利益の確保できる水準とは 物流業としての原価低減の取り組み(その1)

 

◆ 運送における適正価格

 物流業、とりわけ国内運送業の収益は厳しいものがあります。しかし、国内運送業の厳しい環境は、業界自体が作り出しているきらいがありそうです。なぜならこの業界には、約6万2千社の会社がひしめいているからです。

 実にこれだけの会社で限られた仕事を取り合っているわけですから、価格が下がるのは自然の流れではないでしょうか。売上高に占める営業利益率は2%程度が平均です。これをキープないし、向上させることが課題であることは言うまでもありません。

 最近では運賃値上げが実現できた会社が、ほっと一息といいたいところですが、実際は燃料代や庸車費などが上昇し安穏とはしていられない実態がありそうです。

 このところ荷主会社は交渉すれば、運送価格が下がるという状況にありました。ドライバーが不足する状況下では若干の値上げが実現しましたが、荷主が取引相手を変えれば、まだ価格は下がる可能性があるのです。

 従来は荷主が比較的名前の通った大手物流会社に発注していたものを、視点を中堅会社に向けたとたんに、価格の水準が変わる可能性があるのです。現に荷主会社が今発注している物流会社は、すべての荷を自分たちだけで運んでいるわけではありません。実際には庸車といって協力会社に運んでもらっているのです。

 この元請け物流会社と庸車との価格差は2割程度あるといわれています。つまり荷主が庸車レベルの規模の会社と直接取引を開始すれば、まだ2割程度の価格下げの機会があることが推測できます。

 荷主会社もアウトソースして物流を行っているのですから、会社収益を向上させるためには、この物流費を抑える必要があり、そのためには徹底した市場調査を行い、輸送発注価格を下げていかなければならないことになるのです。

 

 一方で物流会社側にとってみると「適正価格」といわれる運賃を確保しようと考えます。ではこの「適正価格」とはどのようなレベルをいうのでしょうか。

 一般的には「自社にとって...

利益確保できる水準」といえるのではないでしょうか。これはあくまで「自社にとって」ですから、会社の規模が大きくなればその水準は高くなることが考えられます。

 しかし「適正価格」は自社で決めるのではなく「市場」が決めるものです。すなわち参入業者の数が多ければ多いほど、その水準は下がり、需要が高まれば高まるほど上昇し、ドライバー数が少なければ少ないほど、価格水準は上がるものと考えられるのです。

 次回に続きます。

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