リスキリングとは?概要と独学で学べるスキルについて解説!

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リスキリング

 

第4次産業革命とも呼ばれる変革が起きていますが、AIの活用等によって仕事のデジタル・自動化により、労働の代替補助が可能となるため、労働者の仕事が消失することが懸念されています。

 

仕事を失う人が増える一方、社内にデジタル・自動化に対応できるスキルを持った人材は不足しており、そのような人材確保にかかるコストも課題です。このような背景で、人材に対して新技術に対応できる能力開発を行うリスキリング(学び直し)で人材不足を解消する取り組みが始まっています。リスキリングによって、円滑に労働移動させることができれば採用コストの削減とこれまで作り上げてきた業界・組織の文化を継承できるメリットもあります。

 

今回は、リスキリングの概要を解説します。

 

1.リスキリング:Reskillingとは

リスキリングとは、デジタル技術の進化によって生じる新たな業務に対応するためのスキル教育のことをいいます。職業能力の再開発・再教育という意味で使われる言葉ですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)に対応するための人材戦略としても注目されています。

 

2.リスキリングの定義

経済通産省の審議会で発表された資料では、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されています。この定義は、社会人の転職やキャリアアップ、新たなスキルを身につけるなどで用いられるます。

 

3.リスキリングが注目を集める理由とは

リスキリングは、人材育成、特にDXのそれにしばしば用いられます。AI、IoT、ロボット技術などに関連する職業が増えていくと考えられ、こうした環境変化に適応するためにも新たなスキルを習得することが必要だと考えられるようになりました。

 

リスキリングは、企業人事にとっても労働者にとっても生き残り戦略のひとつとされています。デジタル技術の力を取り入れて新たな価値を生み出し続けるには、企業が従業員の能力・スキルを再開発するための組織的な仕組み作りが必要で、従業員が自らの価値を創造し続けるためにも、その能力・スキルはデジタル技術に関連した分野でより一層求められるようになります。

 

一部のIT技術者やシステム担当者だけにリスキリングの取り組みが絞られるわけではありません。企業の価値創造のプロセスを根本から変化させるのはDXです。したがってリスキリングは、すべての事業、人材に対して求められる取り組みと言えるのです。

 

4.リスキリングがクローズアップされている背景とは

リスキリングがクローズアップされている背景には次の3つの理由があります。

 

(1)40代・50代社員の活性化

OJTの対象外となる中堅層以降では、学びの量が個人に委ねられているのが現実で、意欲があったとしても、公私とも繁忙である時期に、自発的にリスキリングに十分な時間や費用をかけることは現実的には難しい状況にあるといえるでしょう。

 

(2)DXによるサービスや業務のデジタル化

DXというキーワードの推進役としてDX人材といわれる役割に対する、採用や育成が急務です。一方、企業が求めるDX人材をすぐに外部から確保してくることは容易ではありません。既存の従業員に対して、デジタル化のトレンドに対するスキル教育を行い、組織的底上げを考える企業が増えています。

 

(3)リスキリングへの取り組みに対する投資家・市場からの目

人材育成投資を行い業績を高める必要性は、株式市場や投資家等からも注目されています。日本の場合、ジョブ型ベースの諸外国とは一概には比較しづらい側面がありますが、先輩・上司からの経験則に基づいた教育は、デジタル化に代表される新しいテクノロジーのキャッチアップにはリスキリングのような別のアプローチが必要です。

 

5.リスキリング時代に独学でも学べるスキルとは

普遍性の高いスキルはDX時代にあっても求められ続けています。ことさら、テクニカルスキルに注目が集まりがちですが、人的交流社会のなかで成果を出すのであれば、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルは必要不可欠です。場合によっては、この2つのスキルがよりいっそう求められる時代になるかもしれません。

 

すなわち、この時代に独学で学べるスキルとはテクニカルスキル(業務遂行能力)、ヒューマンスキル(対人関係能力)、コンセプチュアルスキル(概念化能力)です。

 

このスキルは、それぞれに学びのステップがあります。

 

【テクニカル・スキル】

これは業務...

リスキリング

 

第4次産業革命とも呼ばれる変革が起きていますが、AIの活用等によって仕事のデジタル・自動化により、労働の代替補助が可能となるため、労働者の仕事が消失することが懸念されています。

 

仕事を失う人が増える一方、社内にデジタル・自動化に対応できるスキルを持った人材は不足しており、そのような人材確保にかかるコストも課題です。このような背景で、人材に対して新技術に対応できる能力開発を行うリスキリング(学び直し)で人材不足を解消する取り組みが始まっています。リスキリングによって、円滑に労働移動させることができれば採用コストの削減とこれまで作り上げてきた業界・組織の文化を継承できるメリットもあります。

 

今回は、リスキリングの概要を解説します。

 

1.リスキリング:Reskillingとは

リスキリングとは、デジタル技術の進化によって生じる新たな業務に対応するためのスキル教育のことをいいます。職業能力の再開発・再教育という意味で使われる言葉ですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)に対応するための人材戦略としても注目されています。

 

2.リスキリングの定義

経済通産省の審議会で発表された資料では、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されています。この定義は、社会人の転職やキャリアアップ、新たなスキルを身につけるなどで用いられるます。

 

3.リスキリングが注目を集める理由とは

リスキリングは、人材育成、特にDXのそれにしばしば用いられます。AI、IoT、ロボット技術などに関連する職業が増えていくと考えられ、こうした環境変化に適応するためにも新たなスキルを習得することが必要だと考えられるようになりました。

 

リスキリングは、企業人事にとっても労働者にとっても生き残り戦略のひとつとされています。デジタル技術の力を取り入れて新たな価値を生み出し続けるには、企業が従業員の能力・スキルを再開発するための組織的な仕組み作りが必要で、従業員が自らの価値を創造し続けるためにも、その能力・スキルはデジタル技術に関連した分野でより一層求められるようになります。

 

一部のIT技術者やシステム担当者だけにリスキリングの取り組みが絞られるわけではありません。企業の価値創造のプロセスを根本から変化させるのはDXです。したがってリスキリングは、すべての事業、人材に対して求められる取り組みと言えるのです。

 

4.リスキリングがクローズアップされている背景とは

リスキリングがクローズアップされている背景には次の3つの理由があります。

 

(1)40代・50代社員の活性化

OJTの対象外となる中堅層以降では、学びの量が個人に委ねられているのが現実で、意欲があったとしても、公私とも繁忙である時期に、自発的にリスキリングに十分な時間や費用をかけることは現実的には難しい状況にあるといえるでしょう。

 

(2)DXによるサービスや業務のデジタル化

DXというキーワードの推進役としてDX人材といわれる役割に対する、採用や育成が急務です。一方、企業が求めるDX人材をすぐに外部から確保してくることは容易ではありません。既存の従業員に対して、デジタル化のトレンドに対するスキル教育を行い、組織的底上げを考える企業が増えています。

 

(3)リスキリングへの取り組みに対する投資家・市場からの目

人材育成投資を行い業績を高める必要性は、株式市場や投資家等からも注目されています。日本の場合、ジョブ型ベースの諸外国とは一概には比較しづらい側面がありますが、先輩・上司からの経験則に基づいた教育は、デジタル化に代表される新しいテクノロジーのキャッチアップにはリスキリングのような別のアプローチが必要です。

 

5.リスキリング時代に独学でも学べるスキルとは

普遍性の高いスキルはDX時代にあっても求められ続けています。ことさら、テクニカルスキルに注目が集まりがちですが、人的交流社会のなかで成果を出すのであれば、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルは必要不可欠です。場合によっては、この2つのスキルがよりいっそう求められる時代になるかもしれません。

 

すなわち、この時代に独学で学べるスキルとはテクニカルスキル(業務遂行能力)、ヒューマンスキル(対人関係能力)、コンセプチュアルスキル(概念化能力)です。

 

このスキルは、それぞれに学びのステップがあります。

 

【テクニカル・スキル】

これは業務を遂行する際に必要となる知識やスキルのことなので、現場で学んでいきます。大切にしてほしいのは、好奇心です。変化を恐れない人は好奇心をもっています。新たなサービスやプロダクトが出てきたら、積極的に触れて使ってみましょう。

 

【コンセプチュアル・スキル】

これは概念化能力とも言われ、抽象的な考えや物事の大枠を理解する力を指します。論理思考力、問題解決力、応用力などです。この能力は、日常的に仕事のなかで判断・意思決定を繰り返すことで高めていけます。

 

【ヒューマン・スキル】

これは、リーダーとしてマネジメントの経験を積み、リーダーシップについて学んでください。社会行動学・心理学に触れてみるとよいでしょう。なぜ人は合理的な判断をしないのか、感情で判断しやすいのか、といったことを知っていくと、人をマネージしたり、うまく人づきあいができるようになります。

 

 

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この記事の著者

大岡 明

改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。

改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。


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