情報の停滞は機会損失を増幅 中小メーカ向け経営改革の考察(その25)

 前回のその24に続いて解説します。会議での決定事項、各種重要情報、問題発生状況及び企業内の出来事などの情報の伝達が円滑に行われる事で、問題解決を促す基礎が整います。これらの情報が的確に伝達されないで停滞すると損失を再発させ、生産性の向上を阻害します。問題解決がいつまでも図られない状態が見られる場合、情報伝達がどこかで停滞していないか、点検が必要です。
 
 情報の伝達を円滑にするに際し、人として欠かせない事は「挨拶、感謝、なぜの心」です。このいずれが欠けても情報伝達を円滑化させることは困難です。機会あるごとにこの「3つの心」を私は提唱する事にしています。
 

1.「挨拶の心」

 「おはよう、こんにちは、お疲れさま、お先に失礼」などの挨拶を交わす事は互いの心を通わせる潤滑剤であって、ムスッとしておれば互いに言葉を交わす気になりません。当然のことですが、情報は伝わりにくいことになります。
 

2.「感謝の心」

 注意された時、教えられた時、指示された時、連絡を受けた時など「分かりました、気をつけます、ありがとう」といった言葉は「感謝の心」があることで自然に出てきます。これらの言葉を聞くと、丁寧に情報の伝達を行いたくなりますが、返答もろくにされないと、情報は避けて通るようになるのが人情です。 
 
 感謝の心は人間の成長に不可欠であって、その心の乏しい人は成長が見込めません。「あいつには何を言ってもだめ」と諦められるのは感謝の心のないことに起因します。
 

3.「なぜの心」

 指示を受けてその内容が理解できていない場合「なぜですか」と質問しなければ、指示した人は「言ってあるのに実行しない、間違った事をしている」などと思って不信を募らせます。生返事で済まさないで「なぜですか」と質問するように努めることが大切です。
 
 ただし、質問を的確に行う事は簡単ではありません。指示・伝達が行われた後で暫くして、何かの切っ掛けで理解不足に気づく事は誰しも経験します。その時は、反省点を明らかにして質問の要領を体得することが必要です。また、指示・伝達された情報に基づいて行動する手順を、目的に照らして考えることで判らないことに気づくから、行動しながら考えるように努めることも大切です。そして、判らないと気づいたら即時質問するようにします。また、質問を受けた人は「説明の仕方について改...
める必要のあることを指摘された」と感謝の気持ちで回答すれば、信頼関係は強化されます。
 
 以上の3つの心は「情報伝達に必須の心」です。情報伝達が良くないと批判する前に、これらの何かが欠けていなかったか、自分の行動を振り返る事を全社の運動にして、互いに指摘し合う関係を作りましょう。代表者は特に熱心に繰り返し説き続け「情報伝達に必須の心」が浸透するように努め、自らも実践することで情報伝達の風土は大きく向上していくでしょう。これらが欠けていると、情報伝達の技法を学んでも上滑りする事は間違いありません。
 

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