因子Aは×、因子Bは▲、因子Cは□のようにすればよい)
推定式は大まかでよいのですがこの場合得られた直交表の結果からできるのか、できる場合はどのような方法なのかを教えていただきたいです。


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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

品質工学、その他普通の統計的手法(多変量解析含めて)のコンサルをしている村島です。
ご質問の回答に際し、5因子の5水準が連続量(計量値であって、実際の実験はとびとびでもかまいません。たとえば、温度100、120、130、140、150℃のように実験はとびとびでも、温度ですから、連続する計量値です。123℃という値も存在します。これに対し、機械の号機などは、1号機と2号機があっても、1.5号機というものはありません。)を前提として説明します。
説明変数(この場合は制御因子)に対する目的変数に対して、以下の方法が一般的です。
方法① 直交多項式を使う。
方法② 重回帰分析を行う。
具体的な方法は市販の参考書をご覧ください。
なお、説明変数が△△のとき目的変数が〇〇になるのと、目的変数が〇〇のとき説明変数が××になるというのとは違います。(逆回帰の関係)
ざっくりでいいのなら、説明変数が最適水準に近いところで値をいれてみて目的変数の値を推定すればいいかと思います。現実的です。
逆回帰の件については、当サイトの解説記事でもなされているので参考にしてください。
以上です。よろしくお願いします。




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

パラメータ設計でも、特に制御因子間の交互作用が複雑に絡み合うことの多い化学系を得意としている対馬と申します。

質問の「例えば、硬度○○ぐらいにしたいときは、因子Aは×、因子Bは▲、因子Cは□のようにすればよい」についてお話しをします。

硬度をある硬さにしたいということですが、まずは、硬度は大きいほうがよい望大特性として、25通りの実験についてそれぞれSN比を求めます。
n個の望大特性(硬度)をy1、y2、‥‥、ynとすると、SN比ηは
η= -10log [(1/y1の2乗+1/y2の2乗+‥‥+1/ynの2乗)/n]

次に、因子A、B、Cについて、それぞれの水準別の合計を求めます。 因子Aの場合では、水準が1のとき(実験No.1~5)のSN比の合計[水準別合計A1]、水準2のとき(実験No.6~10)のSN比の合計[水準別合計A2] ‥‥水準5のとき(実験No.21~25)のSN比の合計[水準別合計A5]を求めることになります。 因子B、Cの場合も、それぞれ水準が同じである実験No.のSN比を合計します。 なお、因子D~Fは因子がありませんから誤差因子となります。

次いで、直交表の分散分析を行ないます。
手順1 修正項CFを求めます。
CF=25個のSN比の合計の2乗/全データの個数
=[(実験No.1のSN比)+(実験No.2のSN比)+‥‥+(実験No.25のSN比)]の2乗/25 (f=1)

手順2 全変動STを求めます。
ST=(実験No.1のSN比の2乗)+(実験No.2のSN比の2乗) +‥‥+(実験No.25のSN比の2乗)-CF (f=25-1=24)

手順3 因子の変動Sおよび分散Vを求めます。
SA=[(水準別合計A1の2乗)+(水準別合計A2の2乗) +‥‥+(水準別合計A5の2乗)]/5 -CF (f=5-1=4)
VA=SA/4
以下、同様にSB、SCおよびVB、VCを求めます。

手順4 誤差変動Seおよび誤差分散Veを求めます。
Se=ST-SA-SB-SC (f=12)
Ve=Se/12

手順5 効果のある因子を推定します。
因子の分散VA、VB、VCをそれぞれ誤差分散Veと比較したとき、Veよりも十分に大きな値であれば、その因子は目的特性(硬度)に対して効果があると推定します。 さらに、その効果のある因子については、水準別合計の値が大きい水準が硬度を高めていることになります。

以上の結果から、硬度○○になる条件を推定します。
まず、ねらいの硬度をρとしたときのSN比η(標準)を求めます。
η(標準)= -10log (1/ρの2乗)
次に、例えば、因子A、B、Cすべてが硬度に対して効果があると推定された場合、そのときのSN比η(最適)は、各因子の水準別平均(水準別合計を5で割ったもの)をAx、By、Czとすると、
η(最適)=Ax+By+Cz-[2×(25個のSN比の平均)]
で求めます。
ここで、Ax、By、Czは、水準1~5のいずれかの水準別平均であり、ねらいの硬度のSN比η(標準)と同等になるように水準を選択します。
なお、硬度に対して効果のある因子がAとBであれば、η(最適)=Ax+By-(25個のSN比の平均)] 、Bのみであればη(最適)=Byで計算します。

以上ですが、実際のデータがない中での説明ですので、わかりづらい点があるかと思いますので、不明な点は再度ご質問ください。




ANSWER
回答No3 | 投稿日時:

L25直交表を用いて,目的特性(出力)を硬度,密度などとしてSN比を計算したのですね。特性値は望目特性ですか?望大特性ですか?SN比をどのように計算したのでしょうか。
静特性のSN比は出力の安定性を評価する指標ですから,感度を求めているわけではありません。SN比とは別に感度(S)を計算すればレスポンスになります。→2段階設計の際に調整用パラメータを選ぶ際に必要です。
単純に推定式(回帰分析)を作りたいだけなら,わざわざSN比に変換する必要はないですね。5水準なら4次式まで可能です。因子が3因子あってすべてを考慮して回帰式を作りたいなら,重回帰分析ですね。
実験計画を行って,結果から回帰式を作るスキームは「パラメータ設計」にはありません。パラメータ設計では,まず安定した条件をSN比で選定し,2段階目に感度調整用パラメータ(調整用因子という)で目標の感度(値)に合せ込むという考えです。この場合,硬度と密度で調整用パラメータが異なる場合もあるでしょう。どちらを優先するか,目標に合わせて検討が必要かもしれません。
計算はL25の結果だけから可能ですが,5水準の中に調整範囲がない場合には,外挿しないで再度水準を変更して最適条件を探索することなります。
実験頑張ってください。