物流品質向上法 (その2)

 前回のその1に続いて解説します。
 

3. 物流品質に影響を与える要因

 ヒューマンエラーと関係あるのが人間の意識フェーズです。「人間信頼性工学:エラー防止への工学的アプローチ」によりますと、人の意識フェーズには5段階あるそうです。フェーズ0「無意識、失神」からフェーズ4「興奮状態」まであるわけですが、この内最もエラーが発生しないフェーズはフェーズ3「正常、明晰な状態」で、エラー発生確率は100万分の1とのことです。ただしこの状態は長続きしません。ですから仕事を与える場合もこの状態をあまり連続させず、適度な休憩を入れながらやっていくことが必要でしょう。では実際に物流品質に影響を与える要因について考えていきましょう。
 
 見間違いやすい製品番号には注意が必要です。たとえば1つの製品番号の中に「0(ゼロ)」と「O(オー)」を混在させないことです。できればこの2つは製品番号の構成から外してもよいのかもしれません。アルファベット小文字のbと数字の6も同様です。誤品につながる可能性がありますので注意しましょう。2つの製品の梱包作業を同時に行うことも間違いのもとです。製品梱包まで上手くいったとしても、出荷ラベルを逆に貼付してしまうエラーが発生することがあります。この場合、得意先の物流不良カウントは「2件」です。数量のカウント間違いは物流不良の中で多くの比率を占めます。いわゆる誤数です。数は多くても少なくても不良です。
 
 よく多く入れておくことは大丈夫だろうということをいう人がいますが、これは間違った考え方です。得意先は数が多ければ棚卸差異にもなりますので、迷惑な話です。数を数えるときは「5」単位で数える。碁盤の目のようなシートを用意してそこに実際に並べながら数える。碁盤の目に数字を標記したり、製品の形状を記載したりすることでもエラーは防止できます。物流不良を防ぐためには決められたことを真面目に愚直に守りながら実施することではないでしょうか。よく「お金をかけてポカヨケ」を導入しまくる会社がありますが、その前にやることは多々あるはずです。
 

4. 物流作業標準化と作業観察

 お金をかけてポカヨケを導入する前にやるべきことがあります。物流品質を保証するためには避けられないものがあるのです。それは「作業の標準化」です。当たり前すぎて拍子抜けしたかもしれませんが、ここが結構できていない会社は意外と多いのです。標準作業書の無い物流現場は作業の方法や時間を作業者任せにしています。これは絶対にやってはならないことです。もしこのような状態にあるということは、「物流品質」も作業者に任せているということです。
 
 これもまた会社にとっては現場が管理状態にないと言わざるをえないでしょう。そこでまず物流作業すべてに対して標準作業書を作成していただきたいと思います。標準作業書の中にはその作業の手順、急所、必要な道具や保護具などを記載します。そしてすべての作業者に対して標準作業を教え込み、標準作業書に書かれているとおりに仕事をやらせることです。
 
 さらに定期的に作業観察を行い、作業者が標準作業を守っていることを確認することが重要です。もし手順を違えていたり急所を無視していたりしたらその場で指導を行い修正させます。これが物流現場監督者の仕事です。標準作業を確立しそれを部下に教える。その通りにやっていることか否か作業観察を通して確認する。そしてもし間違っていたらその場で指導する。これが現場管理におけるPDCAだということになります。このサイクルを逸脱しないように心がけまし...
ょう。
 
 よく標準作業が確立されていないのに物流品質不良を出して困っている会社を見かけます。しかしこの場合は出るべくして出た不良だと認識すべきです。つまり標準作業をベースとしたPDCAは物流品質向上のために最低限やるべき事項です。これができていない会社では物流品質向上という言葉を発する資格はありません。物流品質不良を発生させる会社にはこのPDCAのいずれかが欠けているケースが見受けられます。たとえば作業観察を実施していない場合があります。
 
 作業観察は物流監督者の給料の内ですが、なぜか実施しないケースがあり気になって仕方ありません。でも作業観察が無ければ仮に作業者が間違った行為や自分勝手な仕事の仕方を行っていてもそれに気づくことはありません。管理者や経営者の方は監督者がきちんとタスクを果たしているかどうかを確認する責務があります。
 

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