最初が肝心な省エネ活動

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 省エネ活動
 省エネルギーは中核となるプロジェクトチームを作って取り組むことを提案しています。活動企画が出来上がり、活動の主体がプロジェクトチームに移って最初に行うことは、チーム作りと対象の全体観をつかむことです。
 
 チーム作りは活動の人間的側面が何よりも重視されなければなりませんので、軽んじてはならないところです。活動の正式名称は推進委員長が命名しますが、チーム愛称はチームリーダーが(またはメンバー観の合意で)命名します。この名前の元に一致団結するという重要なものです。時代を反映してTNP(低燃費)とかシャーロット(省エネではありませんでしたが)などの愛称はプロジェクトメンバーだけでなくおそらく長きにわたって関係者の記憶に残るでしょう。
 
 ミーティングを欠席するメンバーが増えてくると活動に支障をきたします。次月の活動を各人のスケジュール上で押さえておく、例えば月168時間の三分の一の56時間を省エネに充てると決めておき、予約するとか、調整が難しい時はダブルキャストで臨むという体制ができると理想です。
 
 このルールを破っていいのは個人の権利行使(年休、検診など)と会社の危機(保安・安全活動、顧客クレーム、法令遵守など)対応だけの筈ですが、必ずしもそうではない実情もまた現実です。省エネに限っては一刻を争う活動でもないため、メンバー選定での配慮がもとめられます。
 
 お互いをよく知る(わかりやすく言えばもっと仲良くなる)機会を(この際ですから)増やすというのはどうでしょうか。懇親会を最初に行う、定期的に同じテーブルで昼食をとるなど簡単にできそうです。ちょっと気恥ずかしいですが、最初の顔合わせでは自己紹介をミーティングの都度2分間スピーチを順番にすることにするなど、日常業務とちょっと違う仕事の仕方を導入する良い機会です。検討過程をホワイトボード(電子黒板など)に書きながらミーティングしたり、議事録を作成したリと手間もかかるのでついつい簡略化しがちですが、付箋や小紙、ポストイットを活用して清書の手間を省く。役職の上位者や声の大きい人以外の人の意見も集めることができますのでかえって満足度が上がるようです。
 
 定期的に顔を合わせやすくするためにプロジェクトルームを設置できると良いですし、そうすればコアタイム方式(例えば毎日14時から16時の2時間はプロジェクトルームに参集する)も実施しやすくなります。
 
 対象の全体観をつかむためには、最初から盛りだくさんにしないで、エネルギーを使っている設備・機器のリストを作ることから始めます。機器リストが整備されているところではこれを入手するところから始めます(もし無ければこれすら大仕事になります)。リストを作ることが目的であればここで終了となりますが、チームメンバー全員で確認し合うためにはちょっとした工夫が必要です。皆で現場に行き、一つずつ見て(撮影もして、できれば静止画でなく動画で)確認するようにしたり、銘板をきれいに拭いてメーカー名、型式、日付、仕様が相違ないかをチェックするだけでなく、設置状況やプーリーなどの伝達機構が痛んでいないかなどの気付きをメモしておく。
 
 そのほか5Sの観点からの発見も多くあることでしょう。もし、製造・修繕・設計・電気などの担当者が集まって確認できれば、機器の使い方で困っていること、修繕頻度の高いものや逆に設置以来長期間更新されていない、遊休品を活用したため、過大な仕様となっているなどの一般情報も同時に収集できます。
 
 続いて日常で使用しているエネルギーの投入量を測定している実態を知るようにします。燃料は使用箇所ごとのメーターが必要です(が元メーターしかないことが多い)し、人が毎日読み取るのではなく自動記録が可能かどうかも調べます。蒸気は蒸気供給系統の全体が測定されていれば投入箇所ごとに測定されていなくともなんとかなりそうです。
 
 電気が一番面倒になりますが、主な使用箇所には電力モニターを取り付けることを検討してみてください。電気メーカー各社で使いやすいユニットが用意されているようです。インバーターの設置もチェックしておいてください。測定のための測定器や計器を購入・取り付けしたり、リースやレンタルの手続きを進めてください。これらの費用は(常識的な範囲であれば)たいがい元は取れるものです。
 
 次に原価計算で集計されているエネルギー費用の内訳(使用量と単価)と...
 省エネ活動
 省エネルギーは中核となるプロジェクトチームを作って取り組むことを提案しています。活動企画が出来上がり、活動の主体がプロジェクトチームに移って最初に行うことは、チーム作りと対象の全体観をつかむことです。
 
 チーム作りは活動の人間的側面が何よりも重視されなければなりませんので、軽んじてはならないところです。活動の正式名称は推進委員長が命名しますが、チーム愛称はチームリーダーが(またはメンバー観の合意で)命名します。この名前の元に一致団結するという重要なものです。時代を反映してTNP(低燃費)とかシャーロット(省エネではありませんでしたが)などの愛称はプロジェクトメンバーだけでなくおそらく長きにわたって関係者の記憶に残るでしょう。
 
 ミーティングを欠席するメンバーが増えてくると活動に支障をきたします。次月の活動を各人のスケジュール上で押さえておく、例えば月168時間の三分の一の56時間を省エネに充てると決めておき、予約するとか、調整が難しい時はダブルキャストで臨むという体制ができると理想です。
 
 このルールを破っていいのは個人の権利行使(年休、検診など)と会社の危機(保安・安全活動、顧客クレーム、法令遵守など)対応だけの筈ですが、必ずしもそうではない実情もまた現実です。省エネに限っては一刻を争う活動でもないため、メンバー選定での配慮がもとめられます。
 
 お互いをよく知る(わかりやすく言えばもっと仲良くなる)機会を(この際ですから)増やすというのはどうでしょうか。懇親会を最初に行う、定期的に同じテーブルで昼食をとるなど簡単にできそうです。ちょっと気恥ずかしいですが、最初の顔合わせでは自己紹介をミーティングの都度2分間スピーチを順番にすることにするなど、日常業務とちょっと違う仕事の仕方を導入する良い機会です。検討過程をホワイトボード(電子黒板など)に書きながらミーティングしたり、議事録を作成したリと手間もかかるのでついつい簡略化しがちですが、付箋や小紙、ポストイットを活用して清書の手間を省く。役職の上位者や声の大きい人以外の人の意見も集めることができますのでかえって満足度が上がるようです。
 
 定期的に顔を合わせやすくするためにプロジェクトルームを設置できると良いですし、そうすればコアタイム方式(例えば毎日14時から16時の2時間はプロジェクトルームに参集する)も実施しやすくなります。
 
 対象の全体観をつかむためには、最初から盛りだくさんにしないで、エネルギーを使っている設備・機器のリストを作ることから始めます。機器リストが整備されているところではこれを入手するところから始めます(もし無ければこれすら大仕事になります)。リストを作ることが目的であればここで終了となりますが、チームメンバー全員で確認し合うためにはちょっとした工夫が必要です。皆で現場に行き、一つずつ見て(撮影もして、できれば静止画でなく動画で)確認するようにしたり、銘板をきれいに拭いてメーカー名、型式、日付、仕様が相違ないかをチェックするだけでなく、設置状況やプーリーなどの伝達機構が痛んでいないかなどの気付きをメモしておく。
 
 そのほか5Sの観点からの発見も多くあることでしょう。もし、製造・修繕・設計・電気などの担当者が集まって確認できれば、機器の使い方で困っていること、修繕頻度の高いものや逆に設置以来長期間更新されていない、遊休品を活用したため、過大な仕様となっているなどの一般情報も同時に収集できます。
 
 続いて日常で使用しているエネルギーの投入量を測定している実態を知るようにします。燃料は使用箇所ごとのメーターが必要です(が元メーターしかないことが多い)し、人が毎日読み取るのではなく自動記録が可能かどうかも調べます。蒸気は蒸気供給系統の全体が測定されていれば投入箇所ごとに測定されていなくともなんとかなりそうです。
 
 電気が一番面倒になりますが、主な使用箇所には電力モニターを取り付けることを検討してみてください。電気メーカー各社で使いやすいユニットが用意されているようです。インバーターの設置もチェックしておいてください。測定のための測定器や計器を購入・取り付けしたり、リースやレンタルの手続きを進めてください。これらの費用は(常識的な範囲であれば)たいがい元は取れるものです。
 
 次に原価計算で集計されているエネルギー費用の内訳(使用量と単価)とこのリストに基づいて集計された部門ごとの実際費用が概ね合うかどうかチェックします。電気は過去の少ないデータからの案分に注意してください。活動中に改善に関係する部分は一度は実測しなければなりません。関連情報として、生産量、操業度、負荷率、稼働時間、歩留りのデータを入手してください。
 
 これでリストが完成しますので、取り組み優先順位を付けます。半年の活動であれば1番と2番、年間活動であれば3番まで、エネルギー使用金額の大きい順に取り組みます。直近で見直したばかりとか、逆に近々リニューアル計画が進行しているなどの対象は順位を下げておきます。取りまとめる大きさはチームメンバーの実務経験年数で決めますが、主要設備とその前後工程をひとくくりとします。若手中心であればできるだけ狭い範囲にしておきます。
 
 この段階ではいたずらに詳しい調査をするのではなく、実態調査の計画を立てる姿勢で取り組むことが活動を円滑にスタートさせるポイントとなります。次のステップは前提条件を整理して確認し、本題となる現状実態調査と分析に進みます。
  

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この記事の著者

石塚 健志

330件の指導実績/工場管理全般、中でも省エネルギー、歩留り・品質改善を得意とします

330件の指導実績/工場管理全般、中でも省エネルギー、歩留り・品質改善を得意とします


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