流れ生産:ジャスト・イン・タイム生産(その54)

 

 

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【実践編 第3章目次】

第3章 平準化で生産の波を小さくする

1. 生産を平準化する
2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須←今回の記事
3. 不良ゼロを目指す品質保証とポカヨケのしくみ

 

第3章 平準化で生産の波を小さくする

「平準化」は、生産の波を小さくする改革であるとともに、需要と供給を一致させる生産のしくみづくりです。この章では「生産計画の平準化」「段取り替え改革」「品質保証とポカヨケ」について説明します。

2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須

多品種化に対応するほど段取り替えは頻発する。改革のポイントは段取り時間と5つの定石。

(5)段取り替え改革5つの定石

【前提: 「5S・3定」】

段取り替え改革に限らず、 イノベーションはすべて「5S・ 3定」が出発点となり、これで改革の基礎をつくります。段取り替え改革についても、前提として、「5S・ 3定」を実施します。なかでも、重要なのが整理と整頓です。

 

◆勘所① 捨てる

不要物を捨てること。迷ったら捨てる、なにしろ捨てる、の精神で徹底する。赤札作戦を実施する。

 

◆勘所② 表 示

表示:場所表示・型表示などの看板掲示、台車・工具などの位置を表示する3定(定位・定品・定量)による看板作戦を行なう。

 

【定石① 「手」は動かしても「足」は動かすな-歩行ゼロ】

下手な段取り替えは、実によく歩くものです。スパナを取るために歩く、台車を探すために歩く、型を取りにいくために歩く。…等々。 1歩歩けば、1秒。10歩歩けば、10秒。戻ってくるためにさらに10秒かかり、合計20秒かかってしまいます。段取り替え時間は、歩行数に比例して長くなるのです。

 

そこで、できるだけ歩かなくてもすむ方法を考えます。

 

◆勘所① 専用化

段取り替え専用台車・専用工具を使う。とくに、工具は手許化(肩の動きの範囲に置く)し、整頓する。

 

◆勘所② スイッチの手許化

スイッチや操作盤が段取り替え作業の場所から離れていると、どうしても歩行が伴います。段取り替え作業に必要なスイッチ類は、使用場所の近く 腕が届く範囲)に移動、 もしくは増設しましょう。

 

【定石② 福は内、鬼は「外段取り」-内段取りゼロ】

前述のように、段取り替え時間には内段取り時間と外段取り時間があります。このうちの内段取り作業を観察して、その作業を外段取りにできないかを考えます。このようにして、徹底的に外段取り化を図ったあとに、内段取りの改革・改善に取り組みます。

...

 

この作業のポイントは次の2点です。

 

◆勘所① 作業のオモテ化

「段取り作業分析表」で作業を洗い出し、オモテ化します。

 

◆勘所②「なぜ」を繰り返す

なぜその作業は内段取りなのか、徹底して「なぜ」を追究します。

 

次回は、定石③から解説します。

【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)

 

◆関連解説『生産マネジメントとは』

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