PLAを中心とした生分解性プラスチックの
生分解分解制御と機能化を解説!

セミナー趣旨

 海洋プラスチック汚染問題に代表される地球環境・資源・廃棄物問題が顕在化した今日、生分解性プラスチックへの関心が本格化しているが、その成否を支配するのは、既存石油系プラスチックの広範な性能・機能と応用展開をどこまでカバーし得るかに係っている。
本講では、生分解性プラスチックの中でも中核素材であるポリ乳酸を中心に、先ず生分解機構の視点から製品寿命の短い使い捨て製品から長期使用耐久性製品までをコントロールするための分解制御技術を論究し、次に既存石油系プラスチックを代替えする上で必須の要件である耐衝撃性や耐熱性、抗菌・防カビ性等の高性能・高機能化技術を詳述する。
 今日までの約35年間、生分解性プラスチックの基礎・応用研究から技術・事業開発までを産学両分野に渡り世界に先駆け成し遂げた講師による渾身のセミナーである。

習得できる知識

◇地球環境保全・資源循環型社会に向けて、SDGs)としての生分解性プラスチック
◇生分解性プラスチックの高性能・高機能化材料設計技術
◇生分解性プラスチックの成形加工と製品・市場開発動向

セミナープログラム

1.地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック

 1.1 地球環境・資源・廃棄物問題の抜本的解決のために
  1) 海洋プラスチック汚染問題の正しい理解と生分解性プラスチックの役割
   ・海洋プラ濃度の経年変化(累積増加)曲線
   ・海洋汚染問題に対する短期的視点と長期的(グローバルな)視点
   ・海水中のマイクロチップ(流木、草本類)は太古の昔より存在した!
   ・自然生態系が許容し得る海水中の生分解速度…ポジティブ・コントロールは?
  2) 地球上に生命が誕生して38億年、地球はなぜ廃棄物で埋もれなかったのか?
  3) 自然界が有する真のリサイクルシステムである炭素循環へのリンク
 1.2 生分解性プラスチックの識別表示と環境負荷低減効果
  1)日本バイオプラスチック協会(JBPA)識別表示制度
  2) カーボン・フットプリント…LCAによる環境負荷の客観的・定量的評価
 1.3 生分解性プラスチックの分類、基本特性と応用展開
  1) 硬質タイプ…ポリ乳酸(PLA):Tg/Tm=58℃/175℃
  2) 軟質タイプ
   ①ポリブチレンアジペート・テレフタレート(PBAT):Tg/Tm=-35℃/115℃
   ②ポリブチレンサクシネート系(PBS, PBSA):Tg/Tm=-47〜-35℃/84〜115℃
  3)その他…微生物産生ポリエステル(PHBV, PHBH)、デンプン系
 1.4 世界の法規制と業界動向
  1) 欧米グリーンガイド指針…ポイ捨てを助長するbiodegradable表示は禁止、
    再資源化手法としてのCompostable(堆肥化可能)表示を!
  2) 世界の法規制動向…欧州ではごみ袋やレジ袋、使い捨ては生分解性に!
  3) 業界動向…世界ラーメンサミット「大阪宣言」

2. 生分解性プラスチックの生分解機構と分解(開始・速度)制御技術

 2.1 生分解機構の分類(分解の初期から中期にかけて)
 2.2 分解開始・速度の支配的因子と分解制御技術
  1)PLAの特異的な2段階2様式の生分解機構…生分解性と耐久性の両立可
   ・第一ステップ…化学的加水分解(分子量、強度低下による形状崩壊)
   ・第二ステップ…①で生成した水溶性乳酸を微生物が資化・代謝(生分解)
  2)PLAのTg:58℃≒生ごみ堆肥化温度…分解開始トリガー(自動的スイッチオン機構)
  3)PLAの分解速度の制御…残留ラクチドとCOOH末端基濃度と製品寿命
   ①タイプS(残留ラクチド:多)…分解速度速い/製品寿命短い
   ②タイプM(残留ラクチド:少)…中程度
   ③タイプL(COOH末端基封鎖)…分解速度遅い/製品寿命長い
 2.3 PLAの様々な環境下における(非)分解挙動と応用展開
  1)生体内…生体内分解吸収性医用材料(タイプS)
  2)自然環境下(土壌、海水)…農林・園芸・土木・水産資材(タイプM)
  3)再資源化/バイオリサイクル(堆肥化またはバイオガス化)
       …使い捨て容器・包装資材、生活・衛生・雑貨(タイプM)
  4)高温・高湿下(自動食器洗い機)…リターナブル食器(タイプL)
  5)再資源化/マテリアルリサイクル…リターナブル食器、電気・電子機器筐体・部品、
     産業資材、自動車内装材(タイプL)

3.生分解性プラスチックの高性能・高機能化技術の進展

 3.1 耐熱性…荷重たわみ温度(DTUL)、熱変形温度(HDT)又は熱収縮率
  1) 結晶性高分子の耐熱性支配因子…成形加工工程での結晶化速度
   ・主剤…高L組成ポリ乳酸(High %L PLA)
   ・添加剤…造核剤、結晶化促進剤、マルチ機能改質剤
   ・透明耐熱性…溶解型造核剤
  2) 耐熱性、透明耐熱性の現状到達レベル
   ・電気・電子機器筐体・部品…150 ℃/低荷重下(0.45MPa)
   ・食品容器…120〜130℃ x 5分/電子レンジ加熱可
   ・ティバッグ、飲用カップ…5〜100℃/熱湯注入可
   ・透明耐熱性(ヘイズ<5%)…130℃
 3.2 耐衝撃性
  1) 添加剤の配合設計と作用機序
  2) 耐衝撃性の現状到達レベル
   ・電気・電子機器筐体、部品…9.6 kJ/cm2(シャルピー衝撃強度)
   ・シート成形品…落球法(100gの重りを50㎝の高さから)
  3) 耐熱性と耐衝撃性の同時改良が可能なマルチ機能改質剤とその発現機構
 3.3 抗菌・防カビ性…生分解性概念と相反する機能を有する奇跡の素材とは?
  1) ネズミ食害試験
  2) プラスチックのカビ抵抗性試験…JIS Z-2911
  3) 生鮮イチゴ収納容器のカビ抵抗性試験
  4) 繊維の抗菌・防カビ性試験…繊維製品新機能評価協議会・抗菌防臭加工基準
  5) ポリ乳酸の抗菌・防カビ性発現機構
  6) 消費者から届けられた声

4.質疑応答

セミナー講師

元京都工芸繊維大学特任教授、工学博士、高分子学会フェロー 望月 政嗣 氏

セミナー受講料

1名につき55,000円(消費税込・資料付き)
〔1社2名以上同時申込の場合1名につき49,500円(税込)〕

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※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


10:00

受講料

55,000円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込、会場での支払い

開催場所

全国

主催者

キーワード

高分子・樹脂材料   環境負荷抑制技術   バイオ技術

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