ヒートポンプの仕組み

更新日

投稿日

ヒートポンプ

 

少ないエネルギーで大きな熱エネルギーを生み出す高効率技術がヒートポンプのヒートポンプユニットです。給湯システム、家電、冷暖房では省エネが常識ですので、ヒートポンプが使われているシステムは、これからも家庭用・産業用などで増え続けるでしょう。今回は、ヒートポンプの概要を解説します。

 

1.ヒートポンプとは何か

初めて日本で商品化されたヒートポンプは、空気圧縮で発生する熱を利用したものです。このヒートポンプユニットの原理は以前から知られていましたが実現する製造技術がなく、ようやく実用化されました。ヒートポンプの性能は成績係数、COPで示されます。COP3は、ニクロム線ヒーターで水の温度を1℃上げるのに使う消費電力で、ヒートポンプでは同じ消費電力で3℃上げられるということを表しています。空気を圧縮することで発生する熱で水を温めた方が、ヒーターで直接水を温めるより、消費電力が1/3になるということです。これによって、現在では給湯機、空調機の省エネが一気に進み、COP6を超えています。

 

2.ヒートポンプの原理と仕組み

ヒートポンプとは、熱をくみ上げるという名の通り、熱を移動させることで仕事を行います。屋内の熱を集めて屋外へ運ぶことで冷房となりますし、屋外にある熱を集めて屋内へ運ぶことで暖房になります。

 

暖房における熱の移動では、寒い外から熱を集めて、室内へ運んで暖めます。このポンプには、蒸発し易く液化し易い冷媒ガスが封入されおり、熱の受け渡しの役割を室内機と室外機の間を回りながらしています。この原理はエアコンの他、冷蔵庫、床暖房、ヒートポンプユニット内蔵の洗濯乾燥機など身近なところで使われています。ヒートポンプは、作りだす熱に対して消費するエネルギーは少ないので省エネで、大気中の熱を利用しますから二酸化炭素の発生量も少なくてすみます。これが、ヒートポンプがエコな理由です。

 

なぜこのポンプは大気から熱を集められるのかですが、それは、空気の性質を利用しているからです。空気圧縮は、温度を上げます。このポンプは熱を集めて運ぶシステムですが、熱はどのように運ばれるのでしょうか。このポンプで熱を運ぶものが冷媒です。

 

冷媒は、圧縮ガスが使われることが多く、かつてはフロンが大部分でした。近年は、エコに配慮して別の種類のガスに変わっています。冷媒の冷は冷やすイメージですが、暖かくも冷たくも出来るのです。この為、エアコンは1台で冷暖房の機能が備えられます。冷媒の温度変化で、暖かくも冷たくもなるのです。

 

3.ヒートポンプの用途

ヒートポンプが使われている家電ですが、エアコン以外にはどのようなものに使われているのでしょうか。ここでは、ヒートポンプの用途を説明します。

 

(1)家庭用の給湯器

 

給湯器は、エコキュートやエコジョーズといった名称でヒートポンプの仕組みを利用しています。第三世代のエコな給湯器です。ガス給湯器と電気給湯器のどちらもあります。光熱費が高いという場合はヒートポンプを使用した機器に交換を考えてもよいでしょう。

 

(2)業務用のエアコンや給湯器

 

ヒートポンプのメリットが最も生かせるのが業務用です。病院、オフィスビルなどは必ずエアコンと給湯器が備えつけられているので、利用者が多い所は、ヒートポンプ式にすれば、光熱費が節約できます。

 

(3)冷凍庫や冷蔵庫

 

家庭で使う電化製品の中でエアコンに次いで光熱費が高いのが、冷凍庫や冷蔵庫です。

冷蔵庫も冷媒を使って内部を冷やす仕組みはエアコンと同じなので、ヒートポンプの仕組みを使えば、それだけ光熱費を節約できます。

 

(4)床暖房

 

床暖房は家庭用では給湯器とセット販売されている商品も少なくありません。新築やリフォームをする場合はヒートポンプを使った給湯器と床暖房を導入するチャンスです。

 

以上、真冬や真夏になると光熱費がはね上がっていた場合は、ヒートポンプの仕組みを利用した機器の導入を検討する価値はあります。

 

4.ヒートポンプの種類

ヒートポンプの種類は、熱輸送の原理で決まります。ここでは、ヒートポンプの種類を説明します。

 

(1)発熱・吸熱の冷媒利用

 

吸着式ヒートポンプ、蒸気圧縮ヒートポンプ、吸収式ヒートポンプなどは、液体が気化する際に発する気...

ヒートポンプ

 

少ないエネルギーで大きな熱エネルギーを生み出す高効率技術がヒートポンプのヒートポンプユニットです。給湯システム、家電、冷暖房では省エネが常識ですので、ヒートポンプが使われているシステムは、これからも家庭用・産業用などで増え続けるでしょう。今回は、ヒートポンプの概要を解説します。

 

1.ヒートポンプとは何か

初めて日本で商品化されたヒートポンプは、空気圧縮で発生する熱を利用したものです。このヒートポンプユニットの原理は以前から知られていましたが実現する製造技術がなく、ようやく実用化されました。ヒートポンプの性能は成績係数、COPで示されます。COP3は、ニクロム線ヒーターで水の温度を1℃上げるのに使う消費電力で、ヒートポンプでは同じ消費電力で3℃上げられるということを表しています。空気を圧縮することで発生する熱で水を温めた方が、ヒーターで直接水を温めるより、消費電力が1/3になるということです。これによって、現在では給湯機、空調機の省エネが一気に進み、COP6を超えています。

 

2.ヒートポンプの原理と仕組み

ヒートポンプとは、熱をくみ上げるという名の通り、熱を移動させることで仕事を行います。屋内の熱を集めて屋外へ運ぶことで冷房となりますし、屋外にある熱を集めて屋内へ運ぶことで暖房になります。

 

暖房における熱の移動では、寒い外から熱を集めて、室内へ運んで暖めます。このポンプには、蒸発し易く液化し易い冷媒ガスが封入されおり、熱の受け渡しの役割を室内機と室外機の間を回りながらしています。この原理はエアコンの他、冷蔵庫、床暖房、ヒートポンプユニット内蔵の洗濯乾燥機など身近なところで使われています。ヒートポンプは、作りだす熱に対して消費するエネルギーは少ないので省エネで、大気中の熱を利用しますから二酸化炭素の発生量も少なくてすみます。これが、ヒートポンプがエコな理由です。

 

なぜこのポンプは大気から熱を集められるのかですが、それは、空気の性質を利用しているからです。空気圧縮は、温度を上げます。このポンプは熱を集めて運ぶシステムですが、熱はどのように運ばれるのでしょうか。このポンプで熱を運ぶものが冷媒です。

 

冷媒は、圧縮ガスが使われることが多く、かつてはフロンが大部分でした。近年は、エコに配慮して別の種類のガスに変わっています。冷媒の冷は冷やすイメージですが、暖かくも冷たくも出来るのです。この為、エアコンは1台で冷暖房の機能が備えられます。冷媒の温度変化で、暖かくも冷たくもなるのです。

 

3.ヒートポンプの用途

ヒートポンプが使われている家電ですが、エアコン以外にはどのようなものに使われているのでしょうか。ここでは、ヒートポンプの用途を説明します。

 

(1)家庭用の給湯器

 

給湯器は、エコキュートやエコジョーズといった名称でヒートポンプの仕組みを利用しています。第三世代のエコな給湯器です。ガス給湯器と電気給湯器のどちらもあります。光熱費が高いという場合はヒートポンプを使用した機器に交換を考えてもよいでしょう。

 

(2)業務用のエアコンや給湯器

 

ヒートポンプのメリットが最も生かせるのが業務用です。病院、オフィスビルなどは必ずエアコンと給湯器が備えつけられているので、利用者が多い所は、ヒートポンプ式にすれば、光熱費が節約できます。

 

(3)冷凍庫や冷蔵庫

 

家庭で使う電化製品の中でエアコンに次いで光熱費が高いのが、冷凍庫や冷蔵庫です。

冷蔵庫も冷媒を使って内部を冷やす仕組みはエアコンと同じなので、ヒートポンプの仕組みを使えば、それだけ光熱費を節約できます。

 

(4)床暖房

 

床暖房は家庭用では給湯器とセット販売されている商品も少なくありません。新築やリフォームをする場合はヒートポンプを使った給湯器と床暖房を導入するチャンスです。

 

以上、真冬や真夏になると光熱費がはね上がっていた場合は、ヒートポンプの仕組みを利用した機器の導入を検討する価値はあります。

 

4.ヒートポンプの種類

ヒートポンプの種類は、熱輸送の原理で決まります。ここでは、ヒートポンプの種類を説明します。

 

(1)発熱・吸熱の冷媒利用

 

吸着式ヒートポンプ、蒸気圧縮ヒートポンプ、吸収式ヒートポンプなどは、液体が気化する際に発する気化熱や、凝縮熱を利用します。アンモニア気化熱を利用したヒートポンプは、冷蔵庫、冷凍庫に利用されています。

 

(2)熱(空気熱以外)を利用したもの

 

通常、ヒートポンプは空気熱を利用しますが、そのほかにも地中熱、水源熱、太陽熱を利用したヒートポンプがあります。熱源がなければ利用できませんが、空気熱よりもより効率よく熱を運ぶことができます。太陽熱利用のヒートポンプは、太陽光発電とセット販売されていることもあります。オール電化式の住宅に取り入れられています。

 

このようにヒートポンプにも色々な種類がありますので、ヒートポンプを導入する場合は、どの種の物を導入するか決めて、ヒートポンプの成績係数値を見極めて選択してください。

 

 

◆関連解説『環境マネジメント』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

嶋村 良太

商品企画・デザインとエンジニアリングの両方の視点を統合し、顧客満足度の高い商品開発を実現していきます。

商品企画・デザインとエンジニアリングの両方の視点を統合し、顧客満足度の高い商品開発を実現していきます。


「省エネルギー」の他のキーワード解説記事

もっと見る
省エネルギー活動は農業のように育てる

 省エネルギー活動の中心は「ネタを探せ!」となることが多いようです。経験者は「ネタでしたら」と(ネタということは必ずできるという保証はなくてもいいという言...

 省エネルギー活動の中心は「ネタを探せ!」となることが多いようです。経験者は「ネタでしたら」と(ネタということは必ずできるという保証はなくてもいいという言...


短期決戦型でもなく長期戦略型でもない、コツコツ型省エネルギー活動とは

 「省エネルギーを成功させるポイントは何ですか?」と聞かれたので、即座に「それは事業所の優先課題の1番目か、2番目に位置づけることです。」と答えました。し...

 「省エネルギーを成功させるポイントは何ですか?」と聞かれたので、即座に「それは事業所の優先課題の1番目か、2番目に位置づけることです。」と答えました。し...


エネルギー損失の全体像を知り重点を決める手順

 熱処理炉を取り上げて省エネの検討をする時に「熱勘定」を行うことは当たり前のように感じるかもしれませんが、実際にはとても効率が悪いと思います。論文を書く時...

 熱処理炉を取り上げて省エネの検討をする時に「熱勘定」を行うことは当たり前のように感じるかもしれませんが、実際にはとても効率が悪いと思います。論文を書く時...


「省エネルギー」の活用事例

もっと見る
風力発電 :新環境経営 (その24)

 前回からは創エネについて解説しています。創エネというと、太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電、小水力発電等が浮かびますが、前回の太陽光発電に続...

 前回からは創エネについて解説しています。創エネというと、太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電、小水力発電等が浮かびますが、前回の太陽光発電に続...


スマートタウン :新環境経営 (その31) 

 これまでは、環境経営の視点で、過去に積み上げられてきた知恵を整理してきましたが、これからは、それら知恵の基盤の上に、ICTの支援を受けて、更に効率よ...

 これまでは、環境経営の視点で、過去に積み上げられてきた知恵を整理してきましたが、これからは、それら知恵の基盤の上に、ICTの支援を受けて、更に効率よ...


【ものづくりの現場から】地域密着企業が取り組む新エネルギー開発(三ツ田)

ものづくりドットコムの連載「ものづくりの現場から」では、現場の課題や解決策に注目し、ものづくりの発展に寄与する情報を提供しています。今回は、地域に密着...

ものづくりドットコムの連載「ものづくりの現場から」では、現場の課題や解決策に注目し、ものづくりの発展に寄与する情報を提供しています。今回は、地域に密着...