ものづくり現場の体質改善から人財育成を考える(その3)

【ものづくり現場の人財育成 連載目次】

 最近は外国人の方が日本の企業、現場で働くことが多くなりました。しかし外国人労働者をどう扱うかといったガイドラインが明確にされ、フォローはされているでしょうか。働く仲間として、人財として大切に扱っている場合もありますが、単に人材扱いというところもあるようです。この一因に、東南アジアを上から目線で見るという潜在意識があるようにも感じます。彼らが日本で働くことは、国と国との小さな外交の場かもしれませんので対等の意識での対応が肝要です。

 東南アジアの皆さんもある期間を経て帰国するわけですが、何を学んで帰るのでしょうか。初めての海外、第一印象はその人々にとっては強烈に残ると思います。粗末な扱いをしてしまうと、日本やその企業の印象は悪くなりますので価値ある時間、機会にしてやりたいものですし、帰国して発する日本の印象は、どのように拡散するだろうかと気になるところです。少し違う例えかもしれませんが、グッドマンの第二法則に似た感じにならなければいいがと思います(参考グッドマンの第二法則=「苦情処理に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミは、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、二倍も強く影響を与える。」)。

 人財育成についてはセミナーで話す一方で、自分自身の考える場にもなっています。正解がないからです。ただ、常に考えることで、その場に相応しい対応ができる。あるいはそのように高めていけるのだと考えています。

 例えば色々な企業を訪問した時に「最近の若い者は、言われなければやらない、言われてもやらない」という愚痴を聞くことがありました。“促しは命令の第一歩”とか、“一を聞いて十を知る”などと言う言葉があります。でもこういう言葉だけを切り取るのではなく、日頃から部下と良く連携し、指導を続け良い関係が構築されている。それを前提にこれらの言葉が生きて来るのだと思います。意思の疎通の事前準備です。

 そういう事前の準備をせずに、叱ったり、指導したつもりでは良くならないでしょう。部下も育て方次第で現場の力、やがては会社を支える人に育つのではないでしょうか。トップダウンとボトムアップの融合、ウイン、ウインの関係、相互信頼という風に良い関係が出来て来ると思います。

1、品質は人の質

 品質は人の質と言われます。このことは現場の長い経験から肌で感じてきました。このことはどの会社でも良く分かっているので、良い人財を採用しようとし、入社してからもさらにその能力を高めようと、様々な教育があるわけです。ただし、その沢山の教育メニューをとりあえず消化する、ということになっていないでしょうか。せっかくですから生きた教育の場にしたいものです。

2、ある中堅企業の指導例

 ある中堅企業ですが「不況でも必ず採用する」と話していました。理由を聞いてみると「景気が悪い時は採用を減らすこともあるが、ゼロにはしない。ゼロにしてしまうと、何年経っても自分が職場では一番下」。こうなるとなかなか成長しないのだそうです。

 私の若い頃もそうでしたが、後輩が入社してくると、先輩ぶって色々アドバイスしたくなる。でもうまく伝えられないこともある。また自分ではきちんと教えたつもりなのに、どうして分かってもらえないのか考えてしまうことがある。その繰り返しの中から、自分なりに答えを出し、また自分の先輩や上司に聞いてそれを参考に考えて行く。その試行錯誤の経験から教え方を学び自分も伸びていく。その過程が部下を持つ練習の機会だというのです。

 このことで教える側、教えてもらう側双方が育つのです。新入社員が入ってこないとその練習もできない。ところがそれで何年か経って、急に部下を持つ立場になった時、指導経験がないので担当部分を掌握できないということがあった。それを...

繰り返しては自社の成長に貢献しないだろうと。

 この話を聞いて思い出したのが薩摩藩の人財育成です。

 普通は藩内に藩校があり、指導者・先生がいて人を育てていたが、薩摩藩はそうではなく、先輩が後輩を指導していく仕組みがあったとのことです。先輩がきちんと教えられ、また意思の疎通も自然にできる強い組織の中核を担っていたわけです。

 最近はこのような地道に人を育てることが省かれ、即戦力とか、成果主義などが良く言われるようになりました。ともすると基本を教えずに仕事に就く場合もあるようです。人の育成が十分にされないと様々な問題が起きます。しかし、当事者は重大問題とは捉えることが出来ず、それらの不具合が拡散するのです。気がついたら大変なことになっていたという場合もあります。

 改めて、部下の人財育成の実情はどうか、どう改善するかについて考えてみませんか。

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