「鈴木流5S」必ず成果の上がるノウハウ・ノウホワイ実践例(その1)

 国の発展や企業の競争力強化には生産性の向上、すなわち物を作りサービスを提供する活動の向上が欠かせない。シンガポールでもマレイシアでもタイでも、筆者の任務はその国の生産性向上を担う生産性センターのスタッフを‘生産性向上を指導できるコンサルタント’に育成することであった。生産性の中味は生産量P, 品質Q, コストC, 納期D, 安全S, やる気Mで、製造業でもサービス業でもロジスティクスや医療関係でもこのPQCDSMの向上は必須である。

 生産性を上げるには、5S, KAIZEN, IE(Industrial Engineering), QC(Quality Control), JIT(ジャスト・イン・タイム、トヨタ方式)など沢山の道具がある。中でも5Sはご存知の通り、整理(要るものと要らないものを分けて要らないものは捨てる)、整頓(要るものを使いやすいように置く)、清掃(ゴミ・汚れを掃除する)、清潔(前の3つを高いレベルに維持する)、躾(決まったことを守る)ということで、生産性向上の基礎として誰にでも出来るものである(ほんとは難しい)。

 筆者がシンガポールで5Sに取組むことになった契機は地元企業の社長の要請だった。筆者が取組む条件として、社長にトップマネジメント・コミットメントを確約して貰って、5Sプロジェクトをスタートさせた。これは、その後の他社への展開を念頭に、モデルになってもらう意味を込めてモデルCo.プロジェクトと呼んで推進した。社長は約束通りコミットしてくれて大きな成功を収めることができ、この成功を機に多くのモデルCo.に横展開して、国家プロジェクトまで発展していった。

 その一方で、適切な指導者不在のため、導入はしたものの形だけで成果の上がっていないケースを多々目にするようになった。例えば、整理では‘要らないものは捨てる’のだが、工場内の仕掛りは要るものだからと山積みになったままで、次工程に必要なものを相変わらず山繰りして出しているとか、ホコリを嫌うプリント職場でホウキでバサバサ掃除しホコリを出して不良の原因を作っているとか、職場ごとに5Sを評価している会社で、印刷ラインなど汚れる職場は一所懸命やっても低い評価しか得られず、1年もすると‘バカらしい、や~めた’となってしまっているとか(印刷ラインでは...

汚れは不良の原因になるので5Sの実施が一番必要であるにもかかわらず)。

 このような事態を解決すべく、筆者はいろいろ工夫して取り組み効果を上げてきた。写真のようにセミナーはいつも満員の盛況で、参加者の工場を例にグループディスカッションをし、セミナー終了後に参加者の工場を訪問して、モデルCo.プロジェクトとして進めるようにした。

 

 

 

  

 

 

 

         

     ①5Sセミナー風景               ②5Sセミナーでのグループ討議

 

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