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QUESTION 質問No.285

生産管理システムの導入について

生産情報マネジメント |投稿日時:
食品製造業の情報システム部門でシステム管理をしています。
トップダウンで生産管理システムを導入しましたが、現場でなかなか使用されず、効果が出ません。
使用されない原因としては、下記のような点が理由となるようですが、何処に手をつけるのが効果的でしょうか?
・安全在庫の設定や在庫管理の精度が悪いため自動計算した生産計画があてにならない
・実際の製造は急な計画の変更が多く、生産指示通りに進まないため、生産管理データの変更が多発しシステム運用に非常に手間が掛かる
・システム運用担当となる生産管理部門の社員が現場のフォローに出ることが多くシステム運用の時間が取れない

よろしくお願いします。

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

生産管理システムの活用支援を専門としています本間と申します。

生産管理システムは他の情報システムと異なり導入作業よりも活用が難しいことを特徴としています。それはエンドユーザの理解と協力がないと効果が得られないためです。単なる生産指示書や注文書の発行システムであれば情報システム部だけでも進められますが、一歩踏み込んだシステム利用をするためには利用部門主導での使い方立案が必要となります。

貴社だけでなく日本の多くの製造業者ではこうしたアプローチが抜けていることが多く、単なる生産伝票発行機としてしか生産管理システムを使っていないところがほとんどです。

しかし、大量の伝票を処理するだけでも情報システムとしての利用価値は十分にあります。現場の活用意欲が高まらないのであれば生産管理システムの導入効果は望まずに、伝票発行機としての活用に徹するというのもひとつの選択肢です。日本の製造業者の生産管理システム利用の主体はこのパターンですので、貴社のシステムが効果を上げていないからといって決して恥じることもありません。

ただし、もしもそれだけでは不満だという場合は、貴社で生産管理システムを使って何をしたいのかの整理が必要です。そのためのベースとして、貴社の関係者はどれだけ生産管理の理論勉強をされましたでしょうか。最近は生産管理パッケージ利用が増えているため。ユーザ、ベンダどちらの関係者も生産管理理論を勉強せずにいきなり導入作業をするケースが増えています。これで生産管理システムで効果を出そうというのにはそもそも無理があります。

まずは生産管理理論を勉強することが必要です。たとえば安全在庫の話がありましたが、安全在庫とは何のために設定するのかに関して皆さんに共通認識はありますか。計画の話に関しても何のために生産計画を作っているのか整理されていますか。現場がこうした情報の意味と必要性を感じていなければうまく活用できるはずはありません

私が実施している生産管理システム活用コンサルティングでは、最初に関係者に関して生産管理理論の基礎教育を行うようにしています。この教育は企業にお伺いしての研修だけではなくいくつかの研修機関でも実施しています。こうした教育なしで活用プロジェクトを運用しようとしてもうまくいくはずはありません。

なお、残念なことに日本の生産管理理論研究は30年前にほとんどストップしてしまい、適切な日本語参考書がありません(30年前の本は参考になりますが、ほとんど絶版です)。書物で本格的に勉強しようとすると高額な洋書が必要になりますので注意してください。製造業コンサルタントでも生産管理理論を勉強しないでコンサルしている人もいます。中には日本の生産管理は世界で最も進んでいるといった勘違いをしている人もいますので、注意してください。

最近は中堅企業での小生の出番が増えていますが、その背景には活用を考えないといけない企業が増えていることがあるのではと思っています。

参考までにものづくり.COMに連載した生産管理システム導入に関する連載記事がありますので、お読みいただければと思います。
https://www.monodukuri.com/gihou/article/1277




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

日本コストプランニング㈱の間舘(マダテ)と申します。

情報システム部門の方からこのようなご質問をいただけますとホッとします。
多くの会社では、生産管理システムを導入したが、有効に活用できないということを生産および購買部門の方からお聞きすることが多いからです。

この問題は、本間様も仰られていますように生産管理への理解不足が原因であると思います。
私も生産管理の実務経験があり、生産管理ソフトウエアの開発に携わったことから「コンピュータは魔法の杖ではない。」と言ってきました。
そのため、まずは、生産管理の教育が必要になると考えます。その一方、導入してしまったからには、その活用を考えていかなければなりません。
ただ、いただいております情報だけでは、適切なアドバイスは難しいと存じます。

したがって、文面から推測する範囲で、以下のようなことを進めるべきではないかと考えます。
①.在庫量情報の精度を向上させること。
なぜ在庫の精度が悪いのか、その原因を追究し、改善することです。
食品ですと劣化による廃棄によって、在庫量の変動が考えられるのではないでしょうか。
また、生産管理システムを導入する前に行っていた業務の中に、システム導入後止めてしまった業務がありませんか。
それらの中にヒントがあるかもしれません。
②.リードタイムの設定方法とその検証をすること。
食品の生産リードタイムは、短かったように思います。これに対して、調達リードタイムは安定供給を目的に長期に見込んでいませんでしょうか。
そして、ここに生産計画のためのバッファーとしての在庫量が加えられているはずです。
この関係が、生産現場とシステム部門で同じく理解され、妥当であると判断されていますでしょうか。
③.スケジューリングに対するタイムフェンスを設定しているか。
生産現場で計画の変更が多いということは、どのような原因によるものかを分析しておくことです。
生産計画を立てる必要のない期間まで計画を立てて、固定化をさせてしまっていることはないでしょうか。
また、計画の変更は、いつまで(どのくらいの期間)認めるのかも重要です。

以上、簡単ですが、お役に立てれば幸いです。