荷役の現状把握 物流現状把握の重要性 (その2)

 前回のその1に続いて解説します。
 
 荷役作業とは保管や輸送を行う際にそれに付随して発生する作業のことを指します。フォークリフトでものを出し入れしたり、ピッキング作業を行ったりする作業は荷役に当たります。人の行う作業が中心になりますので作業が効率よく行われているかどうかが、ポイントになります。
 
 物流作業では個々の作業が効率よく行われているかどうかを確認するとともに、作業と作業の組み合わせが効率よくできているかについても確認する必要があります。前者の場合は、稼働分析を行って現状把握を行います。手法はワークサンプリングを行えばよいでしょう。ワークサンプリングとは一定の間隔で調査対象が何を行っているかを確認していく方法です。
 
 たとえば15秒おきにピッキング作業者を観察し、その時に何をやっているのかをチェックします。ものを取っているのか、歩行しているのか、オーダーシートを確認しているのかなど、その時点で作業者が実施していた内容を記録用紙に書いていきます。
 
 後者についてですが、これは作業編成の問題です。一人の作業者が一日複数の作業を行う時に作業と作業の間隔が空きすぎないようになっているかがポイントになります。この間隔が空くとその時間は「手待ち時間」になります。つまり付加価値を生み出すことのできない時間となるわけです。本来であれば手待ちが発生したらその時は「何もやらずにその場に立っている」ことが望ましいのですが、実際はそうではないケースがあります。
 
 たとえば掃除をしたり、空箱を整理したりといった余計なことをしてしまう可能性があるのです。これは手待ちは恥ずかしいことだという認識があり、体を動かしてしまうのですが、こういった行為は必ずしも望ましいことではありません。なぜなら、そういった行為をしていると、それがあたかも「仕事をしているように見えてしまう」からなのです。厳しい言い方をするとそれは「手待ち隠し」ということになります。
 
 「手待ち」は「手待ち」として明確化することが重要なのです。手待ちは明らかなムダであり、ムダを顕在化させることが次の改善につながるのです。では、この作業と作業の組み合わせが効率よくできているかについてどのように確認していけばよいでしょうか。
 
 一つのやり方として「連続稼働分析」があります。この分析は一人の作業者に一人の観測者がついて始業から...
終業まで、何を実施しているかについて細かく記録していく方法です。これを実施すれば作業間の時間がどれくらいあるのか、その間に作業者がどのような動きをしているのかがわかります。
  
 次回は、物流設備投資時の注意事項を解説します。
 
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