購買業務の要点:材料費と加工費の計算

◆コスト構造分析

 
 前回のその7に続いて解説します。コストドライバー分析とあわせてコスト構造分析について確認しておきましょう。コスト構造には何が含まれるでしょうか。
 
 それは「材料費」「加工費」「経費」「利益」です。「材料費」は金属なのかプラスチックなのか、要はその製品をつくるための材料のコストのことです。
 
 「加工費」には工場作業者のコストと設備加工のコストのことです。設備にはプレス機や射出成型機、加工機などが含まれます。
 
 材料費を求める際には製品重量プラスアルファの材料の量に基づいて計算します。例えば100gの製品をつくる際には生産過程でのロス分を上乗せすることになります。たとえばロス分として5gを乗せて105gとするのです。さらにスクラップ分のマイナスを行います。生産過程でロスが出てもそのロス(端材)を業者に買い取ってもらうことが一般的です。このように製品重量に生産過程でのロスを加え、スクラップ分を差し引いた重量に材料重量単価をかけたものが材料費ということになります。
 
 次に作業者加工費について見ていきましょう。そのために作業者の賃率を確認する必要があります。作業者の賃率には給与や賞与、社会保険や福利厚生費などさまざまな要素が含まれます。これをフルコストとし、それを1秒あたりに直します。
 
 例えば、フルコストを年間800万円、年間労働時間2000時間としたら賃率計算は次の通りです。
 
   〔800万円÷2000時間÷60÷60=1.11円/秒〕
 
 この例では、作業者加工費はおおよそ1秒1円と考えればよろしいのではないでしょうか。仮に、その製品を加工するのに15秒かかるとすれば作業者加工費は15円ということになります。
 
 次に設備加工費です。設備加工賃率は設備購入費に修繕費・税・保険を加え、それを耐用年数に稼働時間と稼働率を乗じたもので除して算出します。
 
 例えば、5千万円の設備を10年間使うとしたらどうなるでしょうか。
 
   〔5000万円÷...
(10×2000時間×60×60)=0.69円/秒〕
 
 設備加工費は耐用年数を超えて使うことができれば償却済みとなり利益を生むことになります。
 
 次回、その9では、「経費」把握の留意点を解説します。
 
 

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