普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その164) 体感での思考とアナロジーとの関係

 

これまで五感を一つ一つとりあげ、それぞれの感覚のイノベーション創出における意義と、そこに向けての強化の方法について解説してきましたが、今回からは体感での思考とアナロジーとの関係を考えます。

【この連載の前回:普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その163)へのリンク】

1. アナロジーとは

アナロジーとは説明しにくい物や事を説明する場合に、すでに知っている他のもっとわかり易い物や事になぞらえて説明することです。たとえば蜘蛛の巣を説明する場合に(蜘蛛の巣を見たことの無い人を対象にと仮定して)、蜘蛛の巣は魚の網にとりもちがくっついているようなものなどと、その人がすでに知っていると思われるものを例に説明することです。

 

2. アナロジーの発想法への利用

しかし、アナロジーは説明しにくいものの説明以外に、発想法としても活用できます。蜘蛛の巣の例で言うと、バイオミメティクス(生体模倣科学)という概念がありますが、これは植物や動物の構造を利用して有用な材料やものを創出しようというものです。たとえば、蜘蛛の巣の特徴から何か有用なものができないかを考える場合、蜘蛛の巣ととりもちのついた漁網をアナロジーとしてとらえてみると、そこから面白い発想をすることができます。

 

3. 蜘蛛の巣の例

具体的には、アナロジーを利用してアナロジーの対象と比較して以下のように「類似点/異なる点」×「優れる点/劣る点/どちらでもない点」などマトリクスで考えてみることで、イノベーションを誘発するような、さまざまな蜘蛛の巣の特徴を明確に理解することができます。

 

(1)とりもちのついた漁網と「他に」どのような類似点があるか

単に今回アナロジーの対象とした事項(網状のものにくっつける)以外に、両者に何か他に類似点はないかを考えてみます。

 

【優れる点】

 

【劣る点】

 

【どちらでもない点】

 

(2)とりもちのついた漁網との異なる点は何か

【優れる点】

 

【劣る点】

 

【どちらでもない点】

 

以上のアナロジーで明らかになった蜘蛛の巣の特徴により、そのイノベーティブな...

活用法を考えてみる。たとえば、蜘蛛の巣の糸のようなものを使って、その弱点を補強する技術を加えて、(最初は粘着性があるが、乾くと強固になる糸状のものを使って、)構造物を作るなどがあると思います。

 

4. 同じ点、異なる点を広く考える場合に体感が多いに活用できる

それではこのアナロジーの発想法と「体感で思考する」とは、どのような関係があるのでしょうか?この解説は、次回行います。

 

次回に続きます。

 

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