『 現場に日が当たる 』と『 現場に日を当てる 』について

 これは、現場を長年這いずり回って得た私の考え方ですが、“現場に日が当たる”と言うのは、現場に自然に(現場側に)日が当たると言うことで、“現場に日を当てる”と言うのは、意識的に(経営側が)日を当てると言うことです。 

 

1.現場に日が当たる

 私が現場診断・指導の時には現場の皆さんに、前者の“現場に日が当たる”と言う話をしています。「皆さんは色々な部門の方から見られていることを意識して良い仕事をしましょう。」と言う話です。 

 その色々な部門とはどこでしょう?例えば、設計部門は、その具現化が現場ですから、設計通りに製品が出来るか。営業は、お客様に約束した納期、数量を守っているのか。そして管理の方は、納期だけでなく、品質問題に対しての流動遅れや欠品は無いのか。もし流動中の製品数に不足が生じた場合は、補填投入を行って納期に間に合うように管理し、採算面も含め、工場流動中の全体管理と言う観点で現場を見ています。

 技術部門は、自分たちが指示したとおり加工出来ているだろうか。やり難いとか、加工条件などの問題はないか。また品質部門は、品質問題が起きないかです。

 品質問題が起きると、QCDいずれも確保できなくなります。つまり、現場で良いものを作っているかを、このQCDの観点で見ているので、手を抜かず一生懸命作りましょう、と言う話をしています。これらは現場に自然に日が当るという例です。

 

2.現場に日を当てる

 経営者トップが現場に良く入ると言うことです。例えばその工場のトップのみならず、本社から役員が来て現場に入ると言うことがあると思います。

 本来は事前に情報を出してしまうと予め3S等が進められて、表面的には良い現場に見えます。役員側からすれば、飾られてしまい事実が見られません。しかし事前に情報を出すメリットもあります。

 例えば、「何月何日に本社から役員が工場に来ます。現場にも入ります」と言う情報が出たとします。すると、先ず現場の班長とかリーダーといったメンバーに、現場を良く見るように指示が入ります。そして段々その日が近づいて来ると今度は課長が、そして直前になると部長が巡回するようになって来ます。

 来る日が分かっているのだから、自分の評価もあるかも知れませんが、良い工場を見せたいとか役員から叱られたくないのが本音だと思います。このように徐々に上層部の方が現場に入るようになります。その過程で、「あの設備のカバーは外したままだがきちんと取り付けておきなさい。」とか、「電気の配線が床に無造作に這いずっているが、通行の邪魔にならないように、きちんと揃えたり、束ねておきなさい。」などと指摘され、改善されていき、このような繰り返しから事故・災害の芽が摘まれることになります。

 住めば都と言う言葉もあるように、自分たちの現場は気付いていても対応慣れてしまい、第三者でなければ異常に気がつかないことも有ります。トップの訪問は、それらが改善される機会でもあります。本社から担当役員が来る場合や、自社工場のトップであっても、高い頻度で現場に入るとこのように災害の芽が摘まれるので、事故・災害の発生件数がかなり減ります。

 トップがほとんど現場に入らず口だけで指示をしていると、事故災害の発生頻度が多くなります。またそう言う役員に限って、事故や災害発生の報告を受けると、「日頃からあれだけ口を酸っぱくして言っていたのに」と言う言葉が出て来ます。

  これは、安全担当の方の話でも話題になります。担当役員が交代になった。今度の役員は良く工場に来たり現場に入る。その時を境に事故災害が減ったなどです。

 工場にも入らず無管理状態では、工場の中は荒れ放題で事故災害も多くなります。折角黒字経営が...

出来ていても、労働災害の発生によりその黒字が吹き飛んでしまうかもしれません。仕組みだけ作っても、うまく行かないのです。

 このように、トップが現場に良く入るほど、事故災害の発生頻度が減り、それによって安全だけでなく3S が行き届き、品質や効率面も向上します。“現場に日を当てる”と言うのは、こういうことなのです。

 その過程で従業員は、日頃雲の上にいると思っていた役員と直接会話が出来ます。これによっても従業員の満足度が向上します。つまり製品品質だけでなく、人の品質も向上するわけです。難しい顔をして、机上で数字やデータばかりを見ているのではなく、現場を大切にし適度に日を当てるようにするのも、立派な経営というものです。

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