ルールの文書化 物流で会社利益向上のチャンスを見逃すな(その3)

◆ 物流契約と物流標準作業

 ちょっと話は逸れますが、駅のホームで電車に乗る際「乗車位置目標」が決められていることにお気づきでしょうか。さらにその「乗車位置目標」の前に3列でお並び下さい、というアナウンスが繰り返し繰り返し発信されています。これに従って乗客は整然と並び乗車することで定時運行に寄与しているのです。この乗車ルール、なかったらどうなるでしょうか。乗客は思い思いの場所で電車を待ち、順番も意識せずに乗車することでしょう。これでは乗客同士のトラブルの原因になるばかりでなく、定時運行に支障が出ることも考えられるのです。

 物流収益向上にあたって結構見逃されがちな重要アイテムがあります。それは何だか想像がつきますか?それはルールを決めてそれを守る、ということです。

 「えっ、そんなこと今さら言われなくても分かっているよ」という声が聞こえてきそうですね。でも考えてみて下さい。そのルールは“常識”という二文字で片づけられていませんでしょうか。

 今の会社の中で物流作業のやり方について明確なルールが文書化されていないとしたら、作業を個々の作業者任せにしていることになります。あるいは誰か先輩社員が自己流のやり方を後輩に指示していることも考えられるのです。

 このような状況ではさまざまなロスが発生することが考えられ、結果としてそれがコストとして発生する可能性が大なのです。

 顧客との契約書はきちんと書かれていますでしょうか。契約書に書かれていないことは本来は仕事の対象外となります。しかし日本では発注者と受注者でそれぞれの思いがあり「自分たちの解釈はこうである」というあいまいな契約になっている可能性が大きいといえます。つまり書かれていない内容が実際に行われているのです。

 そうなるとどちらかといえば発注者有利となり、それを受けた物流会社は契約当初想定していなかった業務を無償でやらされる可能性もあるのです。

 これは会社間のルールですが、最初にきちんと決めていなかったお互いに責任があるのです。ですから契約書を作成する際には提供するサービスをすべて記載し合意することが求められるのです。

 そして物流の場合は仕事量に応じて収支に影響が出やすい業務ですから、仕事量の前提...

はきっちりと決めておかなければなりません。そして業務量が増えた時と減った時のルール決めも忘れないようにしましょう。

 契約書にはサービスごとに単価を決めて顧客と合意します。こういった契約書という会社間のルール決めを抜かりなく実施することで会社利益に貢献することができます。

 一度社内のルール(標準作業書)や会社間のルール(契約書)についてじっくりと見直してみましょう。ルールを構築しそれに従って仕事をすることで儲かる体質に改善することは十分可能なのです。

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者