トポロジー最適化とは

 

トポロジー最適化は、以前から存在する技術です。古くは、ミシガン大学と京都大学の教授がトポロジー最適化論文を発表しています。そして多数の研究者がこの分野に貢献されています。今ではトポロジー最適化ソフトウェアも現場で活用されています。

トポロジー最適化で、設計強度を上げ、材料使用量削減、重量削減を達成できます。また、設計空間にどのように材料を配置すれば最適構造となるのかを提案してくれるのです。トポロジーの考え方は、抽象的で普遍的法則を探るときにとても役に立つのですが、自明でないトポロジカル数の尺度で物理を見直すとこれまで違うと考えていた物質が、良く似ていることに気づいたりするのです。

 

今回は、このような背景を踏まえて、トポロジー最適化の概要を解説します。

 

1.  トポロジーとは

 

トポロジーには位相幾何学という意味がありますが、トポロジーは物質に穴をうめたりせず、切れ目を入れたり連続的に形を変化させるときに、変形前後で変わらない性質を学問する数学分野です。

 

位相とは、集合構造でのつながり具合のことです。各点の近傍系を指定することで定まります。同時に位相を研究する分野もトポロジーと言います。

 

2.  トポロジー最適化の基礎

 

設計空間の有限要素法モデル作成が、この最適化のファーストのステップです。他の部品との干渉が生じる箇所等、設計空間以外の空間は、設計範囲から除いて設計空間を定義します。すなわち、設計空間とは、構造物が存在してもよい設計の範囲です。

 

与えられた条件下でトポロジー最適化を適用するとこの設計空間の不要な部分が削られて、構造上、必要な部分のみが残った形状が生成されます。この形状は、過去や従来の設計手法からは求めることのできない斬新なデザインで工学的な要件を満たしてくれます。

 

3.  トポロジー最適化の活用

 

構造物の位相を設計変数とし、重量やコンプライアンスなどの目標を定め、制約条件に基づき最適解を導く解析をトポロジー最適化解析と言います。非常に自由度の高い形状が解析で得られます。3Dプリンタのような製造技術の進歩に伴い、形状自由度の高い部品の製造が可能となって、トポロジー最適化解析の活用範囲が広がりました。

トポロジー最適化を設計プロセスの初期段階から利用し、最適な設計をスタートさせることにより、その試行回数を削減できるだけではなく、完成品の軽量化も目指せます。

 

4.トポロジー最適化の結果

 

前述したように設計空間の有限要素法モデル作成が、この最適化のファーストのステップで、設計空間は、構造物が存在する範囲です。他部品との干渉箇所等、設計空間以外は、この範囲から除きます。設計空間モデルに対して、トポロジー最適化をしますと、構造上必要な部分が残ったものが生成され、過去にないデザインとなります。

トポロジー最適化で均質化法と呼ばれる手法を用いると、0~1間で変化する各要素の仮想密度を変数とし、その密度が各要素の必要性を表していると考え、構造上密度が0.0 の要素は不要で、1.0の要素が必要であるとします。

設計最適化は部品形状を設計視点から最適化することですが、設計最適化ツールの1つとしてのトポロジー最適化は、設計のためのソフトウェア3点の一つです。次に、トポロジー最適化以外の形状最適化と寸法最適化を整理します。

 

 

(1)形状最適化

 

最適化の対象となる部品などの表面形状を設計最適化の変数とするものが、形状最適化です。変化対象は部品の外形形状で、その物体の表面境界を動かしていくので最初の場合と見た目が大きく変わってしまうこともあります。形状最適化は位相自体が変わることはないのでトポロジー最適化とは違います。形状最適化では位相自体が変わることはないので、塊だったものに穴があいたりということはありません。

 

(2)寸法最適化

 

製品設計において定義されている寸法を設計の最適化を行う際の変数とするものが寸法最適化です。変化対象は部品の寸法で、パラメトリックのソリッドモデラーとCAEという組み合わせです。パラメータによる最適化です。

 

5. トポロジー最適化を使う意味

 

CAEの構造解析プロセスは形状を作った後の作業です。最適かもしれない形状を設計者が考え、それで良いのかどうかを検証するものです。駄目なら再度検討するというものです。3D CADなどのCAEツールは高機能で、最適構造をシミュレーションしながら検討することができます。しかしCAEによる構造解析プロセスは形状を作った後の作業です。最適かもしれない形状は設計者...

が考え、それで良いのかどうか検証するということです。

 

これでも物理的試作を作ってから試験するより効率はよいのですが、形状の発想は、設計者の知識・経験に左右されます。それがベストなのか、ベストに近いものなのかの保証はありません。限定された状況からのスタートになります。CAEを使いこなすには、結果を解釈して設計部品の形状に反映させる必要があります。このことがハードルになる方もいらっしゃるようです。

 

構造物の位相を設計変数とし、コンプライアンス(物体の変形し易さ)・重量などの目標を定め、制約条件に基づき最適解を導くトポロジー最適化を設計プロセスの初期段階から利用し、最適な設計をスタートさせることにより、その試行回数を削減できるだけではなく、完成品の軽量化を達成出来ることが、最適化ツールを使う意味とその価値です。

 

 

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