【快年童子の豆鉄砲】(その119)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(6)

 
  

 

前回の【快年童子の豆鉄砲】(その118)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(5)からの続きです。

 

前回までで、このQCサークル活動スパイラルアップ戦略推進活動が、トップマネジメントにとって、ミドルマネジメントにとって、サークルメンバーである社員にとって、そして、大上段にTQM推進上いかに重要で必要不可欠かをご説明した上で、活動の進め方を簡単な説明付きの図式でご説明しましたので、大局はご理解願えたのではないかと思います。

 

ただ、実施するとなると、企業の挑戦的なプロジェクトが絡むだけに、下手をするとプロジェクトそのものの成否も関係して来ますので、そのようなことにならないで、プロジェクトの成功を、サークルメンバーを含めた全社員が、我がこととして喜び合えるようにするための諸注意をラウンドごとに詳しくご説明しますので、参考にして頂ければと思います。

 

【QCサークル活動スパイラルアップ戦略の進め方】

1. 全社員が、QCサークルメンバーとして参画

この「QCサークル活動スパイラルアップ戦略」の肝は、全社的重要プロジェクトのスタートから、意見聴取などの形で、全社員が、QCサークルメンバーとして参画するところにあります。大変ですが、ご説明したようなQCサークル活動を仕上げるには必須ですので、これからご説明する一般論の趣旨をご理解願い、各企業の事情に合わせてアレンジして頂き、各企業にとって少しでもやりやすい形で取り組んで頂き、成果につなげて頂ければと思います。

 

2. アプローチ・ラウンド(AR)の進め方

1)職制の準備期間

格好つけてこんな名前を付けましたが、要するに、職制(課長クラス以上)の準備期間で、ポイントは次の3点です。

 

それぞれの意味や背景、並びに、それらをどのように進めるのかを次項以降に説明しますので、AR推進の参考にして頂ければと思います。

 

2)指導の受け手となり得るリーダーの選定(A)

この「QCサークル活動スパイラルアップ戦略」の最終目標は、サークル活動を自主自立に導き、職場の改善推進の一翼を担ってもらうことにありますので、サークルの実力向上のための職制による強力な支援が欠かせませんが、職制が前面に出た支援では「自主自立」の芽を摘んでしまいかねません。

 

それを防ぐためには「職制の指導・支援は、サークルリーダーを通して行う」のを基本方針とする必要があるのですが、リーダーが、職制のそういった指導の受け手になり得る人材であることが必要です。従って、リーダーの人選がポイントで、これが最重要課題になります。

 

要するに、サークルメンバーが、リーダーのもと、自主的な活動をしていると実感できるような支援を、リーダーを通じてできるかどうかは、リーダーの力量によるわけで、もし力不足であれば、成長を支援した上で、活動に入るくらいの重要課題と言うことです。

 

3)サークルの得意技(CC:コア・コンピタンス)で成果の出るテーマの選定(B)

「リーダーの選定」の次に重要なのが「活動最初のテーマの選定」です。

 

一般的には、職場の目標をサークルに割り振って、それぞれのサークルが目標を達成したら、職場の目標達成につながり、職場の一体感を体感できるようにします。この場合、決められた目標を達成しようとするわけですから各サークルの力不足の点が注目され、その補強が職制支援の中心になりますので、たとえ目標を達成できても、サークルとしてはやらされ感が強いのと、弱点を指摘されたことによる自信喪失感が生じがちですので、それ以降のサークル活動に対する意欲がそがれる心配があります。

 

この点に関する「QCサークル活動スパイラルアップ戦略」の取り組みは、最初の活動の主眼を“サークルのやる気醸成”に置き、テーマの選定を“そのサークルの得意点(CC)が生きるもの”にしますので、このARにおける職制の重要課題として“サークルのCCの把握”が挙げられます。これは日頃疎遠になりがちな職制にとっては大変難しい課題ですが、サークルのCCを把握できた時点で、そのサークルに対する理解が深まると同時に、サークルにとっては、自分たちの得意な点に注目してそれが生きるテーマを選んでもらえたことで、それ以降の活動に対する意欲につながりますので、注力に値する努力として取り組んで頂ければと思います。

 

テーマをこのような考えで選定しますと、目標達成に必要な成果がサークル活動だけでは不足する懸念が生じますが、足らない分は、職制が別のテーマの活動でカバーすると宣言することで、職制を含んだ職場の一体感を伴った目標達成が出来るようにすることが重要です。

 

4)集まり易い環境作り(C)

これは、QCサ-クル活動の意義と会社の期待するところに対する理解をサークルに浸透させるARと、0R以降の定常活動との2種類を考える必要があります。

 

と言いますのは、後者(0R)は、小刻みでよいから定常的に続けることが出来る点が重要ですが、前者(AR)は、今後の活動の原動力を支えるQCサークル活動の意義と会社の期待する内容に対する理解を得るためですのでじっくりと時間をかける必要があるからです。従って、受注状況などから定時間内が無理な場合は、休日や定時間外の時間を、残業手当てを払ってでも準備する必要があるからです。

 

こればかりは、各サークルや職場で決めるわけには行かず、次項で取り上げる「職制戦略会議」の重要課題として取り上げることになりますので、そこに対する提言内容をしっかり議論してまとめておく必要があります。

 

5)職制戦略会議の実施

この「職制戦略会議」は、様々な職場事情と力量を抱えるQCサークルが、会社が期待する思惑に従った活動により成果を生む中で、サークルメンバーの自己実現の場として機能するための、会社としての支援体制を議論し確立するための戦略会議です。

 

先ず、会社としてト...

ップダウン的に作成したものを各職場、各サークルで検討し、生じた意見を持ち寄って検討して修正することを繰り返して最終的な形にするわけですから、目途として半年くらいは念頭に置いておく必要があります。長いようですが、企業が期待するところの大きさから言って、時間を惜しむと禍根を残すことになることを肝に銘じておく必要があります。

 

進め方としては、QCサークル活動の必要性が差し迫っている職場を対象に活動を開始し、その中で発生した諸問題を解決する過程でモデルを作り、それをベースに会社としての展開を進めるという方法があります。これは、筆者が実際に経験した事例ですが、この職場での著しい活動成果と、その職場の人たちの口コミから、周囲の職場から、自分たちの職場でもQCサークル活動をやりたい、という声が高まり、半年後に会社としてのQCサークル活動のキックオフをしたのですが、非常にうまく行きましたので、お勧めです。

 

0R(ゼロ・ラウンド)以降の進め方は、次回以降でご説明します。

 

 

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