フレキシブル・ストレッチャブル次世代電池および各種部材の開発事例と実用化に向けた展望

★液体金属を用いたストレッチャブル電子素子の概要を解説しながら、最新の液体金属を用いたストレッチャブルバッテリの研究を紹介!

★二次電池向けの固体電解質の候補として、構成要素が「規則的配列」と「動的機能」を併せ持つという特徴を有するプラスチッククリスタル(柔粘性結晶)の開発事例と固体中でのイオン拡散、二次電池への展開に関する研究例を紹介!

★化学的薄膜形成法である分子プレカーサー法の基礎からそれを用いて作製した光充電・発電型リチウムイオン電池,そしてこの電池の高容量化とフレキシブル化への応用について解説! 

セミナープログラム

第1部 液体金属を用いたストレッチャブルエレクトロニクスとバッテリ
【10:30-11:45】

講師:横浜国立大学 大学院工学研究院 システムの創生部門 准教授 太田 裕貴 氏

【講演主旨】
 横国大太田研では、これまで新規材料であるガリウム系液体金属を用いたストレッチャブル(伸縮可能な)デバイスの研究をしてきた。これまでは、今後のウェアラブルデバイスへの応用に向けて、液体金属を用いたセンサ等のストレッチャブル電子素子を開発してきたが、近年は更にバッテリ応用に展開している。ストレッチャブルと液体金属との親和性は高く、今後のストレッチャブルエレクトロニクスの一翼を担う可能性を秘めている。そこで本学習では、これまで太田研で行ってきた液体金属を用いたストレッチャブル電子素子の概要を学習しながら、最新の液体金属を用いたストレッチャブルバッテリの研究に関して学習する。

【キーワード】
液体金属、ストレッチャブルエレクロトにクス、ストレッチャブルバッテリ、ガスバリアフィルム

【講演ポイント】
 発表者は2013年からフレキシブル・ストレッチャブルエレクトロニクスに携わり、これまでNature、Nature関連誌、Science関連誌等などで報告している。とくに液体金属に関する研究では顕著な実績を有する。ストレッチャブルエレクトロニクス及び液体金属は今まさに産業化に向けて動き出した状態にあり、まだまとまった書籍等は存在しない。本講演で概要を学ぶことができれば他に先んじて知見を得ることができるであろう。

【習得できる知識】
・ストレッチャブルエレクトロニクス概要
・液体金属の概要と特性
・その使用方法と応用

【プログラム】
1. ストレッチャブルエレクトロニクス
2.1. 液体金属概要
2.2. 液体金属特徴
2.3. 液体金属作成方法
3.1. 液体金属のパターニング方法(2次元)
3.2. 液体金属のパターニング方法(3次元)
4.1. 液体金属の配線の実例①
4.2. 液体金属の配線の実例②
5.1. 液体金属を用いた物理センサ
5.2. 液体金属を用いた電気化学センサ
6. 液体金属を用いたガスバリアフィルム
7. 液体金属を用いたストレッチャブルバッテリ

【質疑応答】


第2部 イオン伝導性柔粘性結晶・分子結晶の開発とフレキシブルな二次電池向け固体電解質への展開
【12:45-14:00】

講師:静岡大学 学術院理学領域 准教授 博士(工学) 守谷 誠 氏

【講演主旨】
 二次電池向けの固体電解質の候補として、構成要素が「規則的配列」と「動的機能」を併せ持つという特徴を有するプラスチッククリスタル(柔粘性結晶)やその関連物質への関心が高まっています。本講ではこのようなプラスチッククリスタルの開発事例と固体中でのイオン拡散、二次電池への展開に関する研究例を紹介します。

【キーワード】
全固体電池、リチウムイオン伝導、固体電解質、分子結晶、柔粘性結晶、プラスチッククリスタル

【講演ポイント】
 プラスチッククリスタル、分子結晶に注目しながら、固体電解質の開発に取り組んでいます。これらの材料は、格子中における構成要素の規則的配列と適度な柔軟性を併せ持つことから、セラミックスとポリマーの長所を併せ持つ材料と考えることができます。プラスチッククリスタル、分子結晶にが持つこれらの特徴を生かした材料開発について、構造と電気化学特性の相関というところから、固体電解質としての全固体電池への展開に関する研究状況について紹介したいと思います。

【習得できる知識】
プラスチッククリスタル・分子結晶電解質の構造、電気化学的特性、熱的特性にに関する知識、プラスチッククリスタル(柔粘性結晶)に関する基礎、分子結晶電解質を用いた全固体電池に関する知識

【プログラム】
1.固体中でのイオン拡散:固体イオニクス
 1-1 固体中でのイオン拡散の基礎
 1-2 固体イオニクスの発展
 1-3 固体中での高速イオン拡散

2.プラスチッククリスタルについて
 2-1 有機物における固体イオニクス
 2-2 プラスチッククリスタルの特徴
 2-3 プラスチッククリスタルの開発例
 2-4 プラスチッククリスタルの固体電解質としての展開

3.プラスチッククリスタルの関連物質
 3-1 プラスチッククリスタル関連物質としての分子結晶
 3-2 分子結晶中でのイオン伝導パス構築
 3-3 分子結晶の固体電解質としての展開
 3-4 分子結晶の構造と伝導性の相関

4.プラスチッククリスタル・関連物質を用いた二次電池
 4-1 プラスチッククリスタルを固体電解質とした二次電池
 4-2 分子結晶を用いた二次電池

【質疑応答】


第3部 光充電・発電リチウムイオン電池のフレキシブル化への応用
【14:15-15:30】

講師:工学院大学 先進工学部応用物理学科 准教授 永井 裕己 氏

【講演主旨】
 本講座では,化学的薄膜形成法である分子プレカーサー法の基礎からそれを用いて作製した光充電・発電型リチウムイオン電池,そしてこの電池の高容量化とフレキシブル化への応用について講義します。分子プレカーサー溶液は,金属錯体を出発原料とした溶液を用いた薄膜形成法です。この溶液は安定で異種金属との混和性が高く均一溶液を調製可能で,リチウムイオン電池の正極材料のような三元系,多元系の材料作成にも適しています。この方法を用いた透明薄膜リチウムイオン電池の作製から,長年にわたって研究してきたn型半導体との融合,そしてこの原理を用いた応用と可能性について広く紹介します。

【キーワード】
分子プレカーサー法,薄膜形成,無色透明薄膜リチウムイオン電池,光充電・発電型透明薄膜リチウムイオン電池,高容量化,フレキシブル

【講演ポイント】
 機能性薄膜形成を主としてきた講演者が異なる視点からのリチウムイオン電池と半導体材料を融合した新たなデバイスを提案して,それらをフレキシブル化への応用提案できること,また材料設計の可能性を提案できることは,次世代リチウムイオン電池の研究者にとって一助になれば幸いである。

【習得できる知識】
分子プレカーサー法の原理と応用,半導体との融合,新たなデバイスへの応用可能性

【プログラム】
1. 分子プレカーサー法について
2. 透明薄膜リチウムイオン電池
3. エレクトロクロミックデバイス
4. n型半導体
5. 光充電・発電型リチウムイオン電池
6. 光充電・発電型リチウムイオン電池の高容量化
7. フレキシブル化への応用

【質疑応答】                                       

セミナー講師

第1部 横浜国立大学 大学院工学研究院 システムの創生部門 准教授 太田 裕貴 氏

【学内経歴】
2018年4月-現在
専任 横浜国立大学 大学院工学研究院 システムの創生部門 准教授
2017年3月-2018年3月
専任 横浜国立大学 大学院工学研究院 システムの創生部門 特任教員(准教授)
2021年4月-現在
併任 横浜国立大学 大学院先進実践学環 准教授
2018年4月-現在
併任 横浜国立大学 理工学部 機械・材料・海洋系学科 准教授
2018年4月-現在

【学外略歴】
2018年10月-2022年3月
JST さきがけ研究員
2017年6月-2020年3月
産業技術総合研究所 外来研究員
2017年4月-2020年3月
大阪大学 招聘准教授
2016年8月-2017年3月
大阪大学 特任助教
2016年4月-2016年7月
カリフォルニア大学バークレー校 Project Scientist
2014年4月-2016年3月
カリフォルニア大学バークレー校 独立行政法人日本学術振興会海外特別研究員
2011年4月-2014年3月
東京女子医科大学 日本学術振興会特別研究員
2009年4月-2011年3月
慶應義塾大学 日本学術振興会特別研究員
2007年4月-2008年2月
キヤノン株式会社 総合職

【受賞】
・日本機械学会 ロボメカ部門 ROBOMECH表彰(学術研究分野)
2022年07月 日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス部門 新生児状態観察のためのマルチバイタルウェアラブルデバイスの開発
・優秀研究者賞奨励賞
2022年01月 横浜国立大学
・令和3年度 SCOPE 研究開発奨励賞
2022年01月 総務省
・貢献表彰
2021年11月 マイクロ・ナノ工学部門の発展 日本機械学会 マイクロ・ナノ工学部門
・里見奨学会 里見賞
2020年09月 公益財団法人里見奨学会 ストレッチャブル電極を用いた可変式ウェアラブルバイタル検出デバイスの開発
・文部科学大臣表彰 若手科学者賞
2020年04月 文部科学省 機能性液体による新規ストレッチャブルデバイスに関する研究
他多数

【著作】
・ストレッチャブルエレクトロニクスの技術動向( 担当: 単著 , 範囲: 第21章 液体金属を利用したストレッチャブルデバイス)シーエムシー出版 2021年6月 ( ISBN:978-4-7813-1607-9 )
・テレワーク社会を支えるリモートセンシング( 担当: 単著 , 範囲: 第10章 リモート健康管理に向けた柔軟材料によるウェアラブルバイタルデバイス)シーエムシー出版 2021年4月 ( ISBN:978-4-7813-1602-4 )
・月刊化学「変幻自在な液体電子システムを目指して -リキッドステート エレクトロニクスの創出( 担当: 単著)株式会社化学同人、月刊化学2021年(76巻)4月号 2021年3月
・化学工学「液体金属を用いたセンサ・デバイス開発.」( 担当: 単著)公益社団法人化学工学会、化学工学2021年(85巻)2月号 2021年2月
・液体金属によるストレッチャブルデバイス(担当: 単著)設計工学 2021年
・液体金属を用いた伸びるバイタル検出センサの開発( 担当: 単著)センサイト 2020年8月
・化学工業「3D プリンティングを融合した ウェアラブルバイタルセンシング」( 担当: 単著)化学工業社 2020年8月号 2020年7月
・3Dプリンティングを融合したウェアラブルバイタルセンシング( 担当: 分担執筆 , 範囲: 3Dプリンティングを融合したウェアラブルバイタルセンシング)化学工業(Vol. 71, No. 8,) 2020年7月
・月刊BIO INDUSTRY「周産期新生児医療の IoT 化に向けた ウェアラブル黄疸計測デバイスの開発(Vol.37,No.3)」( 担当: 単著)シーエムシー出版 2020年3月
・名教就美「機能性液体による新規ストレッチャブルデバイスに関する研究」( 担当: 単著)名教就美会 第7号(令和2年(2020年)度) 2020年
・月刊OPTRONICS2019年10月号「新生児医療へのIoT導入への挑戦」(担当: 共著)オプトニスクス社 2019年10月

第2部  静岡大学 学術院理学領域 准教授 博士(工学) 守谷 誠 氏

【経歴】
2006年4月:東京工業大学 研究補佐員
2006年5月から2007年3月:ミュンスター大学(ドイツ)有機化学研究所 博士研究員
2007年4月から2014年3月:名古屋大学エコトピア科学研究所 助教
2011年4月から2014年3月:JSTさきがけ「新物質科学と元素戦略」研究員(兼任)
2014年4月から2015年3月:静岡大学大学院理学研究科化学専攻 講師
2015年4月から2022年3月:静岡大学学術院理学領域 講師(大学院改組に伴う名称変更)
2019年4月から2021年3月:静岡大学IR(インスティテューショナル リサーチ)室 室員 (兼任)
2019年4月から2022年3月:静岡大学若手重点研究者
2019年4月から現在:静岡大学創造科学技術大学院(博士後期課程大学院)(兼任)
2022年4月から現在:静岡大学学術院理学領域 准教授
2022年4月から現在:静岡大学グリーン科学技術研究所 (兼任)

【受賞】
2022年12月 高柳研究奨励賞

【著作】
(1)Processing and Properties of Advanced Ceramics and Composites V: Ceramic Transactions, Vol. 240, pp.313-319.
The American Ceramic Society, John Wiley & Sons (2013).
“Fabrication and improvement of the properties of Mn-doped bismuth ferrite-barium titanate thin films”<

セミナー受講料

【1名の場合】44,000円(税込、テキスト費用を含む)
2名以上は一人につき、11,000円が加算されます。 


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全国

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キーワード

電気化学   電気・電子技術一般   電子デバイス・部品

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