QFD(品質機能展開)で人財開発施策を俯瞰

 QFD(Quality Function Deployment:品質機能展開)は、横軸にお客様の声を、縦軸に技術特性を記述したものです。しかし技術分野だけしか使えないかといえば、結論はNOです。むしろ複雑なシステム的なもの(コト)は、QFDで整理すると分かり易く可視化できるのです。今回は、技術分野以外の活用の要点を述べましょう。例えば、下表1に複合的な事例として、「人材開発」に応用したF社の事例のアウトラインを紹介します。

表1 QFDに整理した人材開発課題 

 まず課題を設定します。ここでは、TRIZの考え方のひとつである IFR(究極の理想解)で定義しました。つまり、「業界TOPレベルのコンピテンシー(思考・行動特性)を獲得する」としました。次に、ニーズ項目として、モラールサーベイ、コンピテンシーアセスメント、多面評価、経営品質アセスメント、高業績者市場価値アセスメントなどの重要項目を絞り込み、縦軸にピックアプしました。そして、それらに対して社員に直結するための具体的特性として、特許件数、論文件数、専門スキルレベル、モラールサーベイのスコアなどを横軸に設定しました。ここから、「市場価値の高い成果を上げるためのキャリアを設計すること」と課題を再定義しました。 

 ここでは、その真の課題に対して、TRIZの40の発明原理、76の発明標準化などをヒントにアイデア出ししました。その結果、次のような対応策の方針を設定することができました。

① 成果項目として、いろいろな要素を組み合せていくつかは実現可能と思わせる。
② それを数年間の平均値とすることで、制御可能なしくみとしておく。
③ 成果項目を多層構造と...

して、研究・開発・生産どの業務でも実現可能な成果項目とする。
④ 基準を、社内の視点でなくグローバルスタンダードの基準として目的意識を高める。

 そして、それらの方針に基づき、具体的施策として論文、特許、顕著な業績、技術指導、社会貢献活動、公的資格の取得、自己啓発などの評価基準と数値目標を設定しました。さらに、キャリアアドバイザー制度の施策実現につながったのです。

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者