分散の加法性 ばらつきの合計

 
inf012
分散の加法性とは何でしょうか、分散は、ばらつきを表す統計量で記号ではVで表されます。ある棒状の部品Yは部品AとB二つのパーツを繋げて制作されているとします。Yの長さの分散V(Y)と、部品AとBの分散V(A),V(B)の間に、次の関係が成り立ちます。
 
V(Y)=V(A)+V(B)
 
 つまり分散に対して加法の定理が成り立つことを示しています。この事を分散の加法性と言います。具体的に説明します。加工精度が長さによらず一定と仮定し、この場合の分散を0.01とします。Yの分散は加法性から考えて
 
V(Y)=V(A)+V(B)=0.01+0.01=0.02となります。
 
 これは実際にYの長さデータを採取し分散を算出すれば証明出来ます。もしYが部品を組み合わせず一本のパーツなら分散は0.01となります。つまりYを2つの部品で構成した場合は分散は2倍になります。
 
 分散の加法性は、品質管理を考える場合に留意しておく必要があります。長さや厚み、隙間等を精密に管理する必要がある場合、複数のパーツで構成されていれば単一加工品よりもばらつきが大きくなるのでコントロールが難しくなるのです。
 
 また加法性は期待値Eでも同様に成り立ちます。つまりE(Y)=E(A)+E(B)となります。期待値とは最も出現する確率が高い値となるのでこの場合は平均値となります。
 
 因みにばらつきを表す統計量としてポピュラーな標準偏差ですが、標準偏差の加法性は成り立ちませんので注意が必要です。
 
 例えば標準偏差0.2のパーツを二つ繋げたものの標準偏差は0.4ではありません。まず分散に直すと、一個のパーツの分散値は0.2×0.2=0.04となりますから、二つの和である0.08が繋げたパーツの分散値となります。
 
 よって標準偏差は分散0.08の平方根となるので約0.28となり、単純に標準偏差を足したもの(0.4)よりも小さい値となります。つまり標準偏差で加法性を誤って使うと実際よりもばらつきを大きく見積もってしまうのでご注意下さい。
 
 分散の加法性は2群の和のばらつきを知りたい時、それぞれの群の分散がわかっていれば容易に推測出来ますので実業務で活用する機会は少なからずあると思います。
 

この記事の著者

眞名子 和義

ムダ・ムラ・ムリの「3ムの撤廃が企業収益向上に繋がる」を信条とし、お客様の"視座"に立ったご提案を致します

ムダ・ムラ・ムリの「3ムの撤廃が企業収益向上に繋がる」を信条とし、お客様の"視座"に立ったご提案を致します

無料会員登録でさらにあなたに特化した情報を手に入れましょう。

①「SQC」の関連記事が掲載されたらメールでお知らせ

②専門家「眞名子 和義」先生に記事内容について直接質問が可能

③他にも数々の特典があります。