
PFAS(有機フッ素化合物)の分離と分解・再資源化
★ PFASを含有する排水、廃棄物の除去、無害化処理!
※講師の追加に伴い、講演時間を変更しました(7/14)
セミナープログラム
【10:00-13:40】 (途中 昼休みがあります)
1.有機フッ素化合物(フッ素ポリマー等)の分解・再資源化技術
神奈川大学 理学部 教授 堀 久男 氏
【講座の趣旨】
炭素原子とフッ素原子から形成される有機フッ素化合物は耐熱性、耐薬品性、界面活性等の優れた性質を持ち、我々の生活に欠かすことのできない重要な化学物質である。その種類は低分子化合物から高分子化合物まで多岐にわたる。分子量が数百程度の化合物は界面活性剤や表面処理剤に、数万以上の化合物、すなわちフッ素ポリマーはパッキン等の汎用品はもちろんのこと、イオン交換膜、光ファイバー、レジスト等の先端材料として利用されている。
このように高い機能性を持つ一方で、環境残留性や生体蓄積性、廃棄物の分解処理が困難といった負の側面が近年になって顕在化しつつあり、PFASに対する規制が各国で進行している。PFOA/PFOSについては規制の進行に伴い代替物質への転換が進んでいるが、代替物質も有機フッ素化合物である以上環境残留性は変わらず懸念され、環境リスク低減のためには有害性の度合いに応じて排出や廃棄物、さらには汚染地下水・土壌等の無害化を行う必要がある。しかし、これらは炭素・フッ素結合から成り立っているため極めて安定で従来の手法ではほとんど分解せず、分解の際には高温が必要であったり、出発物質よりもはるかに有害な化合物が発生する懸念がある等、様々な問題がある。
また、フッ素ポリマーを含め全ての有機フッ素化合物の原料である高純度の蛍石(フッ化カルシウムの鉱物)は近年、入手難の状況が続いており、フッ素資源の資源循環が期待されている。フッ化物イオンまで分解できれば、カルシウムイオンとの反応でフッ化カルシウムに変換でき、フッ素資源の資源循環に寄与できる。
本講演では、一般的な有機化合物の分解方法を概説した後、このような有機フッ素化合物を温和な条件で高効率にフッ化物イオンまで分解・無害化し再資源化する様々な化学反応手法とその研究動向について報告する。
【習得できる知識】
一般的な有機化合物の分解方法に関する基礎知識、フッ素ポリマーやフッ素系イオン液体、フッ素テロマー界面活性剤等の先端有機フッ素化合物の分解方法や再資源化方法
1.有機化合物を分解するさまざまな方法
1.1 紫外線照射 (UV)
1.2 促進酸化法(AOP)
1.3 フェントン反応
1.4 ペルオキソ二硫酸イオン
1.5 ペルフルオロ一硫酸イオン
1.6 超音波照射
1.7 亜臨界水・超臨界水
1.8 メカノケミカル反応
2.有機フッ素化合物を温和な条件でフッ化物イオンまで分解・無害化するさまざまな化学反応手法
2.1 ヘテロポリ酸光触媒
2.2 ぺルオキソ二硫酸イオン+光照射
2.3 鉄イオン光触媒
2.4 鉄粉+亜臨界水
2.5 ぺルオキソ二硫酸イオン+温水
2.6 酸素ガス+亜臨界水
2.7 ぺルオキソ二硫酸イオン+超音波照射
3.フッ素ポリマーの分解方法
3.1 イオン交換膜(ペルフルオロスルホン酸ポリマー)の亜臨界水分解
3.2 ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、および関連するフッ素ポリマーの分解
(1)酸素ガス+超臨界水反応
(2)過酸化水素+亜臨界水反応
(3)過マンガン酸カリウム+亜臨界水反応
3.3 反応液からの人工蛍石の合成
4.先端有機フッ素化合物の分解方法
4.1 フッ素系イオン液体の亜臨界水分解
4.2 フッ素テロマー界面活性剤の亜臨界水分解
5.有機ケイ素化合物の亜臨界水分解
【質疑応答】
【13:50-15:20】
2.膜を用いたPFAS処理技術と今後の課題、展望
金沢大学 理工研究域 環境リスク制御工学研究室 助教 原 宏江 氏
【講座の趣旨】
昨今、水環境汚染が問題となっているPFAS(ペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質)について、膜を用いた既存の処理技術について俯瞰するとともに、改質膜の開発や使用済み膜の活用による最新のPFAS処理技術についてご紹介します。
1.PFASによる水環境汚染と課題
1.1 PFASによる水環境の汚染実態
1.2 水環境中PFASに係る法規制
1.3 従来のPFAS処理技術
2.浄水膜を用いたPFAS処理
2.1 膜を用いた浄水処理の基礎知識
2.2 NF,RO膜によるPFAS処理
2.3 改質膜によるPFAS処理
3.RO膜のカスケード利用によるPFAS処理
3.1 RO膜のカスケード利用とは?
3.2 使用済みRO膜を利用したPFAS処理
3.3 今後の課題と展望
【質疑応答】
【15:30-17:00】
3.イオン交換樹脂によるPFAS除去
三菱ケミカル(株) スペシャリティマテリアルズビジネスグループ R&D本部 ライフソリューションズテクノロジーセンター 分離材技術グループ 主任研究員 安藤 信吾 氏
【講座の趣旨】
近年、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)による環境水の汚染が問題になっており、国内においてもペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)と、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)が水質汚濁防止法の指定物質に指定されている。今回は、イオン交換樹脂を用いたPFOS,PFOAの除去技術について紹介する。
1.イオン交換樹脂の種類と特徴
1.1 イオン交換樹脂の基本構造
1.2 イオン交換樹脂の種類と分類
2.イオン交換樹脂によるPFAS除去
2.1 イオン交換樹脂によるPFAS吸着のメカニズム
2.2 イオン交換樹脂によるPFAS除去
【質疑応答】
セミナー講師
1.神奈川大学 理学部 教授 堀 久男 氏
2.金沢大学 理工研究域 環境リスク制御工学研究室 助教 原 宏江 氏
3.三菱ケミカル(株) スペシャリティマテリアルズビジネスグループ R&D本部 ライフソリューションズテクノロジーセンター 分離材技術グループ 主任研究員 安藤 信吾 氏
セミナー受講料
1名につき 60,500円(消費税込、資料付)
〔1社2名以上同時申込の場合のみ1名につき55,000円〕
受講について
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受講料
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