
企業不正の対策となる社内制度のあり方と不正対応活動の要点【オンライン/会場】
~日本の不正対策の検討課題と実効性のある不正対応実務のあり方~
セミナー趣旨
日本における企業不正の報道では、法令違反や会計不正の面から不正と認識されて関連する内部統制の強化も強調されがちですが、最近では企業風土や企業のガバナンス体制に根本原因を見いだされることも多く、その際の内部統制の強化は不正が起きた業務の統制や会計処理そのものよりも、むしろソフトコントロールも含んだ企業全体の統制環境の方に事の本質がありそうです。そうなると、これは法務や経理だけの問題ではなく、経営管理層全体で取り組むべき課題ということになります。また公認会計士の会計監査や不正調査といった不正が起きた後の事後対応よりも、企業の不正対策としては費用対効果からしても、まずは事前の予防が重要となり、組織の不正対策の制度の在り方をゼロベースで見直し、社内の各部署の役割や活動の方向を見定めることが肝要となります。また、2023年には内部統制報告制度(J-SOX)が改訂され、「リスクの評価と対応」において不正リスクの考慮の重要性が指摘されていますが、米国などではかねてより不正リスク評価の社内制度が重視されていました。また内部統制の無効化も経営者以外の業務プロセスの責任者による無効化リスクの可能性が指摘されていますがこれも従来より企業不正の原因となってきたことです。
本セミナーでは、日本企業に特徴的な不正のパターンを念頭において、経営層をはじめ法務や内部監査、人事、経理、事業部門等の関連部門が連携して不正にどのように対応したらよいかという企業全体の経営管理の視点から、不正対応の制度設計(ハード面)のポイントを検討し、更にそこに命を吹き込む不正対応活動(ソフト面)の実務上の要点を不正リスク評価、内部監査、不正調査、内部統制レビュー内部通報の対応の実践を踏まえてわかりやすく解説いたします。
受講対象・レベル
内部監査および内部統制部門、監査役、経営管理や経営企画部門の方など企業不正の予防と対応に取り組まれている方々
セミナープログラム
1.日本の企業不正の特徴とガバナンス・内部統制との関係
1.1 米国とは異なる日本の企業不正の特徴と最近重要性を増す企業風土型不正
1.2 日本企業のコーポレートガバナンスをめぐる問題点
1.3 内部統制が整備された大企業でなぜ不正が起きるのか
1.4 不正によって突破された内部統制の確認
ーコントロールの無効化(override)等によっていかに不正が内部統制を突破したか
2.これからの企業不正対策のグランド・デザイン
2.1 不正対策の3つの方向(・予防 ・発見・ 抑制 )と経営者の見方
2.2 不正対策を実効させるハード(制度面)とソフト(活動面)・各部門の役割分担
2.3 不正対策に対する全社的な取り組みー目指すは協調的アプローチ
2.4 不正対応の連携:専門家ごとの得意、不得意分野
―公認不正検査士、公認会計士、公認内部監査人、弁護士
3.不正対応活動(不正リスク評価、不正監査、不正調査、内部統制レビュー)の要点
3.1 不正リスク評価の考え方と実務上の留意点 -欧米で推奨される平時のリスク評価
3.2 不正対応の内部監査の使命と進め方-通常の内部監査とは異なる不正監査
3.3 職業団体によって異なる不正の定義と監査における不正対応の守備範囲
3.4 混同されがちな監査と不正調査との相違点の理論と実務面からの認識
3.5 不正調査とは異なる不正調査後の内部統制レビュー
3.6 統制環境の監査 ーソフトコントロールに対する社内の監査対応
※申込状況により、開催中止となる場合がございます。
※講師・主催者とご同業の方のご参加はお断りする場合がございます。
※録音、録画・撮影はご遠慮ください。
セミナー講師
公認内部監査人・公認会計士・米国公認会計士(現在inactive)
公認会計士藤井監査事務所 代表
藤井範彰 氏
30余年の監査法人勤務の内、最初の約20年は会計監査に従事しつつ、E&Yから移ったアンダーセンでは米国本社の指示で米国流会計監査の日本での導入のために監査法人内のパートナーからスタッフまでの全ての監査人を対象に監査の研修や品質管理の活動をしたり、公認会計士協会本部の委員会活動(国際委員会副委員長、会計制度委員会副委員長、監査基準委員会委員他)にも専念。
続く10余年は、内部監査、内部統制、リスクマネジメント、不正調査に特化し、アンダーセン消滅時に朝日監査法人代表社員を辞してPwC(中央青山監査法人)に移り代表社員も務めた後、J-SOXの制度化を前に招聘に応じて復帰した新日本監査法人(E&Y)で内部統制支援本部統括部長、ビジネスリスクサービス部長、FIDS(不正対策・係争サポート)部長等を歴任。2012年、シニアパートナーを早期退任し、ボルボ・グループで日本の内部監査統括を務め、同グループ会社UDトラックス㈱の監査役を7年間務めた後、現在は内部監査や不正対応・ガバナンス関連の講演や研修・執筆・アドバイザリー業務に従事。
最近の著書『内部監査のプロが書く監査報告書の指摘事項と改善提案』(同文舘出版2016年11月)で2017年度日本内部監査協会青木賞受賞。2019年9月同書第2版出版。他にも著書「経営者と会社を動かす内部監査の課題解決法20」税務経理協会2012年、論文「不正リスクを意識した内部監査の高度化~内部統制の企業不正への関わり方~」日本内部監査協会月刊監査研究2024年10月号、「リスクベースによる内部監査の指摘と改善提案~リスクを意識した内部監査の高度化~」同誌2023年7月号等多数。
セミナー受講料
1名につき
会員 38,500円(本体 35,000円) 一般 41,800円(本体 38,000円)
※会員価格適用については、企業研究会会員が対象となります。
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受講料
41,800円(税込)/人