ガバナンスとは、リスクマネジメント、コンプライアンス、リスクファイナンスをわかりやすく解説

 

1. ガバナンス(内部統制)とは

内部統制は会社経営上のリスクをコントロールするための一つの方法であると考えられます。一般的に次の三つの分野で構成されます。

  • リスクマネジメント
  • コンプライアンス
  • リスクファイナンス

2. リスクマネジメント

リスクの評価の基本は、「災害発生確率」×「被害規模」です。発生確率が高く被害規模が大きい場合には、当然、被害がでないような対策を実行するわけです。しかし、安全問題以外で、そのどちらかが極端に小さい場合には、保険をかけるか災害が起きてから最善の処理を実施すればよいわけです。

3. コンプライアンス(法令遵守)

監督者が職場をマネジメントする際に取るべき態度や行動、その態度や行動もコンプライアンスの一つといえます。監督者が率先してコンプライアンスを遵守し、部下のモチベーションを向上させていくことが重要だと言えそうです。

4. リスクファイナンス

内外の経済状況の変化に伴い、企業を取り巻く経営環境は劇的に変化しています。その中で新たなリスクを抱えることになってきているほか、事業規模の拡大によりリスクの多様化、複雑化そして巨大化が進んでいます。このような情勢の下、企業としての全社的なリスクマネジメントの重要性が一層増してきているといわれていますが、そこではリスクの顕在化を未然に防ぐための事前防止策に重点が置かれ、事故や災害等が発生した後への備えは必ずしも十分に手当てされていないのが実情のようです。

企業におけるリスクマネジメントでは「リスクが顕在化し、経済的損失が発生した場合に備え、企業が運転資金、事故対策資金、復旧資金などを事前に手当てしておくこと」がリスクファイナンスです

5. 3つの要素の相互作用とシナジー

ここまで、リスクマネジメント、コンプライアンス、リスクファイナンスという3つの要素を個別に見てきました。しかし、これらは独立して存在するものではなく、企業のガバナンスという大きな枠組みの中で密接に連携し、互いを補完し合う関係にあります。

たとえば、コンプライアンスの意識が低い職場では、法令違反や不正行為という重大な「リスク」が芽生えやすくなります。つまり、コンプライアンスの徹底は、リスクマネジメントにおける最優先の「事前防止策」そのものなのです。また、どれほど強固なリスクマネジメントを敷いていたとしても、予測不可能な天災や時代の急変によって損失が発生することは避けられません。その際に、企業の息の根を止めないために機能するのがリスクファイナンスです。

このように、コンプライアンスによって組織の足腰を強くし、リスクマネジメントによって行く手の障害を予測・回避し、リスクファイナンスによって万が一の被災時にも立ち上がるための資金を確保する。この3つのサイクルが円滑に回ることこそが、内部統制の理想的な姿であり、ガバナンスが有効に機能している状態だと言えます。

6. 実務におけるガバナンス構築のステップ

では、企業はどのようにしてこのガバナンスを実務に落とし込んでいけばよいのでしょうか。具体的な手順は以下の4つのステップに集約されます。

第一に「リスクの洗い出しと可視化」です。自社が展開する事業や組織体制を見渡し、どのようなリスク(法的リスク、市場リスク、災害リスク、労務リスクなど)が存在するのかを、部署の垣根を越えて徹底的にリストアップします。 第二に「評価と優先順位付け」です。前述の通り、「発生確率」と「被害規模」の2軸からリスクを数値化し、経営に致命的な打撃を与えるものから優先的に対策を講じるよう分類します。 第三に「対策の実行と仕組み化」です。コンプライアンスに基づく社内ルールの策定や、リスクを分散・補填するための保険の加入、手元流動性の確保など、具体的なアクションを実行します。 そして第四に「継続的なモニタリングと改善」です。経営環境や社会の常識は常に変化します。過去の成功体験に縛られず、定期的にルールや備えを見直す体制(PDCAサイクル)を定着させることが不可欠です。

7. 現代社会においてガバナンスが重視される背景

近年、企業のガバナンスに対する社会の目はかつてないほど厳しくなっています。その背景には、インターネットやSNSの普及による「情報の流動化」があります。ひとたびコンプライアンス違反や不祥事が発生すれば、その情報は瞬時に世界中へ拡散し、企業のブランド価値や信用は一夜にして失墜します。過去には、一つの不祥事に対するリスクマネジメントを誤ったために、倒産に追い込まれた大企業も少なくありません。

また、現代はVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代とも呼ばれ、気候変動による自然災害の激甚化や、新たな感染症の拡大、サイバー攻撃の高度化など、これまでの想定を遥かに超える巨大リスクが次々と現れています。こうした予測困難な時代を生き抜くためには、「うちは大丈夫だろう」という根拠のない楽観論を捨て、最悪のシナリオを想定したリスクファイナンスや内部統制をあらかじめ組み込んでおくことが、企業の社会的責任(CSR)としても強く求められているのです。

8. まとめ:持続可能な企業価値の向上に向けて

ガバナンス(内部統制)と聞くと、多くの人は「ルールによる縛り」や「自由な経営を阻害するコスト」というネガティブなイメージを持つかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。

本来のガバナンスとは、企業が萎縮するためのブレーキではなく、社会という荒波の中でより速く、より安全に走り続けるための「高性能なブレーキとナビゲーションシステム」です。信頼できるブレーキがあるからこそ、経営者は自信を持ってアクセルを踏み込み、大胆な事業投資やイノベーションへと挑戦することができます。

リスクマネジメント、コンプライアンス、リスクファイナンスの3つを分かりやすく理解し、組織の全従業員が共通の意識を持って日々の業務に取り組むこと。それによって構築される強固なガバナンスこそが、企業の持続可能な成長を支え、顧客、従業員、株主、そして地域社会からの揺るぎない信頼を勝ち得るための、最大の原動力となるのです。


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