クリーンルーム内へのプリンターの持ち込みについて (その1)

 プリンターはパーティクルの発生源です。クリーンルーム内には、極力持ち込まないようにしたいものです。また、どうしても持ち込む場合は台数(発生源)を減らすことと製品への影響を可能な限り抑えるような対策を講じることが大切です。クリーンルーム内へのプリンターの持ち込みについて、具体的な事例を紹介しながら2回に分けて解説します。
 

◆クリーンルームとプリンター:設置高さについて

 持ち込まれたプリンターが、製品加工の高さや、その製品を扱う冶具よりも高い位置に設置されているものを見かけます。例えば、社内文書や資料などを印刷する場合、製品管理のために印刷すると言った場合です。その都度クリーンルームへの入退室を繰り返すのは非効率ですから、どうしても持ち込むことになります。あるいは、分析、解析装置の上に置かれ、データや画像をその場で印刷する場合もあります。しかし、プリンターは印刷時パーティクルが発生します。
 
 具体的には、インクの粒子やプリンターの紙送り動作時に紙の粒子などが吹き出します。高い位置に設置した場合、そのパーティクルが落下しますので、製品や冶具へ付着するなど影響する可能性がります。上流に汚染源があると下流も汚れるということです。
 
 クリーンルームのタイプでは、乱流式は、気流が巻いていたり斜流になったりするので、パーティクルも広範囲に飛散します。また、層流式(ダウンフロー)のクリーンルームでは、真下に気流が流れ落ちるイメージがありますが、これは設計時の話で、実際に設備が設置されて、稼働すると気流は乱れます。更に、人や運搬設備などの動きによっても気流は乱れます。従って安心できないのです。
 
 設置高さについては、乱流式のクリーンルームでは、可能な限り低い位置に設置します。また層流式のクリーンルームでは、床に直置きすると下降流の気流を妨げるのでプリンター周辺は気流が乱れます。これを避けるため、床に直置きをせず、少し持ち上げると良いでしょう。データ的には、床から5センチほど持ち上げることで、層流の気流が確保できます。
 
 また、層流式のクリーンルームであっても、印刷時パーティクルが上昇することも知っておきましょう。市販の作業台の多くはおよそ80㎝くらいの高さのものが多いようです。プリンターの上部が床から50㎝以下に抑えられれば、作業台の高さまでは到達しません。自分たちでパイプなどの材料を購入し、作...
業台を作製した場合は、高さも考慮する必要があります。いずれの場合も、床付近は汚れが多いので、定期的な清掃が必要です。写真のように床へ直置きせず、5㎝程度持ち上げ、層流の気流の流れを阻害しないよう配慮しましょう。
  
 
 
 プリンターの設置高さについては、客先監査(Audit)でも指摘されることは時々あるようです。従って現場監査時の着眼点ということも意識しておく必要があります。クリーン化担当がいる職場では、このような観点でも見て下さい。
 
 次回は、プリンターの種類と発塵について解説します。
 

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