早わかり、シリコンフォトニクスとは

シリコンフォトニクス

 

次世代の半導体製品の製造技術として、シリコンフォトニクスへの期待が高まっています。これはシリコン半導体チップと、化合物半導体の高周波・光デバイスを融合させた半導体製造技術で、従来別々に製造していたチップを高集積・小型化して次世代の高速通信ネットワークなどの高度化に対応するものです。

 

ICTの基盤としての光伝送技術分野では,光デバイスそのものを省エネルギー化すると共にICTシステムを省エネルギー化する取り組みが進められています。その実現のためにも、光デバイス小型・集積化の今後を担うシリコンフォトニクス技術の発展が期待されます。

今回は、このような背景を踏まえてシリコンフォトニクスの概要を解説します。

 

1.  シリコンフォトニクスの仕組みとは

 

シリコンフォトニクスという技術領域は、各種の微小光デバイス、微小光デバイスを要素とする集積回路、CMOSプロセスの活用によるリーズナブルな高精度加工の3点で特徴づけられ、その応用領域は、光伝送だけにとどまらない可能性も持っています。応用領域としては、広域光ネットワーク向けの光トランシーバ、広域光ネットワーク向けの光スイッチ等の制御、装置内ボード間、ボード内チップ間、チップ内の光インターコネクトが考えられ、各々、実用化に向けた動きが活発になっています。例えば量子ドットレーザを組み込むシリコンフォトニクスによりサーバを光電子化すると、100倍の処理速度、1/10の電力消費、1/100の実装面積を実現し、処理速度の壁をレーザー技術で超えることができます。

 

2.シリコンフォトニクスの市場

 

シリコンフォトニクス市場は2025年までに25億ドルに達すると予測されています。シリコンフォトニクスは半導体レーザーと集積回路の組み合わせであり、デバイスは光通信に高度に展開されています。

 

光回路の通信分野は、シリコンフォトニクスの最大の市場です。通信は、5Gなどの新技術の爆発により成長を遂げました。インターネットの普及は、ユーザーに中断のないサービスを提供するために、より高い帯域幅を必要とします。シリコンフォトニクスは現代のインターネットのバックボーンと言うことができます。

 

アリババクラウドは2020年、DXの取り組みを支援する準備を進める中で、今後3年間でデータセンターの建設に282億ドルを投資する発表をしました。このようなデータセンター開発への取り組みの高まりにより、高速接続の中心に位置するシリコンフォトニクス技術の大幅な市場規模拡大が見込まれます。

 

シリコンフォトニクスは光学変調器に革命をもたらす有力な技術でもあります。またフォトニクスと電子機器を統合して計算能力を高めることも、市場を押し上げる大きな力です。これらシリコンフォトニクスに関する新たな研究には、低コストで成熟した製造技術のCMOSプロセスを活用できることが強みです。

 

3.シリコンフォトニクスと次世代LiDAR

 

シリコンフォトニクスの強みから自動運転車について考えましょう。レベル4やレベル5の自動運転車向けに開発されているセンサーは、全周レーダーと前方レーザーを使って周囲の環境をモデル化していますが、既存のLiDARは他の対象物の速度を測定する能力に限界があります。

次世代のLiDARには、放射光と反射信号との差異を調べることで対象物の速度を測定する能力を大幅に向上することが求められます。この課題を技術解決するには、既存のLiDARでは複雑さが増しコストがかかり過ぎます。ここで一つのフォトニクス集積回路にレーザーと光増幅器を組み込むことにより、コストが大幅に低減されると同時に、信頼性と処理性能がともに向上します。

 

CES 2021でモービルアイは、LiDAR用のシステムオンチップを発表しました。アクティブおよびパッシブレーザー素子の組み合わせから垂直に184本の走査線を生成して処理するシステムです。インテルはこのシステムオンチップを、米ニューメキシコ州の自社工場で製造する予定で、製造工場建設に最先端パッケージング技術への投資として3843億円を投入しています。

 

システムオンチップは、6000個以上の部品で構成される精密機器ですが、シリコンフォトニクスの応用により、出荷開始時(2025年)には、モービルアイのコスト削減がさらに見込まれるでしょう...

シリコンフォトニクス

 

次世代の半導体製品の製造技術として、シリコンフォトニクスへの期待が高まっています。これはシリコン半導体チップと、化合物半導体の高周波・光デバイスを融合させた半導体製造技術で、従来別々に製造していたチップを高集積・小型化して次世代の高速通信ネットワークなどの高度化に対応するものです。

 

ICTの基盤としての光伝送技術分野では,光デバイスそのものを省エネルギー化すると共にICTシステムを省エネルギー化する取り組みが進められています。その実現のためにも、光デバイス小型・集積化の今後を担うシリコンフォトニクス技術の発展が期待されます。

今回は、このような背景を踏まえてシリコンフォトニクスの概要を解説します。

 

1.  シリコンフォトニクスの仕組みとは

 

シリコンフォトニクスという技術領域は、各種の微小光デバイス、微小光デバイスを要素とする集積回路、CMOSプロセスの活用によるリーズナブルな高精度加工の3点で特徴づけられ、その応用領域は、光伝送だけにとどまらない可能性も持っています。応用領域としては、広域光ネットワーク向けの光トランシーバ、広域光ネットワーク向けの光スイッチ等の制御、装置内ボード間、ボード内チップ間、チップ内の光インターコネクトが考えられ、各々、実用化に向けた動きが活発になっています。例えば量子ドットレーザを組み込むシリコンフォトニクスによりサーバを光電子化すると、100倍の処理速度、1/10の電力消費、1/100の実装面積を実現し、処理速度の壁をレーザー技術で超えることができます。

 

2.シリコンフォトニクスの市場

 

シリコンフォトニクス市場は2025年までに25億ドルに達すると予測されています。シリコンフォトニクスは半導体レーザーと集積回路の組み合わせであり、デバイスは光通信に高度に展開されています。

 

光回路の通信分野は、シリコンフォトニクスの最大の市場です。通信は、5Gなどの新技術の爆発により成長を遂げました。インターネットの普及は、ユーザーに中断のないサービスを提供するために、より高い帯域幅を必要とします。シリコンフォトニクスは現代のインターネットのバックボーンと言うことができます。

 

アリババクラウドは2020年、DXの取り組みを支援する準備を進める中で、今後3年間でデータセンターの建設に282億ドルを投資する発表をしました。このようなデータセンター開発への取り組みの高まりにより、高速接続の中心に位置するシリコンフォトニクス技術の大幅な市場規模拡大が見込まれます。

 

シリコンフォトニクスは光学変調器に革命をもたらす有力な技術でもあります。またフォトニクスと電子機器を統合して計算能力を高めることも、市場を押し上げる大きな力です。これらシリコンフォトニクスに関する新たな研究には、低コストで成熟した製造技術のCMOSプロセスを活用できることが強みです。

 

3.シリコンフォトニクスと次世代LiDAR

 

シリコンフォトニクスの強みから自動運転車について考えましょう。レベル4やレベル5の自動運転車向けに開発されているセンサーは、全周レーダーと前方レーザーを使って周囲の環境をモデル化していますが、既存のLiDARは他の対象物の速度を測定する能力に限界があります。

次世代のLiDARには、放射光と反射信号との差異を調べることで対象物の速度を測定する能力を大幅に向上することが求められます。この課題を技術解決するには、既存のLiDARでは複雑さが増しコストがかかり過ぎます。ここで一つのフォトニクス集積回路にレーザーと光増幅器を組み込むことにより、コストが大幅に低減されると同時に、信頼性と処理性能がともに向上します。

 

CES 2021でモービルアイは、LiDAR用のシステムオンチップを発表しました。アクティブおよびパッシブレーザー素子の組み合わせから垂直に184本の走査線を生成して処理するシステムです。インテルはこのシステムオンチップを、米ニューメキシコ州の自社工場で製造する予定で、製造工場建設に最先端パッケージング技術への投資として3843億円を投入しています。

 

システムオンチップは、6000個以上の部品で構成される精密機器ですが、シリコンフォトニクスの応用により、出荷開始時(2025年)には、モービルアイのコスト削減がさらに見込まれるでしょう。

 

4.今後のシリコンフォトニクス市場を推進する力

 

(1)高速ブロードバンドサービスの需要の拡大:

高速ブロードバンドサービスの需要は益々高く、変調器、トランシーバなどのシリコンフォトニクスベースのデバイスは、高速なブロードバンドのアプリケーションで広く使用されています。このように高速インターネットの需要の高まりは、間違いなくシリコンフォトニクス市場を推進する力のひとつです。

 

(2)シリコンフォトニクスの新用途:

シリコンフォトニクスは、センサー、高性能コンピューティングなど、さまざまなアプリケーションに展開されています。前述の自動運転車の開発に向けた取り組みの高まりに伴い、自動運転車への次世代のLiDARの展開がシリコンフォトニクス市場に大きな影響を与えることでしょう。

 

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この記事の著者

嶋村 良太

商品企画・デザインとエンジニアリングの両方の視点を統合し、顧客満足度の高い商品開発を実現していきます。

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