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QUESTION 質問No.276

直交表の割り付けについて

設計・開発品質工学(タグチメソッド) |投稿日時:
ある特性のバラつき要因を探したいですが、実験の効率を上げるため直交表の使用を考えています。
交互作用が不明な10個の2水準因子に対して、すべての交互作用を探しながら実験がしたいです。

直交表を使用するにはどのサイズ(もしくは同じサイズの直交表を複数回)使用すればいいですか?

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

「超実践品質工学」をコアとしたデータエンジニアリングで、設計・開発をお手伝する、株式会社ジェダイトの鶴田(つるぞう)と申します。

 ある特性yのばらつきの要因(原因)を調べたいとのことで、品質工学(タグチメソッド)ではなく実験計画法の範疇ですが、ご回答いたします。

 結論から申し上げると、すべての交互作用を考慮して実験するということは、すべての組み合わせを見ること(多元配置、つまり総当たり)になります。2水準因子が10個の場合、2^10=1024通りです。これでは目的とする「実験の効率を上げるため」が実現できませんね。

 実験計画法では、「実験の効率を上げるため」に直交表の実験を行うわけですが、実験効率を上げるためには、固有技術的に交互作用があると(あるいは無いと)考えられる要因を想定することで、直交表の空き列(交互作用が無いと想定した要因に対応する列)に、別の主効果(単一要因)を割り付けることで、総当たりよりも小さな組み合わせで実験を可能とするのです。したがって、直交表の空き列を作るためには、事前の固有技術的な検討が必要になるわけです。すべての交互作用を割り付けると、総当たりと同じになります。L27直交表にすべての主効果と交互作用を割り付けると、27通りの実験になり、これは3水準因子3個の総当たり(3×3×3=27)と同じになるのです。

 「交互作用の有無を事前に考えましょう」で終わってしまっては身も蓋もないので、2つほどアドバイスしましょう。

 1つめは、あくまでも各因子の主効果と因子間交互作用の原因を調べたい場合です。
すべての交互作用を調べるのはあきらめて、「すべての2因子間交互作用」を調べることで妥協する方法です。そのこころは、3因子間の交互作用は小さいことが多く、仮にあったとしても技術的に解釈がしづらく、対策に結びつきにくいからです。
 そこで10因子のコンビネーション(すべての2因子の組み合わせ、つまり45通り)の2元配置(2水準×2水準)の実験を行えば、すべての主効果と2因子間交互作用が分かることになります。実験数は45×2×2=180通りです。これでも多いですね!※応答曲面法を使用した複合計画では、もう少し小さくなりますが省略します。
 もし、独立性が高いと考えられる主効果がいくつか事前に分かっている場合は、直交表の3因子間以上の交互作用列にその主効果を割り付けるというのが現実的です。L16なら、15列のうち4列が主効果、6列が2因子間交互作用の列ですので、残りの5列が3因子間以上の交互作用列です。ここに独立性の高い因子を割り付ければ、もとの主効果4因子と合わせて、同時に9因子が検討可能になります。ご質問では10因子ですので、L32が必要ということになります。これなら現実的な実験の大きさです。

 2つめは、ばらつきの原因を調べるのをやめるという大胆な発想です。原因候補の10因子をL12直交表に割り付けて、いずれの12条件でも特性値yがばらつきにくいように、yの設計そのものを変更(改善)する考え方です。これが品質工学における機能性評価、パラメータ設計の考えかたです。この技術については、このサイトにもたくさんの情報がありますので、ぜひ参考にしてくださいね。




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

パラメータ設計でも、特に制御因子間の交互作用が複雑に絡み合うことの多い化学系を得意としている対馬と申します。

「交互作用が不明な10個の2水準因子」とありますが、10個の要因を制御因子として考えている場合、それぞれの因子の役割(働き)がわかったうえで設計しているはずです。 その役割(働き)をみれば、少なくとも制御因子間に大きな交互作用があるかないかはわかりますし、交互作用がある場合は水準ずらし法などを使えば交互作用は解消できます。
すべての交互作用を探す作業は、実験の効率を落とすだけで何のメリットもありませんので、再考されたほうがいいと思います。

そのことを踏まえたうえで、10個の2水準因子ですから、11個の因子までわりつけられるL12の混合系直交表が使えます。