ADC(抗体薬物複合体)のリンカー・結合技術と特性解析・プロセス設計

リンカー設計から特性解析、最新精製プロセスまで、開発と製造の要点を体系的に解説。
部位特異的修飾、高選択分離技術、クローズドプロセスなど、開発の最前線を俯瞰

 

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    セミナープログラム

    【10:30~12:00】
    【第1部】抗体とリンカー・薬物の結合技術とその最新動向
    (株)ペプチド研究所 企画開発室 室長 吉矢 拓 氏
     
    【講座主旨】

    抗体薬物複合体(ADC)の構成要素と,特にそこに含まれるリンカーの特性について触れた後,これまでに承認された医薬品ADCについて,歴史的な流れで効果的なADC構造について考える。また,ADC設計のための代表的な抗体修飾法の概要について説明し,天然抗体の特定の残基を狙った部位特異的修飾法について,特にFc親和性リガンドを用いた修飾法について詳しく説明する。そのような修飾法においては,連結用の反応性官能基を組み込んだFc親和性リガンドがIgGのFc領域に接触した際に生じる「近接効果」によって,標的とするFc領域のアミノ酸残基と修飾試薬の連結用反応性官能基との間の特異的かつ効率的な共有結合修飾が可能となる。さらに,このアプローチは大きく2つに分類される。すなわち,Fc親和性リガンドが生成物の抗体コンジュゲート上に残存する残存型コンジュゲート反応と,コンジュゲーション反応の過程でリガンドが遊離し残存しない非残存型(トレースレス)コンジュゲート反応である。これらの修飾手法について,具体的な反応例とともに紹介する。

    【講座内容】 

    1.抗体薬物複合体(ADC)の概要
    2.承認されたADCに関して
    3.リンカー技術に関して 
     ・切断可能リンカー
     ・非切断可能リンカー
    4.ADC結合のための技術
     ・ランダムカップリングによる修飾
     ・酵素を用いた糖鎖修飾法
     ・Fc親和性リガンドを用いたリガンド残存型修飾法
     ・Fc親和性リガンドを用いたリガンド非残存型修飾法

    【質疑応答】 


    ◆◆講師プロフィール◆◆◆

     専門分野:ペプチド科学,医薬品化学
    学位:博士(薬学)
    略歴・活動・著書など:
    [略歴]
    2010年-2011年 京都薬科大学 薬品化学分野 日本学術振興会 特別研究員(PD)
    2010年-2011年 理化学研究所 客員研究員
    2011年     (株)ペプチド研究所に入社
    2018年から現職
    [活動]
    2018年 国際蛋白研セミナー Frontiers in Peptide Science 2018(大阪)(Co-Organizer)
    2025年 10th Modern Solid Phase Peptide Synthesis & Its Applications Symposium(福岡)(Co-Organizer)
    日本ペプチド学会 評議員
    病態プロテアーゼ学会 評議員
    日本抗体学会若手の会 監事
    [受賞]
    奨励賞(日本ペプチド学会)
    奨励賞(日本病態プロテアーゼ学会)
    ポスター賞(日本ケミカルバイオロジー学会)
    ポスター発表優秀賞(日本抗体学会)
    生物工学論文賞(日本生物工学会)
     
     



    【13:00~14:30】
    【第2部】ADCの特性解析最前線:LC/MS法と光散乱法によるアプローチ
    日本ウォーターズ(株) マーケティング本部 矢田 絵都子 氏
     
    【講座主旨】 

    ADC(抗体薬物複合体)は、抗体の標的特異性と低分子薬物の強力な細胞毒性を組み合わせた次世代の抗体医薬として注目されている。世界では、がん領域を中心に急速な成長を遂げており、複数のADCが上市・開発中である。一方で、ADCは抗体・リンカー・薬物の3要素からなる複雑な分子構造を有するため、その特性解析は極めて高度かつ多面的なアプローチを必要とする。
    本講演では、ADC開発の市場動向と製剤設計上の課題を概観したうえで、分析科学の観点から品質評価に求められる要件を整理する。続いて、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)による薬物抗体比(DAR)の評価、薬物結合位置の特定、部位占有率の解析手法を紹介する。さらに、多角度光散乱検出(MALS)を利用した分子量分布・凝集体評価の事例を取り上げ、これらの手法を組み合わせた総合的な特性評価について解説する。
    ADCの品質特性を精密に把握することは、品質評価においても重要である。本講演を通じて、最新の分析技術がいかにADCの特性解析に重要な情報をもたらすのか、分析事例とともに共有する。

    【講座内容】 

    1.ADCの歴史
    2.ADCの市場
    3.LC/MSによるADCの特性解析
     3.1 薬物抗体比の評価
     3.2 凝集体の評価
     3.3 サブユニット分析
     3.4 フリードラッグの定量
     3.5 薬物結合位置特定のための前処理
     3.6 薬物結合位置の解析
     3.7 部位占有率の解析
     3.8 チャージバリアント分析
     3.9 衝突誘起アンフォールディングによる構造安定性の評価
    4.MALS(多角度光散乱検出器)によるADCコンジュゲート解析

    【質疑応答】 
     


     



    【14:45~16:15】
    【第3部】ADCの精製工程設計と高度分離技術
          ~安全性に配慮したクローズドプロセスデザインと最新不純物分離法
    メルク(株) ライフサイエンス プロセスソリューションズ事業本部 
    カスタマーアプリケーション テクノロジーアプリケーションエキスパート 小川 義昭 氏
     
    【講座主旨】 

    本講座では、ADC(抗体薬物複合体)製造における精製ステップに焦点を当て、ADCプロセスに必要な要素を主要なステップごとに解説します。最適な設計例を紹介し、特にADC製造工程で発生する不純物(未反応のリンカーやペイロード、不要なDARバリアント及び凝集体など)を除去するための新しい技術についても触れます。これには、イオン交換ベースのミックスモードクロマトグラフィー樹脂の利用が含まれます。また、高い薬理活性を持つ物質を扱うために、作業者の安全を考慮したクローズドシステムの設計についても説明します。これらの技術は、ADCプロセスで使用されるDMSOやDMAcなどの溶剤に対する耐薬品性を持つ材料が必要であり、ADCのプロセス要件の一部となります。
    さらに、インラインでADCに用いる溶剤の残留濃度やタンパク濃度を測定可能とする分析技術もご紹介し包括的なADCプロセスデザインについてお話します。

    【講座内容】 

    ・メルク株式会社プロセスソリューションズ事業本部のご紹介
    ・ADC(抗体薬物複合体)精製プロセス全体像
    ・ADC精製プロセスに求められる事項
    ・最新のミックスモードクロマトグラフィーレジンのご紹介
    ・DARの分離の必要性
    ・ミックスモードレジンを用いたDAR分離ケーススタディー
    ・革新的デザインのメンブレンクロマトグラフィー
    ・メンブレンクロマトグラフィーによる凝集体除去への応用
    ・活性炭フィルターの概要
    ・活性炭フィルターを活用した未反応リンカー・ペイロード除去
    ・ADCプロセスに最適な最新のシングルユースTFFデバイスのご紹介
    ・シングルユースTFFシステムのご紹介
    ・シングルユースTFFデバイスと有機溶剤耐性を持つシングルユースシステムとの統合
    ・自動サンプル送達システムのご紹介
    ・ADCプロセスにおけるオンラインモニタリングシステムの活用
    ・まとめ

     【質疑応答】 


    ◆◆講師プロフィール◆◆◆

    専門分野:
    クラリフィケーション、クロマトグラフィー、タンジェンシャルフローフィルトレーション他ダウンストリーム精製技術
    略歴・活動・著書など:
    2008年メルク(株)(旧日本ミリポア(株))入社、その後バイオ医薬品、ワクチン、遺伝子治療製造におけるダウンストリームのアプリケーションサポート及び精製製品(清澄ろ過デプスフィルター、クロマトグラフィー、タンジェンシャルフローろ過、ウイルスクリアランスフィルター他)のマーケティング活動に従事。現在に至る。

    セミナー講師

    【第1部】 

    (株)ペプチド研究所 企画開発室 室長 吉矢 拓 氏


    【第2部】

    日本ウォーターズ(株) マーケティング本部 矢田 絵都子 氏


    【第3部】

    メルク(株) ライフサイエンス プロセスソリューションズ事業本部
    カスタマーアプリケーション テクノロジーアプリケーションエキスパート 小川 義昭 氏



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    聴講料 1名につき55,000円(消費税込/資料付き)
     〔1社2名以上同時申込の場合のみ1名につき49,500円〕
     

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    医薬品技術

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