電子化されたユニットのFMEA解析 (その2)

 

【電子化されたユニットのFMEA解析 連載目次】

 電気自動車をはじめ、電子化されたユニットのFMEA解析はどうするのか。簡易評価法では、電機・電子制御(ソフト組込み)ユニットを対象としたFMEAの進め方、実施事例を提案しています。世の中のほとんどのFMEA解説は、機構ユニット・機構部品の解析手順に偏っており、電子・電気、ソフトウエアに関するFMEAの解説は、殆ど見かけないのが実態です。近年、自動車をはじめ、殆どの製品がマイコン搭載の電子ユニットで構成されることからこの分野の製品のFMEA手順の確立が待ち望まれていました。
◆関連解説『FMEAとは』
 
 
 前回の(その1)で解説した通り、ソフト組み込みユニットの故障モードは、システムの構造破壊と定義しました。今回の解説では、「システムの構造」について解説します。システムの構造とは、いったい何を指すでしょうか、まずシステムの概念ですが、図1の構成となります。
 
図1. システムの概念
 
 設計であれ、製造であれ、何らかの仕事を行う場合には、情報やモノがインプットされると、それを判断し、適切な処理を行って、結果をアウトプットします。製品はこのIN ⇒ 処理 ⇒ OUT の連続したプロセスのつながりで機能を発揮しており、これををシステムと呼びます。
 
 そこで、FMEAを実施する対象として、SEM:States Event Matrix(状態遷移マトリクス)をシステム構造として扱います。SEMは、図2の通り、縦軸はイベント(入力)、横軸はステータス(状態)を示し、イベント発生毎に、ステータスがどう変化するかを漏れなく示しています。
 
図2. SEMのシステム構造
 
 次に、故障モードの定義ですが、機構部品の場合は、物理的な破壊、劣化と定義しました。例えば、破損、錆び、材料の...
化学変化などです。では、システムでは、破壊モードをどのように定義したらいいでしょうか、個の故障モードの正しい定義こそ、電子ユニットのFMEAが正しく効果的に実施できるかどうかが掛かっているのです。
 
 次回は、システムでは、破壊モードをどのように定義したらいいのかについて解説を進めます。
 
 

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者