物流会社の育成 荷主としての心得 (その3)

 

 物流業務をアウトソースする立場を荷主と呼びます。ちょっと古臭い表現ですが、物流業界ではこの言葉が一般的となっていますので、荷主という表現で今回も解説を続けます。

◆ 共同物流改善の実施

 よく荷主による物流会社いじめみたいなことがありますが、これは物流コスト改善の手法を知らない荷主が単に価格を「値切る」ようなことだと考えられます。そうではなく、荷主として改善につながる様々なオーダーを物流会社に投げるのです。物流会社は物流のプロですから、何かしらのアドバイスはしてくれるはずです。

 荷主の心得の重要な案件として「物流会社の育成」があります。育成というとちょっと上から目線的に感じるかもしれませんが、このプロセスを通じて物流会社が他社への拡販につなげることができるメリットがあります。物流会社も喜んでこのプロセスを受け入れると良いと思います。では具体的にどのようなことをして育成していくのでしょうか。

 真っ先に挙げられることは「いろいろなオーダーをすること」です。「こんなことできないか?」、「今の物流をこのように変えられないか?」などといった少々歯ごたえのあるテーマを荷主から物流会社に発信していくのです。単なる価格低減のオーダーではなく、サプライチェーンの効率化につながる物流改善アイテムを渡していくのです。

 物流のプロとはいえ知らないことだってあるはずです。そうなると物流会社は一生懸命調べて、荷主に答えようとします。この過程を通して物流会社の実力が向上していくのです。

 

 次に実施していくべきことは、物流会社・荷主会社の共同改善の実施です。物流改善は単独でできるものもあれば、両社が共同で実施した方が効果があるものもあります。そこでお互い改善の目標値を定め、その達成について共同で責任を持つようにしたらいかがかと思います。この共同改善の仕掛けづくりは、荷主会社側から実施すべきだと思います。

 また物流会社は労務管理や現場管理などといった「管理技術」に弱いことが考え...

られます。そこで荷主は自社で実行している管理の仕組みを、物流会社にトランスファーしてあげることも考えてみてはいかがでしょうか。このプロセスを通じて物流会社の管理水準が向上することが考えられます。その結果荷主会社も恩恵を得ることができますので、ぜひ実施することをお勧めします。

 いかがでしょうか。小さいこと、大きいこと、荷主の心得はさまざまです。ぜひ考えて行っていただきたいと思います。お互いの効果はてきめんです。

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