自動車排熱回生技術 搭載・実用化に向けたデバイス開発・システム化技術

トヨタ自動車(株) 森田 真樹 他

構成

B5判並製本 199頁

分野

固有技術 > 自動車技術

価格

55,000円 (税抜 50,000円) 5点 在庫あり

商品説明

ランキンサイクル/熱電変換/ヒートポンプ/燃料改質/液体ピストン蒸気エンジンまで
熱の有効利用 ⇒ 低燃費化に向けた要素技術・システムと燃費改善効果を解説

さらなる低燃費化・効率向上と、厳しさを増す燃費・CO2排出規制への対応に向けて残された一手
「排熱回生技術」にフォーカスした書籍の登場です!

「熱機関サイクル技術」 「熱電変換素子技術」 「化学的な熱回収技術」
など、様々な手法によって排熱を有効活用する技術とそのメカニズム・システム開発検討例を解説。

◎どの程度の燃費改善効果が見込めるのか? ◎実用化を阻む課題は何か?
◎性能・搭載性・コストをバランスし、実用搭載・市場展開するためにはどのような改良が必要なのか?

デバイス・システム化開発と、実車搭載・実証試験から見えた今後の開発指針を解説!

発刊にあたって

著者

トヨタ自動車(株) 森田 真樹   カルソニックカンセイ(株) 原潤一郎
山根健オフィス/ビー・エム・ダブリュー(株) 山根 健   (株)三五 西野 寿
KE-Technologie GmbH 神戸 満   千葉大学 小倉 裕直
(株)KELK 藤本 慎一   首都大学東京 首藤 登志夫
(株)村田製作所 中村 孝則   (株)日立製作所 島田 敦史
(株)東芝 近藤 成仁   (株)日立製作所 石川敬郎
東芝照明プレシジョン(株) 伊藤 三男   (株)デンソー 八束 真一
(独)産業技術総合研究所 三上祐史   (株)デンソー 小田 修三
名古屋工業大学 西野洋一   (株)デンソー 新山 泰徳
(株)アツミテック 内山直樹   東京大学 鹿園 直毅
豊田通商(株) 中村崇志

書籍論旨

~本書の内容/ポイント~

その1 自動車メーカが求める「今後、開発を推進すべき技術、そしてその開発指針」
 ・燃費悪化の要因となるエンジン・車室内暖機等の熱需要を低減する技術とは
 ・熱供給/需要の時間的・空間的ミスマッチを埋める蓄熱・排気熱回収技術の必要性とは
 ・PHEV/EVの空調利用→航続距離低下の問題解決に求められる技術とは
 ・材料開発だけではない、熱電変換技術に求められるシステム構築とは
その2 重量・サイズに課題があったランキンサイクル。システム重量15kg、搭載性に優れたコンパクトサイズを実現!
 ・課題を踏まえて検討された車載可能システムの開発コンセプト・原理・構成
 ・軽量・小型で効率の良い熱交換器仕様の検討/非常にコンパクトな蒸気タービンの検討例
 ・各走行速度における発電出力と、ランキンサイクルの効果的な活用のための車載システムの考え方
その3 車載熱電変換システム開発の検討項目。出力・耐久性・信頼性向上の為のモジュール開発とシステム化技術
 ・車載用熱電変換システム構築の重要課題である「接触熱抵抗の低減と熱応力緩和」をどうクリアするか。その方策とは。
 ・モデル・計算式を用いた設計例から伝熱システム設計の最適化を探る
 ・EGR配管・クーラへの搭載とそのシステム設計、発電性能評価例
 ・変換効率+高強度・耐熱性・資源性等の必要性能を踏まえたモジュール開発と先進的な取り組みを見せる欧州動向
その4 熱マネ・排熱回生で取り組む暖機・空調システムの省エネルギー化技術
 ・これまでの排熱利用システム・熱管理技術の課題と開発指針
 ・排気熱エネルギーの活用に向けた排熱回収器の必要性能と開発、燃費・暖房性能改善効果とこれからの課題
 ・高い効率で注目を集める化学蓄熱を利用した、廃熱駆動ケミカルヒートポンプの車載検討とシステム開発例
その5 排熱エネルギーを化学的に回収する燃料改質技術 
 ・燃料電池システムに匹敵!50%近い総合効率の実現可能性を持つHCCI燃焼/燃料改質技術を組み合わせた
  新たなエンジンシステム。そのメカニズム・システム構成。
 ・燃料改質エンジンシステムの開発。理論解析と実機試験によるエンジン熱効率向上効果の検証。
  実用搭載に適する車種・ターゲットとは?
その6 排熱を電力エネルギーに。これまでの排熱発電技術の課題を踏まえた新しいアプローチ
 ・液体ピストン蒸気エンジンの開発コンセプトと機器・システム構成・動作原理、燃費改善効果試算例を解説

内容紹介

第1部 自動車の熱管理・排熱の有効利用に向けた要素技術と課題
 1.熱管理・排熱の有効利用技術の開発が求められる背景
 2.熱管理・排熱の有効利用のために必要な要素技術
  2.1 熱需要の低減技術
  2.2 熱需要のミスマッチ改善技術
  2.3 熱の効率的創出技術
  2.4 エネルギー変換技術
 3.各国の技術開発支援政策
 4.今後、開発を推進すべき技術とその開発指針

第2部 排熱回生要素技術の開発
 第1章 小型・搭載性に優れたランキンサイクルシステムの開発と 実車搭載における発電性能評価及び実用化への道筋
  1.排熱を最大限に回収することを目標に設計した第一世代ランキンサイクルシステム
   1.1 システム構造/装置構成・車載システム構成
   1.2 実車搭載での回収可能エネルギー量と燃費改善効果
   1.3 第一世代での課題
  2.実用運転領域でのエネルギー回収及び搭載性を重視した第二世代ランキンサイクルシステムの開発
   2.1 第一世代での課題をふまえたシステム設計
   2.2 実車搭載時の発電出力
   2.3 実用化の展望

 第2章 熱電変換による排熱回生技術
  第1節 車載用熱電変換システムの高性能化・耐久性向上のための要素技術とシステム設計
   はじめに
   1.車載用熱電変換システム(TEG)の概要
    1.1 構成および従来技術の課題
     1.1.1 基本構造
     1.1.2 加熱ダクトおよびバイパス管
     1.1.3 水冷ダクト
     1.1.4 モジュールの結線およびDC-DCコンバータ
    1.2 熱電変換システムの設置位置と排気ガス温度
    1.3 欧米の走行モードに適した省エネ手段
   2. 車載用熱電変換モジュールの高性能化・耐久性向上のための要素技術
    2.1 接触熱抵抗低減
    2.2 熱応力緩和
     2.2.1 モジュール本体の熱応力緩和
     2.2.2 モジュールと加熱ダクトとの熱応力緩和
    2.3 接触熱抵抗低減、熱応力緩和および酸化防止のための気密ケースへの封入
     2.3.1 気密ケース入りモジュール
     2.3.2 水冷パネル付き気密ケース入りモジュール
     2.3.3 大型気密ケース入りモジュール
     2.3.4 気密ケース入りモジュールによる設置自由度の拡大
   3.自動車用熱電変換システムの伝熱システム設計
   おわりに
  第2節 熱発電技術の実車搭載システムの開発と発電性能評価及び実用化への必要技術とロードマップ
   1.BMWの熱発電技術車両搭載試験
    1.1 各走行条件におけるエネルギー回収率 
   2.実用性を目指した熱電発電システムの研究開発
    2.1 EGRクーラーへの搭載とそのシステムおよび発電量 
   3.今後の展望とロードマップ
  第3節 熱電発電システムの設計とディーゼルエンジンEGR配管への導入・性能評価
   1.自動車排熱回収システムの研究開発の背景・経緯
   2.熱電発電モジュール・システムの全体概要
    2.1 熱電発電モジュール
    2.2 熱電発電システム
   3.熱電発電システムの発電出力及び耐久性向上、小型化に向けた設計ポイント
   4.実証試験での発電性能評価の結果
   5.実用化への展望(実用化に求められるコストと性能のバランス)
  第4節 積層一体型熱電モジュールの性能と自動車搭載におけるアプリケーション
   はじめに
   1.積層一体型熱電モジュールの構造・製法の概要
   2.積層一体型熱電モジュールの性能(発電能力・重量・強度・耐熱性・耐久性・信頼性)
   3.自動車搭載における適用箇所とアプリケーション
    ~センサネットワーク端末の電源としての利用~
   4.実用化に向けた開発の方向性
   おわりに
  第5節 高耐熱・高出力熱電モジュールの性能と車載用熱電ジェネレータの開発
   はじめに
   1. 熱電発電技術の概要
   2. 熱電モジュール
   3. 車載アプリケーション
   おわりに
  第6節 高出力・高耐久性熱電発電モジュールの開発と自動二輪車への搭載に向けた実用化検討
   はじめに
   1.ホイスラー型Fe2VAl熱電発電モジュールの開発
    1.1 ホイスラー型Fe2VAl合金の熱電性能の向上
    1.2 ホイスラー型Fe2VAl合金の熱電モジュール化技術の開発
    1.3 Fe2VAl熱電モジュールの発電性能および耐久性
   2.自動二輪車への熱電発電ユニットの搭載検討
    2.1 自動車における排熱回収の有効性
    2.2 自動二輪車への熱電発電ユニットの搭載検討
    2.3 Fe2VAl熱電発電ユニットの実車走行による発電試験
   3.自動車への熱電発電の応用に向けて
   おわりに
  第7節 欧州における自動車搭載を目指した熱電発電技術の開発動向
   はじめに
   1.欧州における熱電発電開発における熱電材料動向
    1.1 シリサイド系熱電発電材料
    1.2 スクッテルダイト系熱電材料
    1.3 ハーフホイスラー系熱電材料
   2.自動車搭載に向けての動き
   3.欧州各国におけるTEG開発事例

 第3章 熱マネージメント技術による熱の有効利用と空調・暖機システムの省エネルギー化
  第1節 車両空調・暖機の高効率化に向けた排熱利用システムと今後求められる技術
   はじめに
   1.自動車の排熱とは … 熱勘定からみると大きな排熱がある
    1.1 排熱の利用先とは … どのような使い道があるのか?
    1.2 暖機促進 … チョイ乗り燃費悪化の主原因
    1.3 暖房性能改善 … 街乗りでは,排熱利用暖房になっていない
    1.4 冷房動力低減 … 夏季燃費悪化の主要因
    1.5 発電負荷低減 … 発電負荷を減らすだけでも大きな効果がある
    1.6 駆動力低減 … 駆動力に返せるか?
   2.排熱利用システム
    2.1 サーマルシェルタ
    2.2 ラジエータシャッタ(グリルシャッタ)
    2.3 蓄熱システム(顕熱型,潜熱型)
    2.4 排気熱回収熱交換器
    2.5 熱電素子
    2.6 ランキンサイクル
    2.7 ターボコンパウンド
    2.8 ケミカルヒーポン
    2.9 新冷凍サイクル(吸収式,吸着式)
    2.10 デシカント空調
    2.11 蓄冷システム
   3.電気自動車での排熱利用の可能性
   4.自動車の排熱利用の課題と今後の展望
  第2節 排熱回収による燃費・暖房性能向上の現状と今後の取り組み課題
   はじめに
   1.自動車の排熱エネルギー
    1.1 各パワートレーンのエネルギー事情
     1.1.1 ガソリンエンジン
     1.1.2 ハイブリッドシステム(ガソリンエンジン+モーター)
     1.1.3 ディーゼルエンジン
    1.2 排熱回収器とは
   2.排熱回収器の構造
    2.1 搭載位置
    2.2 排熱回収器
     2.2.1 性能
     2.2.2 筐体構造(パッケージ)
     2.2.3 熱交換器
     2.2.4 制御バルブ
     2.2.5 制御駆動力
   3.燃費・暖房性能への効果
    3.1 実用燃費効果と課題
    3.2 モード燃費効果と課題
   おわりに
  第3節 化学蓄熱/ケミカルヒートポンプ技術による自動車廃熱の有効利用
       ~エンジン暖機・冷凍車両冷熱生成・電気自動車空調システム~
   はじめに
   1.化学蓄熱・ケミカルヒートポンプ技術によるエネルギーリサイクル利用の基礎と自動車への応用
    1.1 化学蓄熱技術
    1.2 ケミカルヒートポンプ技術
    1.3 ケミカルヒートポンプの作動原理
    1.4 ケミカルヒートポンプ用反応材料
   2.化学蓄熱・ケミカルヒートポンプ技術によるエネルギーリサイクル利用システムの自動車関連開発事例
    2.1 エンジン廃熱蓄熱コールドスタート解消ケミカルヒートポンプシステム
    2.2 冷凍車両用エンジン廃熱蓄熱型冷熱生成ケミカルヒートポンプシステム
    2.3 電気自動車空調用ケミカルヒートポンプシステム
   おわりに:化学蓄熱・ケミカルヒートポンプによる廃熱リサイクル技術の車載実用化へ向けて

 第4章 燃料改質による排熱回生技術
  第1節 燃料改質とHCCI燃焼の組合せによる高効率エンジンシステム
   はじめに
   1.エンジンの熱バランスと排熱の特性
   2.オンボード燃料改質による排熱回収
   3.HCCI燃焼の特徴と実用化のための課題
   4.排熱回収とHCCI燃焼を組合せた高効率エンジンシステム
    4.1 メタノール改質式HCCIエンジンシステムの基本コンセプトと燃焼特性
    4.2 メタノール改質による排熱回収と燃料着火性の連続制御
    4.3 HCCI燃焼における水素による着火時期制御の化学反応機構
    4.4 メタノール以外の燃料を用いたオンボード改質HCCIエンジンシステム
   まとめ
  第2節 燃料改質による排熱回収システムと改質燃料によるエンジンサイクル効率の向上
   1.燃料改質による排熱回収システムの概要
   2.本システムのサイクル効率向上効果
   3.実機検証結果
   4.実用化の展望

 第5章 液体ピストン蒸気エンジンによる排気熱からの電力回収システム
  はじめに
  1.排気ガス熱を利用した排熱発電システムの目標と現状
  2.目標を満足する排熱発電システム実現のための考え方
  3.液体ピストン蒸気エンジンの機器構成と動作
  4.高効率化の指針導出
   4.1 気化モデル
   4.2 凝縮モデル
   4.3 解析の仮定と手順
   4.4 加熱部の管直径が性能に与える影響
  5.高効率化と燃費向上効果の見積もり
   5.1 高効率化の検証
   5.2 燃費改善効果の見積もり
  おわりに