在庫で発生するコスト 在庫コントロールと物流(その2)

◆ 安全在庫と安心在庫

 在庫は「罪固」と表現することがあります。在庫は少なければ少ないほど良いといわれます。しかし理由もなく「なんとなく」持ってしまうものは会社にとって「罪なこと」と言わざるを得ないのです。理由が明確な在庫は「財庫」です。理由が不明確な在庫は「罪固」です。この認識を常に持つことが必要なのです。

 安全在庫は何かしらのトラブルに備えて持つ在庫のことを指します。トラブルとは設備故障や協力会社の未納、顧客の要求の振れなどいくつもあると思います。これらのトラブルが発生した際にはこの安全在庫を切り崩して次工程に悪影響を与えないようにするのです。

 この安全在庫ですが、担当者が必要以上の数量を持ってしまう傾向があります。これは担当者が自分の責任で次工程に支障をきたすことを嫌うことにあります。このような要因で持たれる在庫のことを「安心在庫」と呼びます。この安心在庫は本当に必要な安全在庫よりはるかに多くの数量となることが一般的です。

 設備故障で復帰まで1時間かかる場合、安全在庫は1時間分あれば良いことになります。しかし設備故障用の安全在庫と称して一日分の在庫を持ってしまうことがあるのです。この場合一日分と1時間分の差が安心在庫ということになります。この安心在庫は削減代ということになるのです。理由が不明な在庫は即刻削減することが望ましいと考えられます。 

 在庫はなぜ悪者扱いされるのでしょうか。その一つの要因として在庫を持つことに伴うコストが挙げられます。皆さんもお分かりのことと思いますが、在庫を持つと在庫を保管するための「容器」が必要です。また、保管のための「場所」も必要になります。

 在庫が増えてくると一カ所で保管することができなくなります。そうなると「横持ち運搬」が必要になります。そしてそもそも論として「...

在庫管理」が必要となり、その管理要員が必要になってくるのです。つまり在庫を持つことで様々なコストを発生させてしまうということになるのです。当然のことながら安易に在庫を増やしてはならないことになるわけです。

 在庫を持つ場合には、その在庫の担当者を明確にすることをお勧めします。この在庫は購買部のAさん管理在庫、あの在庫は生産管理部のBさんの在庫、といった具合にするのです。


 次回に続きます。

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