商品企画、商品企画と商品コンセプト、ユーザー像を明確ににするには、わかりやすく解説
1. 商品企画とは
商品企画とは「顧客のニーズを発掘し、それにふさわしい商品コンセプトを考案、決定すること」です。商品企画では、顧客価値を創造出来る人材の育成が重要です。事業展開するためには、次の項目を創造できる人材が必要です。
- ①商品戦略策定
- ②テーマ選定
- ③仮説検討
- ④顧客へヒアリング、設計、実査、まとめ
- ⑤仮説案ブラッシュアップ
- ⑥仮説案ポジショニング、設計、実査、まとめ
- ⑦仮説案の具体化、設計、実査、まとめ
- ⑧試作へ顧客要望と技術とのリンク
- ⑨事業部展開
2. 商品企画と商品コンセプト
商品コンセプトは、商品をできるだけ具体的な言葉で置き換える事です。マーケティングでは、売りたいモノを売れる商品に変えるための概念のメッセージです。商品企画の商品コンセプトは、様々なシーンで抽象的に使われます。次のような商品コンセプトの構成要素を箇条書きに列挙すれば具体的にコンセプトをまとめることが出来ます。
- ①コンセプト-フレーズ
- ②企画背景
- ③ターゲット
- ④場所・シーン
- ⑤時間・時期
- ⑥使用目的
- ⑦機能・仕様
- ⑧価格
3. 企画書作成とペルソナ手法
商品企画では、企画書作成の時にペルソナ手法が活用されます。
(1)ペルソナ手法
ペルソナ手法とは、典型的なユーザーを想定した人物像であるペルソナを設定し、常にそのペルソナの目標を考慮した設計を行う手法です。ユーザー情報を具体的なペルソナで表現することにより、わかりやすいという特徴があります。ペルソナとは「ユーザー情報の表現」の一つであり、ユーザー調査を通して設定した典型的なユーザー像を示すものです。ユーザー情報を具体的で厳密に記述し、顔写真や名前など組み合わせて活用することにより、多くの担当者にわかりやすく示すことができます。
(2)ペルソナ構築例
- 関連情報の取得~対象ユーザーを定義するための情報を収集します。
- ユーザー定義表の作成~関連情報を活用して、対象となるユーザー層を検討するためにユーザー定義表を作成します。
- キャスト候補の検討~ユーザー定義表に基づき対象ユーザーを分類した上で、個々のプロジェクトの要求事項を考慮して、キャスト(ペルソナの候補となる複数の人物像)候補を決定します。
- キャスト候補を対象にユーザー調査を実施~キャストに近い人に対してインタビュー調査などの定性調査を実施します。
- キャストの決定~定性調査の結果を活用して、ペルソナ候補となるキャストを複数名設定します。
- ペルソナの決定~キャストの中からプロジェクトの状況により、ペルソナを決定します。
4. ユーザー像を明確にする「ペルソナ」のさらに詳しい活用法
商品企画において、ペルソナを構築することはゴールではありません。構築したペルソナを、いかに活用するかが成功の鍵を握ります。ペルソナはチーム全員が共通の顧客像を認識し、ブレなく企画を進めるための羅針盤となるべきものです。
【ペルソナの活用を成功させるためのポイント】
ビジュアル化とストーリーテリング: 作成したペルソナを、名前や顔写真だけでなく、ライフスタイル、価値観、日々の悩みなどが伝わるストーリーとしてまとめましょう。彼女・彼が朝起きてから夜寝るまでの行動を具体的に想像し、どんな時に自社の商品やサービスに触れる可能性があるのか、どんな感情を抱くのかを詳細に記述します。これは、チームメンバーが単なるデータではなく、一人の「人間」としてペルソナを理解するために非常に有効です。
共感マップの活用: ペルソナの思考や感情をさらに深掘りするためには、共感マップが有効です。「ペルソナが何を考え、何を感じているのか(Think & Feel)」「何を言っているのか(Say)」「何をしているのか(Do)」「何を見ているのか(See)」「何を聞いているのか(Hear)」といった項目を埋めていくことで、多角的な視点からペルソナを理解できます。これにより、潜在的なニーズや、言葉にされない本当の課題を見つけ出すことができます。
シナリオ手法との組み合わせ: 構築したペルソナを主人公として、商品やサービスに触れる一連のストーリー(シナリオ)を作成します。たとえば、「忙しい共働き夫婦のペルソナが、夕食の準備を始める」というシナリオの中で、どのような課題に直面し、どのような解決策を求めているのかを具体的に描写します。これにより、商品の利用シーンやタイミングをよりリアルに捉え、機能やデザインの改善点を洗い出すことが可能になります。
5. ペルソナと商品コンセプトを成功に導く思考法
ペルソナと商品コンセプトは、密接に連携しています。明確なペルソナがなければ、響くコンセプトは生まれません。ここでは、具体的な思考プロセスを紹介します。
【「なぜ」を繰り返す問いかけ】
商品コンセプトを固める際、「なぜ、その機能が必要なのか?」「なぜ、ターゲットはその商品を求めているのか?」と何度も「なぜ」を繰り返して自問自答することが重要です。この掘り下げ作業は、表面的なニーズの裏にある、顧客の根本的な欲求や動機(インサイト)を見つけ出すために不可欠です。例えば、「なぜ、手軽に調理できる商品が欲しいのか?」という問いの答えが、「忙しくて時間がないから」だけでなく、さらに深く掘り下げて「家族と過ごす時間を増やしたいから」という本質的なインサイトにたどり着くことがあります。このインサイトこそが、心を動かすコンセプトの源泉となります。
【「競合」との差別化】
市場にはすでに類似商品が多数存在します。その中で自社の商品が選ばれるためには、競合との明確な差別化が必要です。ペルソナが抱える「満たされていないニーズ」や「潜在的な不満」に焦点を当てることで、既存の商品にはない独自価値を見つけ出すことができます。たとえば、多くの競合が「便利さ」を訴求しているなら、自社は「体験の楽しさ」や「安心・安全」といった別の軸で差別化を図るなど、ペルソナの価値観に寄り添ったポジショニングを構築します。
【商品コンセプトの言語化】
全ての要素がまとまったら、誰にでも伝わるシンプルな言葉でコンセプトを言語化します。これは、商品企画書だけでなく、広告、パッケージデザイン、販売戦略など、あらゆるマーケティング活動の指針となります。短いキャッチコピーのような「コンセプト・フレーズ」に凝縮することで、チーム内外の関係者が一目で商品の核心を理解できるようになります。
6. まとめ
商品企画は、単に斬新なアイデアを出すだけではありません。顧客の心に寄り添い、彼らの抱える課題を深く理解し、それに対する最適な解決策を提示するプロセスです。今回解説した「ペルソナ」と「共感マップ」、「シナリオ手法」を組み合わせることで、ユーザー像はより鮮明になり、チーム全体で共通のビジョンを持つことができます。そして、この深い理解から生まれる「なぜ」という問いかけ、そして競合との明確な差別化こそが、お客様の心の琴線を響かせ、市場で成功を収める唯一無二の商品を生み出す力となるのです。