サプライチェーンマネジメント 物流マンの視野を広げる(その2)

 

◆ 在庫コントロールの取り組み

 物流は調達時の輸送や荷姿、工場内運搬などの物流業務、顧客への販売過程における倉庫内在庫管理や配送など、各プロセスに関わりを持っています。つまりサプライチェーン全体を俯瞰(ふかん)できる特殊なポジションにいるわけです。ビジネス的にみても、この立場を利用しない手はないのではないでしょうか。

 改めてSCM(supply chain management)の意味するところですが、ものを調達し、加工組立を行って、お客様のもとへお届けする供給連鎖のことを指します。そしてこのチェーン全体を効率よく回せるように管理していくことをサプライチェーンマネジメントと呼びます。 

 サプライチェーンはほとんどの場合、メーカーが主導権を握っています。しかしすべてのメーカーがサプライチェーン全体を俯瞰しマネジメントができているかというと、そうでもなさそうです。そこでここは物流が特殊な立場を活用し、サプライチェーン効率化に貢献していくことが望ましいと思われます。

 それは物流事業者の立場であるケースもあれば、荷主内の物流部門の立場であるケースもあるでしょう。いずれもサプライチェーン効率化への関わり方としては同様です。

 

 サプライチェーン効率化のキーワードに「リードタイム短縮」があります。それを実現するためには在庫を少なくしていくことが必要です。そこで物流マンが最初に視野を広げなければならない領域は「在庫」であると考えられます。普段メーカーをはじめとする荷主がコントロールをしているあの在庫です。

 在庫は物流と同様「何かしらの活動結果」として表れます。例えば大量発注をしたことで資材在庫が膨らんだり、営業予測がはずれて死蔵(過剰)在庫が増えたり、ものを作り過ぎたことで製品在庫が増えたりするわけです。

 ものを購入する、営業活動を行う、生産活動を行うといった諸活動は荷主側で行うことが一般的です。しかし物流側は今の在庫の状況は、日々目にすることができます。物流のこの立場...

を利用して在庫の状況を常に把握し、それがサプライチェーンにどのような影響を与えているのか分析するとともに、その情報を荷主側に発信していくことが重要なのです。

 倉庫事業者の立場では、在庫を減らすことは自社の収入減につながるからやりたがらないという現実的な問題があります。しかしそのような問題はあるにせよ、サプライチェーンマネジメントを行うことを新たな収入源として取り組むべきではないかと思います。

 次回に続きます。

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