中小企業の勝ち残り戦略の方向性(その2)

 今回は中小企業が勝ち残るための方向性や考え方の第2回目です。第1回目をまだ読まれていない方はそちらからお読みいただきますよう、お願いいたします。
 今回は「労働量を減らすには?」からスタートです。

4.労働量を減らすには?

 労働量を減らすために、大まかな方向性は2つあります。

 4-1.IT・IoTツールで徹底した自動化を

 当たり前なことの確認ですが、付加価値がある業務って加工などごくわずかです。検査すら基本的には価値がなく、工場や倉庫内の運搬も当然価値はないですし、間接業務は全て付加価値がありません。モノに価値を付けることと、企画などクリエイティブなもの以外は付加価値がないという考えが前提となっています。価値がないけどやっている・やらないとダメな業務を中心にどんどん省力化・自動化を進めるべきです。

 そのためにはITが重要になりますが、中小製造業は一般的にITのリテラシー(適切に理解、解釈し、活用する能力)が異様に低いです。ホームページやSNS・ブログを使ったブランディング、発注の自動化、経理業務や人材管理業務の最新ツールの活用、コミュニケーションツールの導入、動画の活用などなど・・・。リモートワークも現場以外は全てできるはずですができない。

 BOXILさんが提供されているカオスマップ(https://boxil.jp/mag/a5170/)を見てください。こんなに色んなツールがあります。色々ありすぎて選べないという声もよく聞きますので、機会があれば重要なツールはご紹介したいと思います。

 先日取材した伊藤鉄工さんという会社では、マイクロソフトのPowerAppsというアプリ開発ツールとsharepointというコラボレーションやドキュメント管理等を使い、CKボーリング工具選定を自動計算していました。伊藤社長は色んな省力化のツールを自身で試して使っておられます。

 今回は割愛しますが、ITツールの前に基本的には業務をシンプルにすることが大切です。日々の改善がものをいうので、工程だけでなく様々な業務を改善しましょう。

 4-2.他の中小企業と組む

 特に間接業務はバラバラでやると非効率ですし、マーケティングもバラバラよりまとめて進める方が効率的で、小さい資金を細かく使うより大きな資金を使った方が資金効率もいいです。小さいままで独自に付加価値がない業務をやっていると自然と非効率になります。

 ハッキリ言いますと、競合や親和性の高い会社を買収したり買収した方がいいです。事業承継が大きな課題となっている会社はいっぱいありますよね。そういうところと“くっつくこと”をオススメします。

 買収はすぐできるような話ではないですが、提携などは割とすぐできるはずです。

 町工場をグループ化して成功した由紀ホールディングスという企業があります。由紀ホールディングスさんのことはこちらの記事が分かりやすいです。

 ◆ 3代目の挑戦~町工場をグループ化、世界で戦える企業群に ◆ https://www.projectdesign.jp/

 こちらはすでに、省力化のステージではなく価値を上げるステージに進んでいます。町工場をグループ化することを、高付加価値戦略とブランディングとオープンイノベーションに繋げている非常に希有な事例です。

 組合組織はいたるところにありますが、労働生産性を向上...

させることを本気で狙っている組合はほぼないと思います。労働生産性が上がる提携の枠組みや方法ができれば、価格交渉力まで上がります。最初はまず共通業務の省力化やマーケティングの共同実施からスタートし、例えば海外取引の翻訳者や海外拠点の共有など、色々協力しましょう。そのためにも労働生産性を上げる工夫が共に出来るパートナーを見つけましょう。

5.まとめ

 労働生産性を上げることは、中小製造業の経営上ものすごく重要です。中長期的には海外取引も視野に入れて「No.1になり、高い技術などを高く買ってもらう」ように進め、一方で「IT・IoTツールを使っての省力化」と「他社との労働生産性を上げるための提携や買収」を今すぐ考え始めましょう。

 難しいのは承知です。しかし、これをやった企業が生き残れます。

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