早わかりEDA:Electronic Design Automation

 

集積回路、プリント回路基板設計と検証に使われるワークフロー、アプリケーション、手法は、CAE (Computer-Aided Engineering) と Electronic Design Automation (EDA) ソフトウェアが発明されて以来、製品開発に貢献してきました。

 

一方、集積回路の微細化に伴い、これらのシステムを設計、テスト、検証、構築するコンピューティング処理能力の要件は著しく増大しています。CAE、EDA と次世代の電子製品で膨大な規模のデータ管理とコンピューティングへの必要性が高まっています。

 

今回は、このような背景を踏まえて、EDAの概要を解説します。尚、探索的データ解析、Explanatory Data Analysis(EDA)については、本稿では扱いません。

◆関連解説『情報マネジメントとは』

 

1.EDAとは

集積回路、電子機器などの設計作業自動化ツールのことがEDA(Electronic Design Automation)です。EDAでは、CADを使用して回路の配置配線などの構造を自動的に計算します。高集積の集積回路でも複雑な設計を容易に行うことができます。

 

なお、EDAは単にDesign Automation:DAと呼ばれることもあります。電子機器に対する市場からの要求としては、多機能・高機能、小型軽量、低価格、低消費電力化などが挙げられますが、企業にとっては、いかに早く市場投入できるかが、生き残るためのキーポイントです。そこで、EDAツールを使ってコンピュータ上で実験して、実機によるテスト回数を減らして開発コストを低減します。また、設計期間を短縮し、早期に次期製品開発に着手して、人的リソースを有効利用し、競争力を維持することも可能になります。過去の設計の再利用が容易だという点もEDAツールの利点として見逃せません。

 

製品設計を効率よく検証および評価できるEDAは、設計プロセス・設計サイクルの回数を減らし、製品開発リードタイムを短縮することができますEDAは、プリント回路基板設計を支援するために、高性能化と複雑化の一途をたどる製品の開発課題に対処できます。

 

2.自動化ツールとは

自動化というと人間の力を借りずに全ての業務を処理する便利なロボットのようなものを、考えてしまう方もいると思います。自動化によって人間の作業が削減され、負担の大きかったマニュアル操作ではツールに作業を任せることができるようになったりします。

 

これにより、コスト削減に直接的に繋がる部分も多いわけです。一方、今まで人力でこなしていた分野を自動化するとなると、人が判断していた多大な処理や手続きを再現する必要が出てきます。この場合は、理想的な自動化システムを作り上げて導入する手続きは、多大な労力とコストがかかってしまう可能性もあります。

 

3.自動化ツールの役割と分類

 

(1)テスト自動化ツール

テストの自動化は、人的コストの削減と人為的なミスに伴うテストの失敗・テスト品質の低下を防ぐ役割があります。これはソフトウェアの動作を確認するためのプロセスを自動化するツールです。

 

テスティングのフレームワークは、テスト目的やテスト対象に応じて様々なものがありますが、フレームワークを利用することで、チェック内容の記述や実行、検証からレポート作成までできるのが共通した特徴です。

 

(2)ビルド自動化ツール

ソースコードをもとに実際に動くプログラムを作り出す作業をビルドと言い、これを自動化できるのがビルドの自動化ツールです。ビルド自動化ツールを活用すると、ソースコード...

をコミット後にコンパイルからビルド、ものによっては自動テストやパッケージングまで自動で行えます。

 

4. 自動化ツール導入時のポイント

自動化導入を失敗すると導入前よりも工数が増えるトラブルになることもありますので注意して下さい。自動化ツールは年々改良されて新規のツールが開発されたりしていますので、導入前の自動化箇所の検討からツールの選定に到るまで、自社の既存の業務フローにとらわれず、課題解決を重視した自動化ツールを選択するが重要です。そのためにも、流行りのツールや多くの企業で利用されるシステムを安易に取り入れるべきではありません。活用するツールの特徴を理解して、目的に沿ったものを選択することが重要です。

◆関連解説『情報マネジメントとは』

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