重要性と変遷 オープンイノベーションとは(その1)

 
     
 

 

【オープンイノベーションとは 連載目次】

 今回から、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とオープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)が取りまとめ、2018年6月末にリリースされた「オープンイノベーション白書 第二版」についての解釈を記事にします。
 
 その1では「第1章 オープンイノベーションの重要性と変遷」を取り扱います。
 
 この章では、オープンイノベーションへ至る経緯や重要性、またクローズドイノベーションとの比較、そして欧米や日本企業の事例を取り上げています。
 
 まず、オープンイノベーションへ至る経緯ですが、すでに多くの論文やメディアで取り上げられているように、クローズドイノベーションの限界がトリガとなったことを紹介しています。これは研究開発は自社内で行い、技術を全て内製化するという開発方針ですが、顧客が求める真のニーズが分かりやすく、また一社で開発から販売まで賄える、そしてプロダクトライフサイクルとマッチできる時代にマッチした方法でした。
 
 私自身も肌で感じるほどに、近年のプロダクトライフサイクルの短期化は、大手企業であっても一社単独開発は難しくなってきていると思えます。
 
 特に知的財産の考え方は大きく変わり、自社内で技術を抱え込む方向からライセンスアウト/ライセンス インの方向へとシフトすることを推奨しています。
 
 ここで注意したいことは、全てを開示するのではなく、協業するために必要な技術を開示するという指針を作ることの重要性です。技術の開示範囲に対する方針の食い違いは組織、立場によって発生しますので、よくよく自社の戦略と照らし合わせ判断することを推奨します。
 
 また将来的にあるべきオープンイノベーションの姿として、エコシステムの構築が挙げられています。この考え方は、新規事業・新商品の開発担当者にもイメージしやすい事業拡大の構想の進め方だと考えています。
 
 開発メインで業務を...
行うことが多い担当者こそ、視野を広げて構想することができるエコシステムを用いた事業アイディア出しをお勧めします。そのほかにも「オープンイノベーション白書 第二版」にはLEFO社のアイディア共有の事例や日本企業・および政府の取り組みが紹介されていますので、ご参照ください。
 
 次回は、データに見る国内のオープンイノベーションの現状を解説します。
 
◆関連解説『技術マネジメントとは』

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