ビジネススキルを進化させる~テレワーク時代のあなたのタイムマネジメント

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1. タイムマネジメントとその背景

 タイムマネジメントとは、時間の使い方を計画し実行することです。似たものとして「スケジュール管理」がありますが、これはいつ誰とどこで会うかだけの管理を指しています。タイムマネジメントは、限られた時間で生産性を高め優れた成果を上げるためのやり方です。

 タイムマネジメントが必要とされる背景があります。国内の環境として、少子化・高齢化の進行による労働人口の減少があります。働き方改革により時間外労働の規制強化、年次休暇の完全取得などの動きもあります。労働時間が減るなかでグローバルな企業間競争はさらに激しくなっています。生産性を上げ優れた製品やサービスを提供し続けていかないと企業の生き残りができなくなっています。

2. ビジネススキルとしてのタイムマネジメント

 タイムマネジメントは限られた時間をいかに有効に使っていくか、そこにフォーカスしたビジネススキルです。これがあらためて見直されつつあるのはなぜでしょうか?

 多くの日本企業では新人向けの一般的なビジネス研修はあるものの、配属された職場のビジネススキルはその職場任せになりがちな傾向があります。つまり、本業のビジネススキルは職場によって大きなバラツキがあることが避けられません。これでは、ビジネススキルの伝承や進化は危うくなります。そのような事情から、タイムマネジメントのようなビジネススキルに関心が集まるようになったと筆者は考えています。

 さらには、コロナ禍により在宅勤務、テレワークが一気に進みました。コロナ禍を収束させることができた後も、この傾向はさらに加速するでしょう。テレワークとなると仕事の進め方において、丁寧な見える化など従来とは異なった要素が求められます。本稿では、筆者の専門領域であるプロジェクトマネジメントの知恵を取り入れながら、テレワーク時代のタイムマネジメントのキーポイントを述べていくことにします。

3. テレワーク時代のタイムマネジメント

 これまで、上司(評価者)はあなたの仕事のやり方(プロセス)とその結果(成果物)、この2つが見えていました。テレワークでこれは変ります。評価者はあなたの仕事の成果物だけしか見えなくなります。従って、成果物の重要性は変らないにしても、どういう適切なプロセスで仕事をしているか、そしてその見える化が必要になります。こういう前提をおくと、タイムマネジメントのやり方として次のような重要ポイントが浮かび上がってきます。

3-1. 見える化とプロセスのレベルアップ

【目的】業務の見える化のためとプロセスの質的レベルアップのため

  • 仕事を整理整頓して非効率なところやミスの起こりやすいところを発見する
  • 仕事を誰にでもこなせるようにして業務の引継ぎや移管を容易にする
  • 仕事のプロセスを明文化し誰がやってもミス無く同じ結果になるようにするやり方 
  • 当日やったことを仕事別に日誌として記録する(所要時間、ミス発生の状況…)
  • 前日に翌日やることを書いておく。当日の日誌はその続編として書く
  • 自分のための作業マニュアルにするつもりで書く

【成果物】

  • 進化する業務マニュアル(質的にレベルアップしたもの)

3-2. 仕事の優先順位をつける

【目的】時間という貴重な資源を何に使うかを決めるため 

【やり方】 

  • 第2象限(重要度大、緊急度小)の重要課題を達成する
  • 第1象限(重要度大、緊急度大)突発の緊急案件に対応する
  • 重要度小の仕事を常に意識して無くしていく。
    (前提)重要度については上司と食い違いがないようにする

図1. 重要度と緊急度

3-3. 目標を設定する

【目的】重要課題を計画的に達成するため

【やり方】目的とその成功基準(目標達成のレベル)、成果物、日程などの計画をつくる

図2. 成果物とは

3-4. 仕事の棚卸しをする

【目的】業務全体の進...

1. タイムマネジメントとその背景

 タイムマネジメントとは、時間の使い方を計画し実行することです。似たものとして「スケジュール管理」がありますが、これはいつ誰とどこで会うかだけの管理を指しています。タイムマネジメントは、限られた時間で生産性を高め優れた成果を上げるためのやり方です。

 タイムマネジメントが必要とされる背景があります。国内の環境として、少子化・高齢化の進行による労働人口の減少があります。働き方改革により時間外労働の規制強化、年次休暇の完全取得などの動きもあります。労働時間が減るなかでグローバルな企業間競争はさらに激しくなっています。生産性を上げ優れた製品やサービスを提供し続けていかないと企業の生き残りができなくなっています。

2. ビジネススキルとしてのタイムマネジメント

 タイムマネジメントは限られた時間をいかに有効に使っていくか、そこにフォーカスしたビジネススキルです。これがあらためて見直されつつあるのはなぜでしょうか?

 多くの日本企業では新人向けの一般的なビジネス研修はあるものの、配属された職場のビジネススキルはその職場任せになりがちな傾向があります。つまり、本業のビジネススキルは職場によって大きなバラツキがあることが避けられません。これでは、ビジネススキルの伝承や進化は危うくなります。そのような事情から、タイムマネジメントのようなビジネススキルに関心が集まるようになったと筆者は考えています。

 さらには、コロナ禍により在宅勤務、テレワークが一気に進みました。コロナ禍を収束させることができた後も、この傾向はさらに加速するでしょう。テレワークとなると仕事の進め方において、丁寧な見える化など従来とは異なった要素が求められます。本稿では、筆者の専門領域であるプロジェクトマネジメントの知恵を取り入れながら、テレワーク時代のタイムマネジメントのキーポイントを述べていくことにします。

3. テレワーク時代のタイムマネジメント

 これまで、上司(評価者)はあなたの仕事のやり方(プロセス)とその結果(成果物)、この2つが見えていました。テレワークでこれは変ります。評価者はあなたの仕事の成果物だけしか見えなくなります。従って、成果物の重要性は変らないにしても、どういう適切なプロセスで仕事をしているか、そしてその見える化が必要になります。こういう前提をおくと、タイムマネジメントのやり方として次のような重要ポイントが浮かび上がってきます。

3-1. 見える化とプロセスのレベルアップ

【目的】業務の見える化のためとプロセスの質的レベルアップのため

  • 仕事を整理整頓して非効率なところやミスの起こりやすいところを発見する
  • 仕事を誰にでもこなせるようにして業務の引継ぎや移管を容易にする
  • 仕事のプロセスを明文化し誰がやってもミス無く同じ結果になるようにするやり方 
  • 当日やったことを仕事別に日誌として記録する(所要時間、ミス発生の状況…)
  • 前日に翌日やることを書いておく。当日の日誌はその続編として書く
  • 自分のための作業マニュアルにするつもりで書く

【成果物】

  • 進化する業務マニュアル(質的にレベルアップしたもの)

3-2. 仕事の優先順位をつける

【目的】時間という貴重な資源を何に使うかを決めるため 

【やり方】 

  • 第2象限(重要度大、緊急度小)の重要課題を達成する
  • 第1象限(重要度大、緊急度大)突発の緊急案件に対応する
  • 重要度小の仕事を常に意識して無くしていく。
    (前提)重要度については上司と食い違いがないようにする

図1. 重要度と緊急度

3-3. 目標を設定する

【目的】重要課題を計画的に達成するため

【やり方】目的とその成功基準(目標達成のレベル)、成果物、日程などの計画をつくる

図2. 成果物とは

3-4. 仕事の棚卸しをする

【目的】業務全体の進ちょく(進みと遅れ)を確認し、必要な修整を行うため

【やり方】毎週、毎月、期末など定期的に行う

4. 仕事をうまく進めるためのヒント

  • やることリストはすべて日誌に記録する
  • どの作業にどのくらいの時間がかかったか記録する
  • ひたすら記録することが大切
  • 大きな仕事は小さな作業に細分化する
  • 週末の午後などを仕事の棚卸しのために空けておく
  • 1日8時間に予定をぎっしり詰め込まない
  • すべての日程やスケジュールには余裕をみておく

5. 本来業務の価値は何か

 「業務プロセスの質的レベルアップ」、ここが本来業務の独自価値となります。それが「進化する業務マニュアル」として生み出されます。業務マニュアルは決して新人だけのものではありません。ここでは、マニュアルは常に進化する存在として位置づけています。見える化と同時に企業価値が進化する、テレワークの時代にこそふさわしい仕事の進め方としてお薦めします。

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この記事の著者

津曲 公二

技術者やスタッフが活き活きと輝きながら活動できる環境作りに貢献します。

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