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QUESTION 質問No.143

5Sの心の実現について

生産生産マネジメント |投稿日時:
多品種少量生産・短納期の電気部品製造工場を経営しています。

5Sを推進して、3年が経過しました。

5Sの対象は、モノですが、そのモノに対して全員参加で整理、整頓、清掃を行っていくことで、気くばりの心、思いやりの心など、本質的な心の部分に踏み込んでいき、そのことが、全てのイノベーション活動を着実に推進する思考の変革につながると、当初、考えていました。

しかし、5Sの心は、工場に定着出来ていません。継続した5Sの心を実現するための仕組みづくりと進め方を、解説、お願いします。


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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

5S活動はトップダウンで始まる活動ですが、ある時点を境にボトムアップの活動に移行させることが重要になります。これは、従業員が5S活動の実務に与える効果を実感できるように工夫しなければなりません。
整頓活動でモノの置き場、置き方を工夫する際に作業性を考慮したアイディアを取り入れ、作業が楽になることを体験できるようにすることがポイントになります。作業者に仕事の中で辛い作業や難しい作業についてヒヤリングを行うように心がけてください。
下記が私が支援を実施して3年以上経過している企業です。この企業では5S活動を経営理念に取り入れ、更に人材育成育も実施しています。会社側が5S活動で従業員に何を身に付けてほしいかを明確にしています。
http://www.nissho-jidosha.co.jp/html/company/5s.html
また、5S活動を通じて社内基準を明確にし、全ての従業員が同じような評価ができるようにすることも重要です。
御社の5S活動ではチェックシートは活用されていますでしょうか?チェックシートは2つも目的があります。
① 現状現のレベルを定量的に評価し、目標を設定した活動計画を作成する。
② 評価結果を見比べて個人による認識の差を把握する。なぜ評価結果が違うかを話合いがらこの差を縮める。
Aさんは問題だと思っていても、Bさんは問題だと思っていないという事は多々あります。全ての従業員従が同じ尺度で評価できるようにしていくことが重要になります。
以下はインドの日系企業で5Sを導入した経緯をレポートしています。
http://gdmc.jp/report-3.html
こちらも参考にしてみてください。




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

5Sの心を実現するための仕組みと進め方の解説を求めておられるので回答します。

a.5Sを実施する目的はコストダウンです。併せて、従業員の資質向上に寄与します。この両立が不可欠です。
b.5Sを実施してコストダウンが得られていないのは、実施の方法に間違いがあるか、測定法に問題があります。
c.社長の方針として5Sを実施することが不可欠です。
d.各職場ごとに対象個所を決め、モデルを作る。
e,対象個所は日常利用頻度の高い対象を選び、職場内で意見交換して5Sのルールを決める。
f.ルールの掲示を行う。置く場所の掲示、最大数を決めてそれ以上に置くことが出来ないように空間を制限する。
g,実施前後の移動時間、取り出す時間、在庫量の変化を比較してコストダウンの評価をする事で、5Sを実施した意義があったことを確認し、職場全体が協力し合ったことが成果に結びつくことになった。とリーダーがまとめて説明することで5Sの効果を全員が共有する
h.月ごとに例会で各職場の取組み状況の報告を交互に行い、相互啓発が図れる様にする。
i,意見交換により決めたルールで実施して問題点に気づいたら、直ちにルールを修正する。曖昧にしたままで放置しないこと、リーダーの重要な役目である。
 概ね以上の様な取組み方をして、実施範囲を順次広げていく。




ANSWER
回答No3 | 投稿日時:

トヨタの「次工程はお客様」は、お客様(=次工程)の満足を得るようにモノを提供することです。

5S活動でのお客様は「自分の周り(社内と社外の両方)」であり、この活動を通して喜びを分かち合うことにあります。

仕組みづくりと進め方をご説明します。

活動管理のサイクルは、一般にはP(プラン)→D(行動)→C(チェック)→A(アクション)で回しますが、CとAの間にE(評価:Evaluation)を入れます。

1、全員参加型で複数のチームを編成
2、各チームで改善場所・目標を決める(P)
3、終業5分前などチームで決めた時間のなかで改善を実践(D)
3、チーム事の改善の進捗がわかるよう社内に貼り出す(C)
4、5Sの統括責任者による各自または各チームまたは各自へのヒアリング(E)
5、ヒアリングを踏まえて対策をとる(A)

この4番のヒアリングですが、これは責任者が説くのではなく、責任者は専ら各自または各チームより屈託のない意見を聴くことに注力します。

5番目ですが、ヒアリングを踏まえて、(自分の周りの)お客様満足向上のため、いまやることを書き出し、修正・微調整を必要に応じておこない、これを翌日からの改善に繋げていきます。

ご参考になりましたら幸いです。




ANSWER
回答No4 | 投稿日時:

クリーン化が専門の清水です。
クリーン化活動は製造現場のゴミ、異物を如何に減らして歩留まり、品質向上に貢献するかという活動ですが、その基本は5Sです。
ただ、ご質問の“継続した5Sの心を実現するための仕組みづくりと進め方の解説”は上手く説明できそうにありません。
そこで、クリーン化の現場診断・指導を通じての経験や各企業の事例等を紹介しながら、ご質問の回答とさせていただきます。特効薬ではないので具体的な解決方法のアドバイスにはなりませんが、少しでも参考になればと思います。

 ・5Sの対象は人とモノ
ご質問の中に5Sの対象はモノとありますが、5Sの最後は躾です。人とモノ両面での対応が必要です。   
ある会社訪問時、6Sと掲示があったので6つ目は何かを聞いたところ、「躾は非常に難しい。常日頃からの習慣化が大切」と考え習慣化を加えたとの説明。
ただし“しつけ”が“押しつけ”になると、やらされ感が増幅し、上司の顔色を窺うようになってしまい定着は難しいです。

・イベントの活用と成功体験
 別な会社では“爽健美活動”というのをやっていました。
日常的な活動以外にも夏は海水浴場のゴミ拾い、近くの城址の清掃なども積極的にやっているとのことでした。
 その中に、“トイレをピカピカに磨き上げよう”という活動があって、実際にその会社のトイレを見せてもらうと綺麗さにびっくりしました。自分の顔が映るくらい床が磨かれていました。
 休日に会社に出てやる。その時便器も3時間くらい磨くのだそうです。
 リーダーが終わりにしようというと、特に若い人ほどもっとやらせてほしい。気が済まないと言ってなかなかやめないのだそうです。この活動を通じ、やらされ感、受け身ではなく、何かを悟るというか、ある境地のようなものに遭遇するのではないかと感じました。
 この会社では、白黒トーナメントというイベントをしていました。
 従業員に白い布を持たせ、トーナメント方式でそれを一番汚してきた人を表彰するというもの。
 表彰時どうしてこんなに汚すことができたかコメントする。自分は気流の流れを見てこんなところが汚れるだろうと推測したとか、布で床を拭くことで綺麗になったつもりだったがやるほど汚れる。今までの清掃が本物ではなかったとか、色々な気づきを話す。
 それを聞いた人達が着眼点やノウハウとして共有する。
表彰された人はまた褒められたいという気持ちを潜在的に持つので、日常的に現場に目を向けることになります。つまり、褒められたという成功体験とその継続に繋がるわけです。

・褒めること
 中国の幾つかの工場にも指導に出かけていました。
 その一つに廊下の掲示が感動するほど綺麗なところがありました。
 当時の総経理(社長)に聞いたところ、「掲示は用紙の大きさを統一し、縦横きちんと揃えて貼ることを1年近く言い続けた結果こういう掲示ができるようになった。
 これにより予想外の波及効果があった。それは水平、垂直、直角の考え方が従業員に浸透する。そして工場内ではその考え方から外れているものは異常と判断し、上司に報告して来るようになった」とのことです。
 例えば、電気のコードが今まで水平だったのに今日は垂れているとか、設備のカバーが斜めになっている、製品置き場がずれている。運搬台車がぶつかったのではないかなどと報告して来る。
 この時は、どんな内容であっても大袈裟に褒める。すると喜んだりまた褒められたいという気持ちになり、更に沢山の報告が出て来る。
 大勢の目を活用することで、管理監督者の工場巡回で発見するよりもはるかに沢山の気づきがある。
 5Sだけでなく、災害の未然防止や設備異常の早期発見に繋がるとのことです。

・自分の問題として引き寄せる
 クリーン化ではなぜを考えることが重要だと言い続けてきました。なぜ防塵衣を着るのか。防塵衣にはなぜ着脱順序があるのかと言うように、一つ一つになぜがあります。
5Sもそれを進めると何が良くなるのか。それは自分たちにどう跳ね返ってくるのかを理解してもらう。つまりなぜを考えることでひとごとではなく、自分の問題として引き寄せることができると思います。
 例えば歩留まりが上がる、作業ミスが減るという表面的なことだけでなく、それによりどう利益が出るのか、自分達が楽になるかなど掘り下げて考えられるように導きたい。

・管理監督者の率先垂範
・指示、命令は一方的で受け身、待ちになります。
管理監督者の率先垂範や一緒にやることに効果があります。
やらせておいて、一方では会議で参加しないということがあると上手く行きません。
管理監督者は兎角理論、理屈で考えがちですが、一緒に汗を流し苦労を分かち合うことが大切です。
 ・国内のある工場。設備の保全を定期的に実施、グリスやこびりついた汚れを毎回時間をかけ除去していた。そこに、ひょっこり工場長が入ってきて、こんなに苦労しているのか、ちょっと俺にもやらせろと言いながら自分も手を汚す。作業者も日頃は上下の距離を感じている偉い人が気軽に声をかけてくれた。
一緒に油だらけになって清掃しながら、もっと楽になる方法はないのかなどと気軽に問いかける。
そのメンバーも自分達の苦労を知って貰った喜びに加え、もっと効率良い方法はないか考えるきっかけになった例。段々意識が向かいます。

 ・インドネシアの工場での社長の話。
 赴任した時工場にはゴミが目立った。これではいけないと思い、皆には掃除しろとは言わず、毎日ビニール袋を持ちゴミを拾って歩いた。
 すると現地の管理職が寄ってきて何をしているのかと聞いて来る。
 その時拾ったものを見せ、こんなものが落ちていてはいけないと説明する。すると管理職が拾い出す。その様子を見て今度は作業者が寄って来る。そして社長が拾っているのだからと作業者も拾い出すようになったとのこと。背中を見せて育てるという事例。

 私も現場を這いずり回っているうちに、クリーン化の目的は?などと考える以前にクリーン化の心に触れた気がする時があります。理論、理屈は後回しでもっと綺麗にしたいと純粋に思うことがあります。
 人はこれではいけないと思えば、行動を起こす動物ですが、そこに気づかせる地道な活動が大切だと感じます。

・その境地に入っても、どう繋ぐか
 最後にもう一つ。今の人達が“継続した5Sの心を実現する”とありましたが、そのように育っても、それをどう継承させていくかが重要。浸透、定着には時間がかかりますが、手を抜くと衰退したり、運が悪いとあっという間に崩れます。こうなると元に戻すことがなかなか難しいです。早めに把握して手を打ちたいです。

 弛んで来た時には前述のようにイベントをやってみるのも一つの方法です。
 どの企業を訪問しても、色々な工夫、イベントをやっていますので同じ悩み、課題を抱えている企業は多いと思います。その現場に合った方法を模索していただきたい。

 上手なアドバイスができませんので、事例を紹介することでアドバイスに代えさせていただきました。