遅れるプロジェクトをCCPMで対策する

 
 CCPMとはCritical Chain Project Managementの省略形で、効果的なプロジェクト管理法のひとつです。ここでCCPMについて説明します。
 

1.プロジェクトは必ず遅れる?

 皆さんもひとつふたつのプロジェクトに参加したことがあると思います。しかし中々計画通りに進展しないものですよね。実は計画が遅れる場合には、以下に挙げる三つの典型的なパターンがあります。
 

(A)学生症候群

 学生の時に期末テストの勉強はいつ始めましたか?日程とテスト範囲は1カ月前に決まっていて、やろうやろうと思いながら、前日になってから一夜漬けという経験があると思います。私も原稿を頼まれた時に幾度となく経験しており、「だいたい3時間あれば書ける」と分かっていると、なかなか余裕を持って開始することは難しいのです。ふつうは何とか間に合うのですが、たまに失敗して遅れることになります。少なくとも早めに終わることはありません。
 

(B)必要以上の完成度

 たまたまポコっと時間があき、学生症候群を逃れて期限より早めにタスクを終了したとします。では上司に提出するでしょうか?
 
 「早く出してしまうと、簡単な仕事と判断され、次回から期限を短く設定されるかもしれない」もしくは「仕事が低く評価されかねない」と考え、また「どこか不完全なところがあるかもしれない」と、何度も見直したり、不必要な推敲、校正を重ねたりします。すると締め切りのはるか前に95%完成していても、提出するのは期限ぎりぎりになります。
 

(C)バッファの重複

 プロジェクトの遅れが常態化すると、管理者はどうするでしょう?期限ぎりぎりに遅れが発覚すると手遅れですから、一つのプロジェクトを細かいタスクに分割して、厳密に管理しようとするかもしれません。
 
 するとおもしろい現象が起こります。全体で5週間と想定されるプロジェクトを5つのタスクに分割すると、各タスクの責任者は、タスクごとにバッファー(予備日)を加えます。たとえば個別に3割のバッファを加えて、さらに統合した日程にもバッファを3割加えると、全体では1.3×1.3=1.69で、何と69%のバッファになります。
 
 これが実力通り本来予想された期間で進めば、バッファがいくら大きくても関係ないのですが、一旦スケジュールが決定すると、前記の(A)学生症候群や(B)必要以上の完成度で時間が浪費され、バッファを食いつぶしてしまうのです。
 

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2.CCPM(Critical Chain Project Management)とは

 
CCPM
 そこで紹介するCCPM(Critical Chain Project Management)は、故ゴールドラット博士のTOC(制約理論)をプロジェクトマネジメントに応用した考えです。
 
 TOCは「すべてをボトルネック(制約条件)に合わせる」考え方です。プロジェクトにおけるボトルネックは、それが遅れると全体の日程が遅れるタスクで、これをクリティカルチェーン(決定的な鎖)と呼ぶのです。
 
 逆に言えば、これ以外のタスクが多少遅れても全体日程に影響しません。だから手間ひまかけて管理する必要はない、むしろ管理はムダなのです。
 

 ◆ プロジェクト全体を大雑把に管理する。

 具体的な管理方法を見てみましょう。全体が5つのクリティカルなタスクで構成される時に、図1上段のように一つひとつのタスクにはバッファを持たせない代わりに、下段のように全体にプロジェクトバッファを設定します。
 
  
CCPM
図1.CCPMのバッファ管理法
 
 これによって各タスクの担当者は、遅れの原因(A)(B)(C)に陥ることなく最も確率の高い日程を目指して作業を進めます。もちろん想定外の理由で遅れが発生する場合もありますが、そこは個別タスクのバッファではなく、プロジェクトバッファでカバーします。
 
 プロジェクトリーダーによるタスク毎の細かな管理は不要で、本来の日程に対してプロジェクトバッファをどれだけ消費したかをタスク責任者に報告させるだけです。この時の様子が図2です。バッファの消費が開始時点のゼロと最終期限での100%を結んだ直線より消費実績が少なければ放置しておいて構わなく、上回った時のみ対応が必要ということになります。プロジェクト期間の途中段階で上回っても、効果的に対応すれば手遅れにはなりません。しかもクリティカルでないタスクについては、これらの管理すら不要になります。
 
CCPM
図2.CCPMのバッファ管理法
 
CCPM
 ゴールドラット博士は、この考えと手順を右図の小説「クリティカルチェーン」で解説しました。小説としても面白くできていますので、ぜひ一読してみて下さい。
 

この記事の著者

熊坂 治

ものづくり革新のナレッジを広く共有、活用する場を提供することで、製造業の課題を解決し、生産性を向上します。

企業ごとに最適なナレッジを業務プロセスに適用し、生産性を向上させつつ技術者の自律実行を支援します。実行に必要なフレームワークを提供しますので、最小限の理解と労力で自主的に活用する事ができます。 山梨県品質工学研究会幹事、山梨県技術士会副…

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