工場内物流の三つの役割

 生産効率を劇的に向上する工場内物流の三つの役割を、解説します。顧客のオーダーに基づき資材を調達して超短納期でものづくりを行い、効率的かつ低コスト物流にて製品を顧客のもとへ届ける。この管理を着実に実行していくのがサプライチェーンマネジメントの本質です。
 
 全ての工程が同期し淀みなく清々とモノが流れていくサプライチェーンを構築していくために、物流、特に工場内物流は次の三つの役割を果たしていかなければなりません。
 

 1.工場内物流の役割1

 第一の役割は「サービス業」としての役割です。物流サービス水準が低いために、図1.に示すようなムダが発生していることがあります。まずサービス水準を向上することで、生産ラインが本業に特化できる環境を整備することに努めます。生産ラインに部品を供給する際の理想的なコンセプトは、「タイムリーに」「使う順番で」「部品だけを」「今必要な数だけ」渡すリレーのバトンタッチのイメージです。

 
                        
図1.生産ライン稼働状況の例
 

 2.工場内物流の役割2

 第二の役割は「生産統制」を行う役割です。供給作業で生産統制を行う方法について考えてみましょう。必要なタイミングに、次回の生産に必要な数量の資材と完成品用容器および出荷用ラベルを生産ラインに届ける。この供給作業が生産ラインへの実質的な「生産指示」になるのです。必要なタイミングで必要な完成品だけを引き取り、余分なものは引き取らないことも生産統制となるでしょう。
 

3.工場内物流の役割3 

 第一の役割と第二の役割が構築できたら、第三の役割が待ち構えています。それが「物流自体の効率化」である。「サービス業」だから、「生産統制」を行わなければならないから、効率化を免れると...
いうことはありません。工場ではどの部署であれ「改善」の手を止めることは許されません。
 
 工場内物流は三つの役割をこの順番で実行することで、生産効率向上に寄与することができます。間違っても最初に物流効率化を行い、生産ラインへのサービスが滞ることにならないよう注意することが肝要です。
 
 この文書は、 2015年4月30日の日刊工業新聞掲載記事を筆者により改変したものです。
 

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