流れ生産:ジャスト・イン・タイム生産(その42)

 

【実践編 第2章目次】

第2章 流れ生産で工場に流れをつくる

1. 流れをつくる生産のライン化の手順
2. 多工程持ちで少人化を実現させる
3. 少人化で生産ラインを効率よく、柔軟にする
4. かんばんのしくみで引っ張り生産に転換する←今回の記事

第2章 流れ生産で工場に流れをつくる

実践編 第2章から、JIT改革の具体的な実践手法についての解説に入ります。「流れ生産」は、職場や現場に流れをつくる改革です。「流れ生産」「少人化」「かんばん」の3つの手法を取り上げます。

4. かんばんのしくみで引っ張り生産に転換する

かんばんは、モノの管理と作業指示のためのしくみです。わかりやすい「目で見る管理」にも有効です。

 

◆引っ張り生産は変更に強い

押し込み生産では、情報の流れ(生産計画)が先行し、現品票とモノが後工程に押し込まれます。これに対して、引っ張り生産では、かんばんとモノとが一緒に在庫され、モノが前工程に引っ張られると、かんばんが外れて、そのかんばんが前工程に対する作業指示に変わります。

 

押し込み生産と引っ張り生産の最も大きな違いは、情報とモノが一体化しているかどうかにあります。押し込み生産は、情報が大きく先行し、あとからモノの流れが発生します。これに対して、引っ張り生産は、1工程単位で細かく情報が先行し、すぐにモノも移動します。情報とモノが一体化した引っ張り生産のほうが、後工程の変化に合わせて前工程が調整しやすいのです。

 

また、押し込み生産では、生産計画通りに生産しようとするあまり、計画が硬直しがちです。これから先1週間は「確定」で、その先3週間は「確定予定」などとして、変更を忌避しがちです。生産計画を作成したときとはモノの流れが変わっていても、後工程には、計画通りの、現在では不要になったモノが押し込まれてしまいます。つまり、押し込み生産は、変更に弱いのです。

 

◆かんばんの機能①前工程に情報を伝える

かんばんは、後工程で発生したことを、前工程に伝える機能を持っています。この機能を生かして、次の2つの役割を果たします。

 

①引き取りと作業指示の情報を伝える

どのモノを、どのくらい使ったのか(だから、どのくらい必要か)、という「引き取り情報」と、これによって、何を、どれだけ、どんな方法でつくるかという「作業指示」の2つの怖報を伝えます。

 

②つくりすぎのムダを排除する

前工程は、かんばんが外れた分、つまり、後工程が引き取った分だけを生産すればよいので、ムダが出ません。逆にいうと、それ以上はつくれないという生産方式です。

 

◆かんばんの機能②モノと一体化して使われる

情報としてのかんばんは、絶えず、モノと一体化して使われることから、次の2つの役割を持っています。

 

①「目で見る管理」の道具になる

かんばんは、モノと一体化しているため、かんばんの外れ方や外れた順序などを見れ...

ば、作業進度や、いま流れているモノの優先度などがひと目でわかります。「目で見る管理」の道具としても有効です。

 

②改革のツールになる

在庫があると問題はオモテに出てきません。これと同じで、ダブついているかんばんは問題を隠してしまいます。かんばんの枚数を減らすことで問題を浮き彫りにできます。かんばんは改革のツールともなるのです。

 

次回に続きます。

 

【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)

 

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