普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その6)

 
 今回は、連続的と非連続のイノベーションについて解説します。
◆関連解説『事業戦略とは』
 

1. 日本における連続的イノベーションとは

 
 イノベーションを従来の発想との関連性から、非連続のイノベーションと連続的なイノベーションの二つに分ける議論があります。この議論の背景ですが、イノベーションとは非連続に起こるものと考えられがちで、非連続のイノベーションが起こっても、その結果を製品等価値として実現するには、連続的なイノベーションが必要であるし、また非連続のイノベーションの中から様々な新たな価値を生み出す製品が連続的なイノベーションにより生まれてくるということがあります。
 
 このような議論は正しく、また収益を得るために価値の創出活動を行っている企業にとっても重要なものではありますが、不思議なことに日本でのイノベーションの議論になると、この連続的なイノベーションの重要性をことさら声高に叫けばれ、それをもってして、日本の組織は元来イノベーティブであるということを強弁しているという面があるのではないかと思います。
 
 確かに日本の連続的なイノベーションについては、トヨタ生産方式やカイゼンでの強みがあり、日本はこの点に関しては、欧米以上の能力を持っているという点では事実かもしれません。しかし、今、日本の組織に求められているのは、非連続なイノベーションを起こすような能力をいかに組織に身に着けるかということですので、我々はシュンペーターなどが定義している本来のイノベーションの意味、すなわち非連続なイノベーションの実現を目指すことにもっと目を向けるべきではないかと思います。
 

2. 日本の組織の非連続イノベーションとは

 
 非連続のイノベーション創出における日本企業の実際はどうかというと、「多くの日本企業は、6つの要素の中の『多様な刺激-拡散的に思考する』という点をとくに苦手としている。」アラン・G・ロビンソン、サム・スターン(「企業創造力」、英治出版)
 
 サム・スターンは東京工業大学で教鞭をとり、アラン・G・ロビンソン、サム・スターンの二人とも日本企業のコンサルティングなどの経験を持つ、知日派の日本のイノベーションの実態を良く知っている米国の大学教授です。非連続なイノベーションには、多様で拡散的な思考がその前提として必須であると思いますが、この二人が、日本人のイノベーションの実態を上のように語らしめているのです。
 

3. 非連続と連続的イノベーションのマネジメントの違い

 
 なぜ我々は非連続のイノベーションに目を向けなければならないかというと、連続的なイノベーションと非連続なイノベーションでは、組織マネジメントの方向が全く異なるからです。連続的なイノベーションは、5...
Sに代表されるような、正しいことを正しく、きちんと行うというという、すでに目の前にある実物や知識を対象としての活動の中から連続的に生まれるように思えます。しかし、非連続は、現在の目の前のものだけからは生まれません。むしろ、目の前のものを大事にしながらも、従来、考えもしなかった要素との組み合わせでイノベーションが起こるということです。それは、失敗するか、実現するかの可能性も大きく異なります。
 
 次回は、この点の議論をもう少ししていきたいと思います。
 
 

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