戦略検討範囲欠落防止 新QC七つ道具: マトリックス図法の使い方(その4)

 
【目次】
序論   ←掲載済
第1章  混沌解明とN7(新QC七つ道具)←掲載済
第2章  挑戦管理とN7の選択←掲載済
第3章  連関図法の使い方 ←掲載済
第4章  親和図法の使い方 ←掲載済 
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方←掲載済
第6章  マトリックス図法の使い方←今回
第7章  系統図法の使い方
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章  PDPC法の使い方←掲載済
第10章 PDCA-TC法の使い方←掲載済
 

第6章  マトリックス図法の使い方

 
 前回のその3、事例説明1に続いて解説します。
 
 

6.4 マトリックス図法の「検討範囲欠落防止機能」について

 

 6.4.2 事例に見るマトリックス図法の具体的な「欠落防止機能」

 

【事例説明2】シェア拡大戦略マトリックス → 戦略検討範囲欠落防止

 
 「4.2.4 具体策実施の優先順位に関する考察」の【先行実施事項選定指標】のところで触れたように「業容拡大のために開発部門はどうあるべきか」をテーマとした親和図法により、3つの実施事項が決まったのですが、当然のことながら、技術開発に関わる事項が含まれています。
 
 問題は、どのような技術に的を絞って開発するかですが、結果として業容拡大につながるためには、シェア拡大戦略に則った技術開発でなければならないのです。そこで、主要メンバーと「シェア拡大戦略と技術開発」をテーマに議論の場を持ち、その結果を課長の筆者がまとめることにしました。
 
 活発であった会議を反映し、議事の内容は、議論百出・論点割拠で開発経験のなかった筆者にはまとめようがなく、途方に暮れたのですが、そこで思いついたのがマトリックス図法です。
 
 すなわち、戦略対象となった顧客を現有と新規に区分して“列”に、戦略対象となった製品群を“行”としたマトリックス図を作成し、議論の結果だけでなく、提案のあったものすべてを、マトリックス図のマスの中に記入したのです。
 
 でき上がったメモ程度のマトリックス図を眺めたところ、あれだけ議論を尽くしたつもりだったが、まったく触れなかったマスが結構あったので、そのマトリックス図を持参して再度会議の場をもちました。
 
 そこで分かったことは、空白マスの大部分が、開発のメンバー間では周知の技術的理由があっての空白だったので、その理由を記入しました。
 
 ところが、「そういえば……」と議論が盛り上がった空白マスもいくつかあり、まさに、“交点から「着想のポイント」を得て”新たな戦略が加わったのです。いま一つは、記載事項の中に現製品をベースとした戦略が結構あったことから議論が“現有製品”から“現有シェア”に及び、“現有シェア維持戦略”こそ大切である、との結論に至り、列に“現有シェア維持”と“シェア拡大”という大区分が加わって「シェア拡大戦略マトリックス図」が、完成したのです(参考のためにそのマトリックス図のフォームの概略を表6-1に示します)
 
表6-1. シェア拡大戦略マトリックス図のフォーム        
 

【考察】

 
 これは、開発経験のなかった筆者のテーマに対する取り組み方の拙さが目立つ事例ともいますが、逆にいえば、開発未経験の筆者を、開発のベテランの力を漏れなく引き出した戦略立案に導くことができた「マトリックス図法の効用」を浮き彫りにした事例といえます。
 
 いま一つ、この事例で学ぶべきは、当初、列や行の要因に漏れがあったが、マトリックス図をベースとした、テーマに対する真剣な議論を重ねる過程で、おのずとその欠落に気づき補填している点です。
 
 マトリックス図法の有効性を大きく左右するのが、列や行の要因のとり方であり、その欠落防止には、第7章で説明する「系統図法」...
の欠落防止機能がより有効といえますが、その結論を信じる余り、検討過程で、要因の再考を受け入れる柔軟性を失ってはならないということです。
 
 次回に続きます。
 
【関連解説:新QC七つ道具】

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