中小メーカ向け経営改革の考察(その1)

<経営システム>が業績を左右する                                   

 経営管理、マーケティング、生産技術、固有技術、等々――大部分の中小製造業では、こういった個々の経営要素はすでにかなり高度化されている。しかし、これらを統合すべき<経営システム>の機能化、活性化が図られている企業は少ない。そのために機会損失が随所に発生し、業績向上を阻まれている。
 
 一方では「見える化」「ムダ取り」「5S活動」等でコストダウンに大きな成果を上げ、それが業績向上の端緒となった企業の事例が見られます。ところが他方、同じような取組み方をしても受注単価の切り下げにあい、一時的に効果を発揮したものの経営業績に反映していない事例もあります。両者の差異はどこから出てくるのでしょうか。
 
 固有技術と管理技術は車の両輪と言われており、その開発に取組むことはもちろん重要です。しかし、その視点とは別に、<経営システム>を活性化する視点が必要です。
 
 「見える化」「ムダ取り」「5S活動」等でコストダウンに取組み、生産性の向上に成果を上げるのと同時に、<経営システム>の活性化を阻む要因を見つけ出し、その再発防止策を研究することで、生産性のさらなる向上効果を得ることが可能になります。
 
 〔経営方針〕
<経営システム>の主柱をなすものである。一朝一夕に創り上げられるものではなく、数年がかりで修正を重ねることで魅力ある内 容が導き出されます。
 
 〔事業計画〕
<経営方針>の中に含まれ、企業の将来展望を具体化させる重要なものです。
 
 この<経営方針>から<事業計画>に展開する方法が非常に大切です。<経営方針>に基づき<事業計画>を立てるに際して、現状把握をしっかりと行わず一足飛びに将来展望を目指した事業計画を立てていたり、事業計画の内容が抽象的で具体性に乏しかったりすることがあります。
 
 このようなことから、<経営方針>に基づき適正な<事業計画>を立てると、<経営システム>の機能化・活性化を図る事が可能になります。その結果、従業員の意欲が導き出されるようになり、技術開発を促進させる環境も整うのです。
 
   ◆経営システム活性化を阻む要因。
 
   ①経営理念、経営方針及び事業計...
画の相互間の整合性の不足
   ②経営方針、事業計画及び生産技術の相互関係の整合性の不足
   ③方針展開の連続性の欠如
   ④目標管理と能力開発の関連性の欠如
   ⑤情報の停滞
   ⑥考課制度と能力開発の関連性の欠如
   ⑦経営層の粘りと情熱の不足
 
 これらについて以下に概要を示した上で、(その2)以降で解説します。
 
 ◆経営システム活性化の阻害要因と留意点
 
                      
 次回は、(その2)経営理念・経営方針・事業計画の関係を解説します。 

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