物流現場の理想的な状態とは

 

1. 現場を見た第一印象

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◆ 床の区画線の重要性

さまざまな物流現場に出掛けて行くことがありますが「この会社なら発注した仕事をしっかりとやってくれそうだ」とか「この会社にはとてもお金を払ってまで仕事を依頼する気にならない」といった感想を持つことがあります。その差は何でしょうか。それは現場を見た第一印象です。

 

ではよい印象を与えられる現場とは、どのような状態にあるのでしょうか。きっとこの印象は誰が見ても同じように感じるものだと思います。その印象とは、ずばり「5Sがきちんとできている」ということです。単に現場がきれいだということではなく、秩序よく物が置かれている様子が印象をよくします。そのためにどうしても必要となるのが「床の区画線」です。倉庫の場合は保管エリアと通路がきっちりと区画線で区分けされている、保管エリアはレーンごとに区画線が引かれている、この状態が理想です。

 

倉庫は奥行きも高さも幅も統一された「すっきり感」が重要です。ところが区画線も引いていなければ、置場も定まっておらず、空いている場所に荷物などを置いていくといった倉庫があることも事実です。

 

このような物流現場で物流品質を保つことができるでしょうか。現場作業者には迷いが発生し、それが探すという行為となり、結果的に余分な工数の発生と間違いにつながります。これらを解消するための5S活動は、すべての基礎であると思われます。この5S活動を行う風土のない会社は危険です。

 

よく「5Sをやったところで儲(もう)からない」と、もっともらしい言い訳をする経営者がいます。でも5S活動をやったことが無いのに、どうしてこのように言えるのかと疑問に思うことがあります。一方である会社では、とにかく5Sを愚直に進めることで、会社の利益向上に大きく貢献しました。品質不良が発生しにくくなりますから、それだけでも会社利益は向上します。

 

さて床の区画ですが、区画線の設置にとどまらず、通路や保管エリア、作業エリアなどは色分けしていきましょう。さらに倉庫のすっきり感が増すことでしょう。

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2. 5Sの「しつけ」を徹底する

◆ しつけは5Sの中で最も重要

物流現場を理想的な状態に保つとはどういうことでしょうか。理想形はそれぞれの会社で異なるため、一概にはいえないですが、少なくともこういった状態にあれば理想的、ということについて考えてみましょう。

 

顧客サイドから見れば「現場が清潔であること」は必須条件だと思います。物流会社の場合、顧客が倉庫を視察に来ることがあると思いますがゴミが落ちていたり、床にフォークリフトのスリップ跡が目立ったりする会社は要注意です。

 

現場サイドからみれば、間違いを発生させず効率的に仕事ができる状態が理想的です。ゴミや汚れがあってもそれが放置されていれば、顧客からはあきれられてしまうでしょう。つまり「しつけ」ができていない会社と思われてしまうのです。

 

一方で常に現場を清潔に保ち、訪問すると従業員が気持ちよく挨拶してくれるような会社は、好印象を持たれることでしょう。

 

この「しつけ」は5Sの5番目に位置付けられていますが、実際には「最も重要なS」であると思います。整理整頓を徹底して行ったとしても、それを維持することができないのは、しつけができていないからなのです。会社の決めたルールを守らない従業員は少なからずどこの会社にもいると思いますが、根気よくそのような人たちをしつけていくことは重要でしょう。

 

「しつけ」はその物流現場の監督者の仕事です。監督者がルールを守らない従業員に対し、その場で注意できなければその現場がよくなることはあり得ないのでしょう。物流現場を理想形に持っていくためにはゾーンごとに「5S責任者」を決めていくことをお勧めします。その5S責任者は、できればそこで働く従業員全員にするとよいと思います。

 

つまりゾーンをできるだけ細分化し、そのゾーンに一人ずつ責任者を定めるのです。そして各ゾーンの5S評価を定期的に実施します。最初は週単位に行っていったらよろしいのではないでしょうか。責任者は自分の担当ゾーンに対して5Sが徹底されるように活動します。そして第三者の評価を受けるようにするのです。ものの置場、表示のメンテナンス、床の汚れ、棚の埃(ほこり)など、すべてに対して理想的な状態を保てるように責任を持って活動させます。

 

繰り返しになりますが、これができるかできないかは「しつけ」に懸かっていると考えられます。そしてよくできているゾーンは定期的に表彰していくようにしましょう。そうした活動を通して、現場のモチベーションアップと5S向上が進んでいくのです。

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3. 現場のショールーム化

◆ 顧客に見せられる職場づくり

物流現場の理想的な状態は現場が「会社のショールーム」になっていることです。物流の取引先を探しているお客様は必ず、その会社の物流現場を見学されますので、その時の印象は発注に大きな影響を与えることは確実です。これはメーカーでも卸売業でも同様です。お客様は必ずと言ってよいほど、取り引きしたいと考えている会社の現場を見に行きます。

 

いくら営業マンが「こんなに良いパフォーマンスを示すことができる」と説いたところで、顧客はその言葉よりも実際に現場を見た瞬間の印象を大事にします。

 

それほど重要な物流現場ですから、より理想に近づけるように管理をしていきたいものです。ではどの程度に?と考えた時に「ショールーム」という言葉が出てくるわけです。

 

小売業の場合、大抵の店舗ではそこそこきれいに保たれ、店員のしつけもできていると思われます。もちろん「...

こんな汚い店で買うものか!」と思いたくなるような店、態度の悪い店員のいる店もあります。しかしこういった店舗からは、客が遠ざかるのは目に見えていますので論外だと思えばいいでしょう。

 

では直接消費者の目に触れることのない物流現場はどうでしょうか。自分が顧客の立場だったとして判断してみましょう。その物流現場に仕事を発注したいと思うかどうか。ということで物流現場の理想形は、その会社のショールーム化だといえるでしょう。いわゆる見せるための職場です。

 

顧客に見せられるような職場であれば、それはそのまま社内のレベルアップにもつながります。きれいに保つことで商品品質にも悪影響を及ぼしません。丁寧な作業を行うことで事故も発生しません。探し回るロスや、やり直し作業も発生しません。結果的に作業の効率が向上します。作業者もそのような職場で仕事をしていると、気持ちが良くなることでしょう。つまり物流現場をショールーム化することで、すべてが良い循環となるわけです。

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いかがでしょうか。難しいことはありません。物流現場を理想的な方向に持っていきましょう。その後についてくるのは、圧倒的な生産性向上と取り引きの拡大だと考えられるのです。

 

 

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